仕込みもの

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  • 文化出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784579211999

作品紹介・あらすじ

辰巳流、保存食の集大成。和洋の仕込みものの叡智を解き明かす。梅干し、アイスバイン、生ハムまで130種。

感想・レビュー・書評

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  • 日頃から手間暇を惜しまず料理している人のための本。あるいは、今まで秘訣などを端折った3行5行レシピで過ごしていて、もっと家庭料理の知識や技を深めたい方のためのバイブルのような一冊。

    素晴らしい内容が凝縮されております。
    また、梅はお店で買うのではなく、お庭の木で無農薬でつくるのが前提になっております。赤紫蘇も摘んで直ぐ処理するべきなど、お庭がないと難しいかもしれません。





    たとえば梅仕事。5月から9月ぐらいまでの梅暦が載っています。梅は一気に取らず、硬いものは梅酒用青梅や梅肉エキス、梅シロップに。ジャム用の熟した梅、その間の梅で梅干、落ちた梅で梅ふきんなど。また赤紫蘇も無農薬有機栽培が前提なので、適度なお庭があるか、手間暇かけれる方でないと真似ができません。

    梅干しの作り方ひとつとっても、とても文字数が多いですが、コツや秘訣のすべでが凝縮されている印象です。是非一読すべきです。


    道具も酸性の具材など金属製を使ったらダメなものなど、細かく指示されています。ここは忠実に守らないとダメです。
















    目次
    梅仕事 
    梅干し、梅肉エキス、梅酒、青梅の蜂蜜漬けシロップ、煮梅、梅ジャム、いり酒、紅生姜



    仕込みもの

    漬ける 酢で ピクルス長期保存用、当座用、らっきょう、ぶどうの鈴、ベネズエラ風ピクルス、即席ピクルス、煮なます、甘酢生姜、菊花の甘酢漬、鶏肉の南蛮漬

        塩で アイスバイン、本式ザワークラウト、即席ザワークラウト、白菜漬、イカの塩辛、イカワタの洋風保存法

        味噌で 新牛蒡の味噌漬、穂紫蘇の味噌漬、身欠き鰊の味噌漬

        油脂で ドボ、ラードで煮てつくる鴨のコンフィ、ギリシャ風冷製、オイルサーディン、タラの白子のオリーブ油漬、牡蠣のオリーブ油漬、タラの白子と牡蠣のオリーブ油漬の味噌漬

        麹で かぶら寿司、べったら漬け、魚介類の三五八漬

        麹で 沢庵漬、煮沢庵、沢庵の粕漬、糠漬、魚の糠漬け

        粕で 茄子と胡瓜の粕漬、鱈子の粕漬け

    干す  塩に漬けて 寒塩引き、干物 鯵 甘鯛 イカ イカワタの味醂干し イワシの保存法

        そのまま 切り干し大根のはりはり漬け、早春の野のものと切り干し大根の甘酢漬け、かき餅、ミントの葉、カモミール

    煮る  砂糖で 栗の渋皮煮 栗のペースト茶巾絞り、スイートポテト風、マロンケーキ イチゴのジャム、花柚のマーマレード、アップルジェリー、金柑の甘煮、ぶどうジュース

        醤油で インゲンのいり酒煮、牛蒡の煮物、昆布の佃煮、筍の佃煮、ふきの葉の佃煮、伽羅蕗、鰹節の佃煮、なまり節の佃煮、かつおの佃煮、鮎の煮浸し

        その他で 大豆と鰊の炊き合わせ、身欠き鰊の西京煮、イワシの塩いり、イワシの酢煮、鯛味噌

    煎る グラノーラ、煎り麦、煎り小麦、煎り玄米、煎り大豆 煎りジャコ 鶏そぼろ 海老のそぼろ 鮭のでんぶ 鯖のでんぶ

    炒める 椎茸のデュクセル ネギのヴルーテ 炒め玉葱 茄子の焼き味噌 根性鉄火味噌篭城食

    蒸す 焼く エスカリバータ なまり節 レバーペースト テリーヌ

    〆る 昆布締め いか、小柱、小鯛、ぼら、鶏ささみ 〆さば

    発酵させる 甘酒 塩麹 カッテージチーズ ヨーグルト カイエポット

    包む 香草バターとプールマニエ、リエット


    スペインのソース
     サルサアリオリ→仔牛のロースト、網焼き
     クレマデアリオリ→海老の簡単グラタン
     サルサロスメコ→季節の野菜のグリル
             ロメスカーダ
     モホピコン→小粒じゃがいもの塩茹で
     モホヴェルデ
     サルサビカダ
     サルサバサヘ→イカとアサリのパエリアと雑炊
            スズキのオーブン焼き 馬鈴薯添


    イタリアのソース
     主なソース
     サルサポモロードフレスカ→卵料理
     サルサマリナーラ→ピザ
     サルサボロニエーゼ→豆腐のラザニア風
     サルサアマトリチャーナ
     サルサナポレターナ



    体に良い理由 梅干し、かき、オリーブ油、麹、糠漬け、ハーブティ、椎茸、葱、大蒜


    目次は以上。

  • ドキュメンタリー「天のしずく」を見たとき
    湯気の向こうの実存 という言葉が出てきて
    一気に気持ちが引けてしまった
    何なんだ?!

    それ以来、辰巳さんは
    料理を小難しくする人という感じで
    遠ざかっていたのだが。。

    この本に出会って、その認識は変わりました。
    哲学的なのだけれど、とても実際的で
    ひとつひとつの手仕事を、ものを、いのちを
    とても愛しんで、慈しんでいる人だと。

    その細やかな心遣いが、
    とてもきれいな日本語でていねいに綴られていて
    なんというか・・
    宝石のよう。

    生活に根付いた、
    日々の営みをていねいに扱う人の
    思いがことばになり、思想にまで高められている。

    なんて素敵なキラキラしていることでしょう
    生きてる言葉だから、なのでしょうね

  • 資料ID:W0175124
    請求記号:596.3||Ta 95
    配架場所:本館1F電動書架C

  • 装丁はモンドリアン(ブロードウェイ・ブギ・ウギ)。なるほど次はこの表紙かと納得がいく。前作『あなたのために』の虹のタイルのような表紙は作者にかけあって装丁に使用したとあったが、そのイメージと違わず、まさしくこのひとの料理は「構築」である。調理を精神論で終わらせない信頼性。一生ものの一冊。

  • 相変わらずおっかないおばあちゃん。ニシンの西京煮は猛烈に甘いがおいしかった。写真が違うだけでこうも違うものか。ともかくカメラの力。

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著者プロフィール

料理研究家、エッセイスト。1924(大正13)年生まれ。料理研究家の草分けだった母・辰巳浜子のもとで家庭料理を学ぶ一方、西洋料理の研鑽も重ねる。父親の介護を通じてスープに開眼する。鎌倉の自宅や周辺の施設でスープ教室を主宰し、高齢者や病気の方へスープを提供できるよう指導している。「大豆100粒運動を支える会」会長を務める。 著書に『辰巳芳子の旬を味わう -いのちを養う家庭料理』、『辰巳芳子 慎みを食卓に -その一例』(ともにNHK出版)がある。

「2020年 『辰巳芳子 ご飯と汁物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辰巳芳子の作品

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