作品紹介・あらすじ
図書館に行くと言って家を出た15歳のエリーが失踪。10年の歳月が過ぎ、ついにエリーの骨の一部が発見されるが、10年の間に夫婦関係は破綻、エリーの兄と姉も巣立ち、家族はばらばらになっていた。
エリーの葬儀をすませたローレルは数学者フロイドと知り合い、恋に落ちる。フロイドには9歳になる娘ポピーがいたが、ポピーに会ったローレルは愕然とする。エリーにそっくりだったのだ。さらに、ポピーの母親はエリーの家庭教師をしていたノエルであること、ノエルがポピーを置き去りにして姿を消したこともわかる。独自に調査を始めると、ノエルの家がエリーが最後に目撃された通りにあることも突き止め、ローレルはフロイドに疑いを抱きはじめる……。
感想・レビュー・書評
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15歳だった末の娘が失踪して10年後、遺骨となって発見される。
すでに夫とは別れ他の子どもたちとも距離ができ、ローレンの人生はすべてがかつてとは変わってしまっていた。
ある日カフェで出会った男性と恋に落ちるが、彼には9歳の娘がおりその子どもが失踪したエリーとよく似ていることに胸騒ぎを覚える。
先は気になるけど読んでいて気持ちのいい物語ではない。
何より突然人生と未来を奪われたエリーが可哀想で……。
結末は若干盛り上がりに欠け、綺麗にまとめ過ぎているように思う。
特にあの手紙の演出はいるのか?
追い詰められている人間の書く文章なのかな? と疑問。
男も自分を偽っていたのはわかるけど、「怪物」と言われるような恐ろしさは感じず、娘への愛情も偽りではなく本物だったように見えるし、可哀想な人でもあるような。
問題は女性に対して不誠実だったことかな。
読み返したら心理面で注意深く観察出来るのかもしれないけど読み終わった今は若干モヤモヤ。
あと二見文庫のロマンス・コレクションとミステリ・コレクションって別物なんだね。
こちらはロマサスではなくサイコスリラーです。
" Then She Was Gone " 2017年。
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『完璧すぎる結婚』を読んだときのようにドッヒャ~と驚きたくて本作を。
次女が失踪してから10年間、心身が弱り切っていた母親に訪れた幸せ。全体の3分の2ぐらいに差しかかる頃に嫌な予感に襲われ、そのまま奈落の底へ突き落とされます。
騙された感は『完璧すぎる結婚』のほうがずっと上ですが、なんとも言えないやるせなさが募り、物語としての面白さは同等。
亡くなった次女は還らないけれど、新たに気づかされたことはある。救いが見えます。監禁ものは映像化するとよりキツそうですが、観たい気もする。
それにしてもこの表紙、二見文庫の官能小説シリーズのほうみたい。
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15歳の娘エリーが行方不明になり10年、色褪せた日々を過ごす母ローレルが見舞われる違和感の数々。
あらすじにはサイコスリラーと書いてあるけど、不思議な読み心地の中に、ロマンスの要素もある…なんだかわからないまま一気読みしてしまった。
“普通”の選択肢を選んでいたはずが、痛ましい出来事になってしまった部分は決して後味が良くない。
それでも頁をめくる手を止められなかった。
終盤、“現在”の感情の解きほぐされた感覚とエピローグのやるせなさは、言い表す言葉が見つからない。ミステリーではなく、スリラー。
出来事が惨いとは思うけど、イヤミスとも違う。
人に何の薦めればいいか分からないけど、一気読みさせる力のある物語。
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著者プロフィール
リサ・ジュエル Lisa Jewell
ロンドン生まれ。バーネット・カレッジで美術を、エプソム・スクール・オブ・アート・アンド・デザインでファッション・イラストレーションを学び、トーマスピンクをはじめとした小売業界で数年働いた。
2008年に、”31 Dream Street”でメリッサ・ネイサン賞のロマンティック・コメディ小説部門賞を受賞。
リサの作品は16カ国後に翻訳され、200万部以上売り上げている。
「2020年 『そして彼女は消えた』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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