- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582761528
感想・レビュー・書評
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「一言でいってしまえば、現在において批評が可能であるとすれば、それは追悼行為としてではないか」―そんな印象的な言葉から始まる思想史家・市村弘正の初期エッセイ集。学生時代に市村氏のあるエッセイを読んだことが自分の人生観に重大な影響を与えていると断言できるほど自分の中では重要な人なのだが、5年ぶりに彼の著作を最近読み返し、やはりそれは間違いではなかったということを改めて確信できた。弱さに寄り添い失われようとする声に耳を傾けること、名付けられなかった者達に注視すること。それを丁寧に、重層的に意味と感性を込めてに表そうとすること。市村氏が紡ぐ言葉は、自分にとって未だ希望であり続けている。
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「名づけの精神史」というタイトルに惹かれて買ったのですが、届いて読み始めて、11篇をまとめた本だと知って驚き。
読みたい本はいっぱいあるので、「名づけの精神史」と、1篇目の「物への弔辞」だけ読んだ。
「名づけの精神史」めちゃくちゃ面白かった。
コンパクトに、まさに読みたかったことが書いてあった。
また、機会があればパラパラめくろう。 -
まだ理解できない。また時間をおいてゆっくり読み直したい。
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決して読み易い本ではない。
しかし、その選ばれた言葉と、それらがもたらすイメージとを感じ取りつつ、筆者の思考の跡に漸近していくのは、なかなか知的に楽しい作業である。
このような本を読まなくても、もちろん毎日生きていけるわけだし、求めて難読の苦行を自らに課すこともなかろう。
でも、この筆者のように、「私たちがこの世界を生きていくということは、どういうことなのか」という問いに、真摯に応えようとしている人がいるということが、私たちを勇気づける。そして、社会の表層下の相貌に私たちの思いを導くのである。