みんな蛍を殺したかった

著者 :
  • 二見書房
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本棚登録 : 2080
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576211015

作品紹介・あらすじ

R-18大賞受賞者である木爾チレンが原点に立ち戻り、少女たちの心の中にすくう澱みを映し出した著者渾身の書き下ろしミステリ!

2007年、京都にある私立女子高校に東京から美しく可憐な少女・七瀬蛍が転校してきた。
そんな中、大川桜、五十嵐雪、猫井栞と、それぞれ耽溺する世界をもつオタクが集う生物部に、蛍は入部してきた。
スクールカーストで底辺とされていた三人と心を通じ合わせるかのように、蛍は「私もね、オタクなの」と告白する。
四人はメールを頻繁にやりとりするようになったが、そんな中、悲劇が起きてしまう――。
そして、現在悲劇の歪みが連鎖する。

感想・レビュー・書評

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  • 私にとって、本を読むメリットは色々あります
    「楽しい気持ちになれる」「ためになる」「くだらないけど、ネタになる」などなど色々あるのですが、珍しくこの作品は何一つあてはまりませんでした…

  • 図書館本

    アニメの登場人物のように美しい蛍。
    自称オタクの蛍。
    蛍の過去が、蛍への憧れを持つオタ女たちを巻き込んで行く。
    著者は、きなチレンと読むらしい。

    サラッと読めた

  • 序盤は暗い感じで少々退屈だったけど中盤からは先が気になり一気読みでした。
    ただ、だれも幸せになってないし、なれてない。
    生きるのが苦しい、それがベースになっている小説でした。

  • 記念すべき、ブクログ100作目の感想。
    SNSをフォローしてた、けんごさんのパートナーさんということから知って、前々から気になっていた作品。
    「いつか読もう」と思っていたけど、ふと本屋で手に取ったら“京都の底辺女子校”が舞台と知って即購入した。

    京都の底辺の女子校…わたしの母校なんよね。
    (まぁいくつかあるうちの1つやけど)
    校舎がレンガ造り。ギャルとオタクが混在してる。
    指定外のイーストボーイのリボン。
    すべて身に覚えがあるのです…。ただ、京阪沿線ではないので「違うかぁ〜」となった。
    その後、同級生たちと、この小説の舞台の女子校がどこか!?って話で盛り上がりました。笑

    新京極のアニメイト…ほんまにあるんよなぁ。あの2階のとこね。昔は1階がかわいい雑貨屋でスイマーの筆箱とか売ってた。
    三条河原町のジャンカラは、ついこないだ忘年会で行ったし。

    時代設定が、2006年-2007年の高校生の話やから
    私より1つか2つ年上なんやけどね。作者と同い年。
    でも完全に同世代だからぜんぶの話がよく分かる。

    本当に面白かった。ミステリー要素も強めで、
    1人1人の生い立ちとか家庭の設定が緻密。
    みんな辛い思いしてるんだなぁって。

    序盤と、中盤と、終盤で、
    蛍に対しての見方がかなり変わる。
    みんな幸せになれ。なろう。
    小さな辛いことすら起こりませんように。

    いつか、アニメなり実写化なり、映像化を望みます!!

    木爾チレンさん、京都の文学フリマでお会いしたけど本当に素敵な方で、作品ともどもファンになった。
    『私はだんだん氷になった』も購入したので読むの楽しみだぁ〜

  • 転校してきた美少女・蛍。その彼女がなぜかオタクの巣窟・生物部に入部してきた。そして、ある日突然、蛍は線路に飛び込み自殺してしまう。

    3人とオタクと謎の美少女。後半は伏線の回収に費やされ、謎がすべて明かされるけど、あまりにもつながりすぎてリアルさがない。

    ラストもそうだけど、やりすぎだし、蛍は個人的にはあくまで怪物でいてほしかった。中途半端に人間味が残っているのがちと興醒めする。

  • 読み始めて気づいたらページを捲る手が止まらず、
    結局最後まで一気読みをしてしまいました。
    読んでいて終始ザワザワする感じは描いている世界観が
    とてもリアルだったからだと思います。
    学校におけるスクールカースト、SNSでの承認欲求、親からの愛情。
    “誰が”悪いわけでもないけど、”誰か”を悪く仕立てないと心が保てない。
    少しでもバランスが崩れると一気に崩壊してしまう(してしまった)様を
    この本を読んで感じました。
    結末はどうであれ、栞だけは幸せだったんだと思いたいです。

  • スクールカーストという言葉は僕の時代は無かったけれど、どの世代でも必ずある人としての優劣で引かれる線引き。その優劣というのが学校という単位だと、見た目が最大の要因になる事は明白です。見目麗しければとりあえず第一関門はトップ通過。ぶさいくは相当な武器が無いとどうにもならない世界です。本当に学校って嫌いだった。
    そんなカースト最底辺の3人の元に舞い降りた、類まれな美貌を持つ転校生「蛍」。その蛍がある日電車に飛び込んで木っ端みじんに飛び散る所から始まります。
    イヤミスと言われる分野が最近発達しつつありますが、これもそれ系の本です。
    先が気になる謎の疾走感があるのでスピーディーに読めます。
    まだちょっと練り切れていない部分があるので、もう何作か読んでみたい作家さんです。


  • みんな蛍を殺したかった
    木爾チレン(きなちれん)さん


    ある日、蛍という名の美しい少女が
    転校生としてやってくる。

    彼女はオタクが集まる部活に入るが、
    部員たちは蛍を訝しげ思いながらも
    その美しさに戸惑いながらも、かつて
    感じたことのない居場所を見出していく。

    スクールカーストと心に巣食う嫉妬や
    憎しみ、そして愛情の渇望の物語。

  • カースト底辺で生きるオタク女子達と美少女転校生『蛍』
    女子同士が絡む独特の本音と建前、深まる謎に高揚し、ラスト一文にはしてやられました。
    辛い現実や環境から逃避し、違う世界に没頭するしかなかったオタク達のアイデンティティと、自分に無い美への強い憧れをもつ虚しい気持ちがとても共感できた。
    ミステリとしても秀逸。

  • 面白かった。容姿、家族、恋人、才能。
    隣の芝生は青いなんて言うけど、一歩踏み込むと真実なんてわからないというのが、イヤミスの形で存分に表現されていた。人を羨ましく思う心は、自身が満たされないからこそ起きる感情なのだと思った。

    読み進めるごとに話の構造が複雑になるが、それを感じないほどわかりやすく、読みやすかった。ミスリードが複数潜んでいて、まんまと引っかかってしまった。

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著者プロフィール

チレン(きな・ちれん)
京都府出身。大学在学中に応募した短編小説「溶けたらしぼんだ。」で、新潮社「第9回女による女のためのR-18文学賞」優秀賞を受賞。美しい少女の失恋と成長を描いた『静電気と、未夜子の無意識。』(幻冬舎)でデビュー。その後、少女の心の機微を大切に、多岐にわたるジャンルで執筆し、作品表現の幅を広げる。近著に、引きこもりの少女の部屋と京都が舞台の恋愛ミステリ『これは花子による花子の為の花物語』(宝島社)がある。黒歴史と少女の淀みを描いたミステリ小説『みんな蛍を殺したかった』に続くのが、本作『私はだんだん氷になった』である。

「2022年 『私はだんだん氷になった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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