北の御番所 反骨日録 【八】-捕り違え (双葉文庫 し 32-41)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575671704

作品紹介・あらすじ

お役への復帰を指示された用部屋手附同心の裄沢広二郎は、小者の三吉から、御用聞きによる無道な捕縛の目撃譚を聞かされる。その御用聞きを使っているのは、かつて隠密廻りに登用され、その後、定町廻りから臨時廻りとなった安楽という男だという。同輩の室町左源太から、安楽の人となりを聞いた裄沢は、安楽より出された入牢証文発行申請を手許に留め置き、一計を案じる。書き下ろし痛快時代小説シリーズ、待望の第八弾!

感想・レビュー・書評

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  • 北町奉行所の用部屋手附同心、裄沢(ゆきさわ)広二郎の活躍の物語です。

    【樽屋十三代目】
    前作で、第11代将軍徳川家斉の実父である徳川治済の寵愛を受けている漢学者・宮川が、深川で三件の辻斬りを行なった。北町奉行の止めるのも聞かず、裄沢が、取り調べようとしたら徳川治済家から圧力がかかった。やむなく裄沢は、宮川が辻斬りをするところを、定町廻同心、来合が斬り捨てる。この事件のあと裄沢と来合は、病気と称して屋敷で謹慎をしていた。

    その裄沢と来合に、内与力より、江戸において町年寄を代々務める奈良屋、樽屋、喜多村の三家のうち、樽屋の当主交代を先に延ばすように樽屋に行って交渉してくるように命じられる。その結果、裄沢と来合は、職務に復帰する。

    【捕り違え】
    菓子舗「東泉堂」の隠居の六兵衛から七両盗んだとして御用聞きの権太郎が、大工の民三を捕まえた。この件を裄沢が、民三の無実を証明した。七両盗んだ犯人は、権太郎であった。権太郎は、逃げた。➡これは面白い。引き込まれて一気に読んでしまった。決め手は、いま発行されている元文小判より金の含有量の多い享保小判を盗んで、権太郎が賭場で使ったことを裄沢に言い当てられた。

    【陥穽(かんせい)】
    御用聞きの権太郎に手札をあたえていた北町奉行所の定町廻同心である安楽は、謹慎する事となる。その補充として裄沢が、臨時に隠密廻同心に就任する。謹慎していた安楽が、裄沢に復讐するために策謀をめぐらせる。➡安楽は、自身の悪行がバレるのを恐れて権太郎を殺して、逆恨みで裄沢を殺そうとした。まったく無茶苦茶な話だ。

    【読後】
    第八話「捕り違え」は、予約の都合で第九話「廓証文」を読んでから読む事となりました。そのために、「廓証文」を読んでいて流れが読めないことがありましたが、やっと繋がりました。~~~~~~~~~~~~~~~~
    北の御番所 反骨日録一覧
    09.廓証文    2024.01.27読了
    08.捕り違え   2024.04.18読了
    07.辻斬りの顚末 2023.10.19読了
    06.冬の縁談   2023.07.03読了
    05.かどわかし  2023.03.20読了
    04.狐祝言    2022.12.13読了
    03.蝉時雨    2022.02.14読了
    02.雷鳴     2022.02.20読了
    01.春の雪    2021.06.28読了
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    参考
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    かん‐せい【陥穽】 の解説
    1.動物などを落ち込ませる、おとしあな。「—にはまる」
    2.人をおとしいれる策略。わな。「詐欺師の仕掛けた—に陥る」
    goo辞書より。

    「図書館」
    捕り違え ー 北の御番所 反骨日録シリーズ8作目《文庫本》
    2023.08発行。字の大きさは…中。2024.04.16~18読了。★★★★☆
    樽屋十三代目、捕り違え、陥穽(かんせい)、の短編3話。
    図書館から借りてくる。

  • 小杉健治か芝村凉也。
    もっか私の中での時代小説の双頭だ。

    妻と娘をいっぺんに亡くした若い同心裄沢広二郎。

    三者的に自分を見直した裄沢は、

    親も家族もなく老爺一人いるだけの境遇。
    そうなってからの裄沢は,

    自分の誠には嘘をつかないと決め,

    上司だろうが奉行だろうが

    相手が誰でも自分の誠を突き通す様になる。
    それを『やさぐれ』と呼ばれる。

    剣の腕はさほどではないが、推理力は抜群。
    弁に至っては誰でも論破するほど。

    シリーズ8巻。
    数々の奉行所を食い物にし,

    私欲を貪っていた上司を左遷させ,

    または致仕させ、人となりを知らない同僚からは,

    恐れられ変人とみられていたが。
    数々の事件を短い間に解決させ,

    その手腕や考え方は、事件を一緒に探索したものたちからは,

    尊敬され協力が得られる様に。

    前巻で、幕府の偉いさんから睨まれる働きをした

    裄沢と親友来合轟次郎は自主的に謹慎中。
    今回は奉行からの直々の依頼の仕事を仕事始めとした。


    相手と話をしているうちに、相手の懐に入り,

    結論は相手が出せる様に話を進めてゆく様は,興味深く面白い。
    剣豪でないのも、良い。

    今回は脇道にそれる様だが吉原の会所に立つ隠密同心と接点ができる。
    この御仁も魅力的な話しっぷりで,次回以降の出番や活躍が予感できる。

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著者プロフィール

1961年、宮城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。学生時代は映画サークルでシナリオ作成に熱中、二十数年のサラリーマン生活を経験した後、2011年『返り忠兵衛 江戸見聞 春嵐立つ』(双葉社)でデビュー。「半四郎百鬼夜行」シリーズが「この時代小説がすごい!」(宝島社)文庫書き下ろし部門二年連続ランクイン! 新シリーズ「御家人無頼」も好評。確かな筆力と個性的な人物造形で目利き絶賛の時代小説作家。

「2017年 『素浪人半四郎百鬼夜行(拾遺) 追憶の翰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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