- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582760088
作品紹介・あらすじ
社会的地位の基準はどのようにしてからへと変わったのか?ファッションという日常・具体的な視点から、近代英国社会の全体像を浮き彫りにする。
感想・レビュー・書評
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ファッションに注目した近世社会経済史。「フランス・オランダなど大陸西欧諸国に対して従属的であったイギリスで、なぜ工業化がいち早く進んだのか?」という問いに対して、身分制秩序の崩壊→「舶来品」信仰を抱えた大衆的な消費市場の形成に答えの一つを見出す。つまり、高級イメージに洗練されたパリ・モードではなく、野暮ったく大衆的なロンドン・モードだからこそ、工業化がもたらされたのであった。
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服飾を通して英国の近代社会史を語る。
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近代ではステイタスを決めるのは、究極的には生活様式だ
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むしろ生活様式はステイタスによって決められており、その逆ではなかったことは明らかである。
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16世紀と18世紀の「消費革命」によるテイストの変化が、家柄や血筋といった"身分"から"富"へとステイタスの決定要因を変えた。
そのことによって<Q>『マイフェアレディ』型の社会</Q>が誕生し、イギリスはナイトからジェントルマンの国へと変わって言った。
蛇足ながら、マイフェアレディが単なるラブ・ロマンスではなく、ジェントルマン階級はただ教養や生活様式を維持しうる余暇と経済力に勝っているだけで、生身の人間そのものには何のちがいもないのだというバーナード・ショーによる批評が込められているという導入部は上手い。
一気に論に引き込まれていく。