洒落者たちのイギリス史 (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社
3.63
  • (0)
  • (6)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 74
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582760088

作品紹介・あらすじ

社会的地位の基準はどのようにしてからへと変わったのか?ファッションという日常・具体的な視点から、近代英国社会の全体像を浮き彫りにする。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ファッションに注目した近世社会経済史。「フランス・オランダなど大陸西欧諸国に対して従属的であったイギリスで、なぜ工業化がいち早く進んだのか?」という問いに対して、身分制秩序の崩壊→「舶来品」信仰を抱えた大衆的な消費市場の形成に答えの一つを見出す。つまり、高級イメージに洗練されたパリ・モードではなく、野暮ったく大衆的なロンドン・モードだからこそ、工業化がもたらされたのであった。

  • 服飾を通して英国の近代社会史を語る。

    <BLOCKQUOTE>
    近代ではステイタスを決めるのは、究極的には生活様式だ
    </BLOCKQUOTE>
    <BLOCKQUOTE>
    むしろ生活様式はステイタスによって決められており、その逆ではなかったことは明らかである。
    </BLOCKQUOTE>

    16世紀と18世紀の「消費革命」によるテイストの変化が、家柄や血筋といった"身分"から"富"へとステイタスの決定要因を変えた。

    そのことによって<Q>『マイフェアレディ』型の社会</Q>が誕生し、イギリスはナイトからジェントルマンの国へと変わって言った。

    蛇足ながら、マイフェアレディが単なるラブ・ロマンスではなく、ジェントルマン階級はただ教養や生活様式を維持しうる余暇と経済力に勝っているだけで、生身の人間そのものには何のちがいもないのだというバーナード・ショーによる批評が込められているという導入部は上手い。
    一気に論に引き込まれていく。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1940年大阪市生まれ。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科博士課程中退。大阪大学大学院文学研究科教授、名古屋外国語大学教授、京都産業大学教授、佛教大学教授などを経て、現在、大阪大学名誉教授。著書に『工業化の歴史的前提』(岩波書店)、『洒落者たちのイギリス史』(平凡社)、『民衆の大英帝国』(岩波書店)、『砂糖の世界史』(岩波書店)、『世界の歴史25 アジアと欧米世界』(共著、中央公論新社)、『イギリス近代史講義』(講談社)、訳書にウォーラーステイン著『史的システムとしての資本主義』(岩波書店)、コリー著『イギリス国民の誕生』(監訳、名古屋大学出版会)、イングリッシュ/ケニー著『経済衰退の歴史学』(ミネルヴァ書房)、ポメランツ著『大分岐』(監訳、名古屋大学出版会)他多数。

「2013年 『近代世界システムIV』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川北稔の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×