過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫 ブ 1-2 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 二見書房
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576870564

感想・レビュー・書評

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  •  私はアルコールが好きだ。舌が肥えていないので、今のところは安いビールでも構わない。まあとにかく、小説でお酒の描写があると何だか嬉しく思う節があるわけで。
     そして本書は、アル中で探偵をやっているという、まさに私好みのミステリとなっている。『過去からの弔鐘』、なんてかっこいい題名なんだろう!

    あらすじ
    アル中探偵マット・スカダー・シリーズ
    大都会ニューヨークで、人々は今日も孤独に生きている。元警官のアル中探偵への依頼は、ヴィレッジのアパートで殺された娘の過去を探ってくれというものだった。犯人は逮捕された後、独房で自殺していた。スカダーは二人の過去を調べはじめたが、意外な真相が明らかになっていく! 大都会の片隅で生きる人々の哀歌を鮮烈に描き出して人気急上昇の現代ハードボイルド・ミステリの傑作!

     本書は、マット・スカダー・シリーズの第一作目。訳者あとがきによると「いわゆる“新ハードボイルド”の探偵群の仲間入りを果たした」そうだ。そのあたりの知識は芳しくないので触れないことにするが、それでも殴りっぱなし系の探偵ではないことが分かった。多かれ少なかれ、ロス・マクのアーチャーを思い浮かべたり。

    好きなシーンの一つは、例えばこんな感じ。

    「コーヒーとお酒。なんだか変な取り合わせね」
    「そうかね?」
    「お酒は人を酔わせるもので、コーヒーは人を素面にするものだもの」
    私は首を横に振った。「コーヒーは人を素面にするものじゃないよ。コーヒーは人をただ眼覚めさせるだけさ。だから酔っぱらいにコーヒーを与えれば、それはよく眼覚めた酔っぱらいができあがるだけだよ」
    「それがあなたなの、マット? よく眼覚めた酔っぱらいというのが?」
    「私はそのどちらでもないよ」と私は答えた。「だから飲んでるのさ」

     スカダー、なんてかっこいい台詞を言うのだろう。それが全然寒くない。そもそも、コーヒーにお酒を入れて飲むことを知らなかったので、その描写に少し驚いた。「コーヒーわり」ってことだろうか。

     それで、スカダーが追う今回の事件は至って暗い内容のものだった。それなのに、スカダーの抑えられた言葉で和らいでいるような気がする。そして、この事件は今の日本でも通用するようなことだと思った。依頼を頼んできた父親を見て、父親って一体どんな生き物なのだろう……と。
    その事件に絡めて、スカダーが警官を辞めた理由も明かされていて、なんともやるせない気持ちになってしまった。教会に行くシーンだなんて特にそうだ。
     それでも、元の奥さんとの電話とのやりとりが、寂しくもあり微笑ましくもあり、幾分かは救われる。

    (百石)

  • アル中探偵マット・スカダーシリーズの1作目。飛び飛びで読んでいる(手に入った順)のですが。一作目から、もう良すぎ!!しっかりと出来上がった人物の魅力がたまらない。さすがだ。大都会ニューヨークで、人々は今日も孤独に生きている。元警官のアル中探偵への依頼は、ヴィレッジのアパートで殺された娘の過去を探ってくれというものだった。犯人は逮捕された後、独房で自殺していた。スカダーは二人の過去を調べはじめたが、意外な真相が明らかになっていく。

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著者プロフィール

ローレンス・ブロック Lawrence Block
1938年、ニューヨーク州生まれ。20代初めの頃から小説を発表し、100冊を超える書籍を出版している。
『過去からの弔鐘』より始まったマット・スカダー・シリーズでは、第9作『倒錯の舞踏』がMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長篇賞、
第11作『死者との誓い』がPWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長篇賞を受賞した(邦訳はいずれも二見文庫)。
1994年には、MWAグランド・マスター賞を授与され、名実ともにミステリ界の巨匠としていまも精力的に活動している。

「2020年 『石を放つとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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