あやつられ文楽鑑賞 (双葉文庫)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575713831

作品紹介・あらすじ

あなたは、人形浄瑠璃・文楽を知っていますか?え、知らない?大丈夫、ぜったい退屈しない仕掛けが満載!ほお、ご存じですか。でもちょっと待った。あなたの知らなかったことが、こっそりと書かれています。-若き直木賞作家が、いかにして"文楽くん"に恋をし、はまっていったのか。文楽の真髄に迫るべく資料を読み、落語を聞き、突撃インタビューを敢行する愛と笑いに溢れたエッセイ。小説『仏果を得ず』と合わせて読むと、おもしろさ10倍増。

感想・レビュー・書評

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  • フォローさせていただいているレビュアーさんの『仏果を得ず』のレビューを読んで
    「読みたい!」と勇んで本屋さんに行ったものの、置いておらず。
    せめてもと、こちらの本を購入。


    「文楽は三業から成る」とはよく言ったもので、実際に観劇に行くと、
    舞台で演じている華麗なお人形と人形さんの動きには当然ながら見惚れるし、
    三味線を習っていたこともあり、三味線さんの繊細であったり勇壮であったりの
    撥さばきや糸をはじく指が気になるし、
    好きな大夫さんが顔芸といえるほど(←失礼な言い草ですが、褒めてます)の
    熱演タイプなので目が離せないしー!!!
    と、あっちもこっちも観たくなるわたしはどこを観ればいいのか、毎回悩む。
    本書を読めば観劇のポイントが絞れるかも?などというムシのよい期待をしたのだけれど、
    むしろ注目したい箇所・観たい箇所が増えたという(笑)

    最初のほうに書かれている、舞台に出るときの「おねがいします」の挨拶の意味が、
    燕二郎さん改め燕三さん襲名公演の終章を読むと、さらにじんわりと胸に染みる。
    十四章の咲大夫さんの不思議なめぐりあわせのなかで『咲大夫』さんになったお話は
    文楽の神様、って本当にいるのかもしれないと思わせてくれる。

    しをんさんの読みやすい文体・わかりやすい解説はもちろんのことながら、
    文楽への溢れまくる愛で楽しく読める一冊。

    • 山本 あやさん
      九月猫さん、こんにちは[*Ü*]♡

      ワタシも積読本でこの本が本棚にあるので
      読むのがますます楽しみになりましたっ!

      三味線習われてたんで...
      九月猫さん、こんにちは[*Ü*]♡

      ワタシも積読本でこの本が本棚にあるので
      読むのがますます楽しみになりましたっ!

      三味線習われてたんですねっ!
      ステキですーーー♡
      三味線は昔からステキだなぁとは思ってたんですが
      去年からお着物にますます興味が出て、そこから
      三味線や文楽とどんどん興味が深まっていて
      じかに三味線の演奏を聴きたい熱は膨らむばかりで♡

      実際に三味線の音や手触りが分かる九月猫さんが
      読まれるとますますステキなんでしょうね~♡
      まったくの素人のワタシでも、しをんさんの文章なら
      入りやすくどっぷりと浸れるかなぁと買ってあるんですが
      ますますますます楽しみです♡
      2013/03/05
    • MOTOさん
      最近、年のせいか、視力が若干落ちてきたようでして…。

      「文楽は三業から成る」と、書かれてある言葉を
      「文章は三行から成る」と、読み違えたま...
      最近、年のせいか、視力が若干落ちてきたようでして…。

      「文楽は三業から成る」と、書かれてある言葉を
      「文章は三行から成る」と、読み違えたまま
      レビューを読み終え、

      もう一度、最初の3行に戻り、
      (なるほど!)と、
      (ん?)て、気持ちが入り混じり、
      ようやく今、気がついて、ひとりでウケてた所です!(^^♪

      でも、読み違えたお陰で、
      『仏を得ず』と、
      『文楽』の、興味がどちらにも沸いてきました♪

      すみません、
      こんなコメントで・・・(^^;
      2013/05/30
    • 九月猫さん
      MOTOさん、こんにちは♪

      楽しいコメントをありがとうございます!!
      思わず声を出して笑ってしまいました♪

      奇しくも先ほど名探...
      MOTOさん、こんにちは♪

      楽しいコメントをありがとうございます!!
      思わず声を出して笑ってしまいました♪

      奇しくも先ほど名探偵コナンの
      「絶海の探偵」 を
      「熱海の探偵」 と読み違えたところでした(^_^;)
      お仲間♪お仲間♪♪ ←とムリやりお仲間に(笑)

      って、わたしもこんなお返事でスミマセン(^_^;)
      2013/05/30
  • 先日読み終えた『仏果を得ず』に影響を受けて
    同時期に文庫化されたこちらも読んでみました。

    『仏果を得ず』と同様文楽を取り扱っている作品ではありますが、
    こちらは三浦しをんさんの文楽に対するエッセイ本になっています。

    『仏果を得ず』に負けず劣らず楽しくサクサク読むことができました。
    何が楽しかったかというと、三浦さんの文楽に対する熱意!!
    「好き好き、だーいすき!」という気持ちが各章で綴られていて、
    影響されやすい私は「文楽観たい!!」ムード一色になってしまいました。笑

    ド素人の私でも「文楽とは何ぞや」ということを知ることができ、
    且つ「文楽のこんなところが楽しい!」と言う魅力が伝わってきます。
    『仏果を得ず』でも取り扱われた演目が多く、(ほとんど被っているかな?)
    作品のもっと細かいあらすじや裏側、作者・演者の意図が
    噛み砕かれた文章によって紹介されているので、
    敷居が高いと思われがちな「伝統芸能」もかなり身近に感じることが出来ます。

    作品中にとある三味線さんのエピソードが紹介されているのですが、
    そのエピソードの引用元となった作品(『文楽のこころを語る』竹本住大夫さん著)を
    早速読んでいる私。。。もう充分に影響されています(^^)

  • 橋本治「浄瑠璃を読もう」を読んだり、小川洋子さんのFMで番組で冥途の飛脚を取り上げていたので、人形浄瑠璃に興味を持った。
    入門ガイドのつもりで手を出す。まほろ町シリーズのハードボイルドさは何処へやら、しをんさんはミーハーっぽく、キャーキャー楽しく文楽を語る。

    義太夫を語る太夫、三味線を弾く三味線、人形を操る人形の三業から成ると説明があり、わけても登場人物の台詞、心情、背景を語る太夫が中心とのこと。観客も人形を鑑賞するだけじゃなく、太夫の語りや三味線の技に目が行ったりとのこと。成程ねえ。
    ストーリーがトンデモだとか、勘平、お前それでいいのかとか、大星がキライだとか、普通のガイド本にあり得ない記述。そうか、そんなこと云っちゃっていいんだ。

    12章。「女殺油地獄」。動機のわからなさ。近松門左衛門(著者はもんもんと綽名ををつけている)が怖い。しおんさんの作家の目が怖い。
    14章。咲太夫さんへのインタビューが面白い。これを読むだけでも価値があると思う。

    イラスト、挿絵は漫画家の勝田文さん。この人の作品は読んだことある。ご自身の漫画の時より丁寧な絵と云ったら失礼か。かなりの文楽好きではとお見受けする。

    僕は数か月前から単身大阪住まい。先日、旅行の列車内でこの本を読んでいた。夜遅く新大阪駅に戻ってきたら静御前のお人形とバッタリ。ドキッとした。
    著者の「仏果を得ず」を読み、国立文楽劇場にも行こうと思っている。

  • 文庫になったので3回目。
    いやぁ、何度読んでも笑っちゃうんですよねw

    今回は文楽の世界で使われている「うつりがいい」「うつりが悪い」という言葉が印象に残りました。
    例えば、料理と器が合っていなかったら「うつりが悪い」というそうです。
    調和がとれているか、求められることに自分の中身やレベルが追い付いているか。
    ついつい、見栄をはって我が身に不釣り合いなものを無理にもってみたくなるときもあるのですが、そこで一度冷静になって自分を見つめてみます。
    はたして「うつりがいい」のかどうか。
    身の丈に合ったものをもちながらも、今の自分に満足せず、成長していきたいものだなぁ、と思うのでした。

    この本との出会いは、私に初めて文楽の舞台を観るきっかけを作ってくれました。
    今後も本書片手に文楽劇場に足を運びたいと思います。

    文庫版あとがきまでも貫かれる、しをんちゃんの三好松洛への愛がひしひしと伝わってきました。
    あ、もちろん文楽に対する愛も伝わってきますよ!

  • しをん嬢の「語り」を読むと文楽に興味が湧いてきた。よく落語を聞くので、義太夫には少しく馴染みがあった。しかし、「寝床」では義太夫語りというよりも素人太夫の破壊力に焦点が当てられた話。「どうらんの幸助」の下地にあった『桂川連理柵』も知らなかった。本書でとても良かったのは『仮名手本忠臣蔵』の解説だった。年末となれば時代劇でよく放映され、話の筋もよく知っているものと思っていたが、文楽として上演される忠臣蔵はとても面白そうだ。落語「蔵丁稚」では芝居見物での忠臣蔵だったんだな〜

  • 文楽を見に行くと言ったら、娘が進めてくれた本。
    文楽鑑賞にも役立ったが、何より、三浦しをんさんへの印象がガラリと変わった。今まで何冊か読んでいるが、これからはますます傾倒してしまいそう。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「三浦しおんさんへの印象がガラリと」
      他のエッセイ読んだ時に、何なんだコノ人は?と思いましたけど、、、観察眼の鋭さに吃驚しました!
      「三浦しおんさんへの印象がガラリと」
      他のエッセイ読んだ時に、何なんだコノ人は?と思いましたけど、、、観察眼の鋭さに吃驚しました!
      2013/02/18
  • 「仏果を得ず」の主人公健の、文楽に対する気持ちはほぼしをんさんの気持ちなんだなと思った。特に、演目の解釈について持つ疑問はそのまんましをんさんが持っている疑問だったので、微笑ましかった。
    倫理観や価値観は、おそらく現代の若い人が思っている以上に違っていると思う。今の価値観で判断するから理解に苦しむのであろうし、若いしをんさんならではの懐疑というのもあるように思われる。
    特に心中物に対する解釈とか(笑)。

    なんにしても、古典芸能に対する熱い思いがひしひしと伝わってきて楽しい。
    もしかしたら、実際に見るよりもこれを読んでいる方がよくわかって面白いかもしれないとすら思う。
    都会に住んでいる人や身軽な人ならともかく、そうおいそれとチケットを取って歌舞伎だの文楽だのを見に行けるものではないんだよなあ……。
    しをんさんの文章を読んで、脳内再生している方が幸せかもしれない。

  • 「仏果を得ず」を読む
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    「あやつられ~」を読む←イマココ

    初文楽、面白かったー!意外と敷居が高くない!文楽初心者にも易しい一冊。

  • すごーくすごーく面白かった!文楽がそれほどツッコミどころ満載だなんて知らなかった!文楽の魅力がすっごく伝わってきた!しをんさんのミーハーっぷりもかわいい♪絶対文楽観に行くゾ!しをんさんありがとう!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ツッコミどころ満載だなんて」
      アレ?と思いつつ了解ゴトだと思っていましたが、素直な目で見ると、やっぱり、、、
      昔の人は、どんな風に観ていた...
      「ツッコミどころ満載だなんて」
      アレ?と思いつつ了解ゴトだと思っていましたが、素直な目で見ると、やっぱり、、、
      昔の人は、どんな風に観ていたのかなぁ?と別な興味が湧いてきます。。。
      しかし、三浦しをんって観察眼鋭いですねぇ~
      2012/12/20
    • mao2catさん
      nyancomaruさん
      ほんとすごい観察眼と妄想力です!
      nyancomaruさん
      ほんとすごい観察眼と妄想力です!
      2012/12/20
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「妄想力です! 」
      おっと、肝心なコロを忘れてましたね!
      「妄想力です! 」
      おっと、肝心なコロを忘れてましたね!
      2013/01/11
  • 三浦しをんの文楽ものも、エッセイなら楽しく読める。この人はほんとに文楽が好きなのだ。
    特に文楽のタイトル解説は読みごたえがあった。そこはさすがプロの小説家、背景や人物描写の解釈が深くユニークだ。太夫や三味線、人形遣いなど、観客として見ていると伝統芸術の高みで手が届かないイメージだが、三浦氏のインタビューからは人間らしい声を身近に聞けるのが良い。こうやって「仏果を得ず」で等身大の彼らを描いたのだなと思う。
    人気作家が文楽を紹介することで、「試しに私も行ってみよう」と思うファンが出てくるかもしれないので、どんどん書いてくれるといい。本業の小説以外でね(笑)

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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