全体の感想を一言で言うと、とても優しい気持ちになれるお話です。
幼い頃、一度だけ逢った凛々しく優しい、思慮深げな青年。
ほのかな憧れを抱いていた彼と再会したその時、彼は別人のように変わっていた-という設定です。
しかも、主人公の志信は実の叔父に売られたも同然で、憧れていた「若さま」の「妾」として奉公することに自分でも知らない中になっていました。
昔一度見たきりの若様と今の変わり果てた姿に違和感を覚えつつも、懸命に若様にお仕えしようとする志信の健気なこと、、、
そして、志信を都合の良いように利用しようしている癖に、どこまでも悪人になりきれない若様の葛藤。
二人とも良い人だから、読んでいて、ちょっと切なくなりました。
ただ、「表向きの妾」として囲うのが女性でなく男性であれば、あまりその人の経歴に傷つかないという考え方は、ちょっと、どうでしょうか。
確かに女性ほどではないかもしれませんが、経歴に傷が付くことに変わりないと思います。
その辺り、若さまって少し自分勝手?
と、思わないでもないですが。
でも、読んでいて、ふんわりとした気持ちになれる良いお話であるとは思います。