新訳 ビーグル号航海記 下

  • 平凡社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (526ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582541397

感想・レビュー・書評

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  • 突然入院することとなり再度読もうと持ち込んだ。
    上下巻のうち下巻は、南米チリからガラパゴス、タヒチ、ニュージーランド、オーストラリア、タスマニア、キーリング島、モーリシャス島、そしてイングランドで終わる旅の後半が記されている。
    下巻ではなんと言っても著者ダーウィンの「サンゴ礁の形成」についての見事な考察が読み手を魅了する。まあ個人的な見解かもしれないが...。1809年生まれのダーウィンは22歳から5年という月日をこの航海で過ごし、1839年に本航海記の初版を発行、若干30歳足らずで考察を仕上げていたことになる。また、ガラパゴス諸島での陸鳥「フィンチ類」のくちばしの島ごとに異なる形状に係る考察も後の「進化論」に繋がる考察としてワクワクさせられる。
    やはり進化論につながる旅を一緒にさせてもらっていると思うとワクワクさせてくれる一冊だ。

  • 測量目的の英軍艦ビーグル号に、唯一人の科学者として便乗し、いわば「剣に守られたペン」として未知の世界に冒険に出かけた若きチャールズ。弱冠二十歳余の科学者
    の世界道中、その意外なヒューマニズムも散見できる。
    リベラルアーツ:kawakita

    https://bit.ly/3cwOvLa

  • 割と分かりやすい本だったわ、ガラパゴス楽しいだわー❣️

  • 20代のダーウィンを世界的な科学者にした5年間にわたる世界一周航海の記録。帰国して8か月で書かれた初版には進化論的な内容はないが、8年後に書かれた第2版(翻訳もこちらの版から)にはすでに進化論的な記述がある。
    (選定年度:2016~)

  • ダーウィンによるビーグル号航海記に下巻。
    下巻ではチリを始め、かの有名なガラパゴス諸島へも足を延ばします。太平洋側のルートが多いと言えるでしょう。

    また、一つの特筆すべき事例は1835年のチリ地震に居合わせた、その記録が書かれています。
    地震の話も含め全体としては地質学に関わる話題が多いですが、やはりガラパゴス諸島での生物観察記録は各島での生物種の些細な違いを分析しており、面白いです。

    最後は旅の魅力を語って終わりますが、旅行記としても面白い読み物だと思います。上巻よりもダイナミックな描写が多かったのではないかと感じました。

  • 1959年に岩波文庫からビーグル号航海記の翻訳が上中下巻3部作で発売され、筆者はこれらを過去に読んだことがある。昨年6月平凡社から新訳の上下巻が同時発売され、読み直した。
    単行本は税別で上巻2300円、下巻2400円と少々値段がお高いのが難点だが、航海記の和訳コレクションとしてはそれだけの価値があるというのが読後の感想である。
    新訳の特徴を岩波文庫版と比較していくつか列記してみると、
    1)ビーグル号の世界一周の航路(Tracking Chart)が、1831年12月27日のプリマス出港から1836年10月2日のファルマス帰港まで、滞在先の年月日も含めて訳されている。
    2)ダーウィンが行った南米大陸内陸部の調査について、日程と調査経路の図が訳されている。
    3)原注訳に加えて、訳者による注記が充実しており、この訳者注記だけ読んでも楽しい。訳者は博物学研究家。
    4)挿絵は、訳者あとがき「ダーウィン初期の出版事情」によると、1890年に発刊された「種の起原、イラストレーテッド・エディション」の挿絵を大部分転載したと
    のことである。因みに、ビーグル号のイラストは少ないが(数えてみると、上巻で6、下巻で3)、船底の補修のために浜辺に乗り上げた姿や、イギリスへの帰還を急
    ぐために、スタンスルを全て張り出した姿のイラストが含まれている。
    5)ダーウィン関連の略年表が、日本と世界の出来事を並記して一覧させている。
    6)索引が充実している。生物名、人名、地名に分かれており、後で必要箇所を読み直すのに大変便利なものになっている。
    この航海記は、進化論へとつながる自然誌や探検というよりは、地質学や博物学の記述である。ビーグル号の航海の本来の目的は、生物学などの研究ではなく、南アメ
    リカ大陸の海岸の測量や世界各地の緯度の測定であった。ダーウィンは、この測量航海に同行する博物学者兼フィッツロイ船長の客人としてビーグル号に乗船した。
    観察と蒐集に熱中し、南米各地を調査し、ガラパゴスでフィンチの嘴などから進化論のヒントを得るといったところを記述している。因みに進化論が発表されたのは、
    5年間の大航海を終えてから23年後となる。
    ビーグル号航海記では、ダーウィンがチリ内陸部を歩き、地震や津波に遭遇した体験を記述している。筆者は、2006年~2009年に二度目のチリ駐在を行い、この期間に、サンティアゴ日本人学校で小中学生を前に「日本・チリ・太平洋」と題して講話を行い、この中でダーウィンのチリにおける探索やビーグル号の航海を紹介したことがある。1960年に史上最大規模の地震がチリ南部のバルディヴィアで発生し、地震発生のメカニズムや、津波はジェット旅客機並みのスピードで太平洋上に伝わり、日本の三陸海岸に1日で到達し大被害を及ぼしたことなども話した。ダーウィンがチリを歩き回ったのは1834年の7月から1835年の7月までの1年間で、アンデス山脈の生成などの様子の観察の記述は多いが、地震と津波の記述
    は被害状況にとどまっている。それから二百年も満たぬ間に、学問が発展し今日の地震や津波の豊富な知識や太平洋の警報ネットワークを思うと、自然現象を科学的に解明し、自然災害の歴史に謙虚に向き合おうとする人類に対して、多少ならず誇りすら感じさせる航海記でもある。

  • 自分が一番尊敬する科学者はC.ダーウィンだ。なので、誕生日にこの本を贈って貰えたことは、非常に嬉しい。
    この本からは、ダーウィンが優れた博学者、冒険者、人道家であったことが分かる。また、地質学や生物誌を記す文章からは、彼がまぎれもないセンス・オブ・ワンダーの持ち主であったことが読み取れる。それこそが、彼をもっとも偉大な科学者たらしめたものだろう。ひよっこ科学者として見習いたい。

  • 第12章 中央チリ
    第13章 チロエおよびチョノス群島
    第14章 チロエ島とコンセプシオン、大地震
    第15章 コルディエラの峠道
    第16章 北部チリとペルー
    第17章 ガラパゴス諸島
    第18章 タヒチとニュージーランド
    第19章 オーストラリア
    第20章 キーリング島―サンゴ礁の形成
    第21章 モーリシャス島からイングランドへ

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