- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582764833
作品紹介・あらすじ
万葉の自然はすっかり姿を変えてしまったが、万葉びとの歌心はしっかりと今に息づいている。日本各地にある万葉の地を訪ね歩き、草陰にひそんでいる古代の人の足跡、風のそよぎに感ぜられる万葉びとの詩情を、時代と風土との関わりのなかから説き起こす、「犬養万葉」の集大成。
感想・レビュー・書評
-
故犬養孝先生が万葉集にゆかりのある土地を巡り歩かれて、其処を詠んだ歌とともにその場所の現況を称える、或いは(開発などにより面影が無くなっているような土地について)嘆くという、フィールドワークとはこのようなものかと教えてくれるシリーズの第一巻です。
歌は詠まれた時代、詠まれた場所に還元して初めて活きるという犬養先生のスタンスがこの本からも伝わってきます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
万葉集の詠じられている大和の各地名を、
その読まれた和歌と一緒に解説してゆく本である。
案内人はいわずと知れた万葉歌の泰斗、犬養孝である。
最初は、下記の通りである。
<宜寸川(よしきかわ)>
「吾妹子に 衣春日の 宜寸川(よしきかわ)
よしもあらぬか 妹が目を見む 読人不知 」
想う女性に、衣を貸したい(衣春日)が、 この流れる宜寸川のように
そのよし(方法)がないものか その人の 目を見たい(逢いたい)ものだ。
二つの掛詞を使って、何とかして好きな女性に近づきたいという
読み人の切ない気持ちが伝わってくる。
春日神社の北を流れ、東大寺の南大門の南を横切り、
依水園の苑内を流れて佐保川に合流する宜寸川。
依水園で、今は細くなった流れを見たことがある 。