ルネッサンス夜話 (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 84
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582768336

感想・レビュー・書評

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  • ルネッサンス期の歴史小話。そこそこ面白いが自分にははまらなかった。

  • 金持ちは天国にいけないと伝えるキリスト教と資本主義はどのように相性がよくなってきたのか、またダ・ヴィンチの描いたアンギアーリの戦いのような傭兵同士の争いは、一般的なイメージの戦争と何が違うのか、等ルネサンス期のヴェネチアやフィレツェの小話が続き大変興味深い内容だった。

    デューラーの銅版画メランコリア、右下にいる人物は書き込みが凄まじいせいで年配の男性だと勘違いしていたのだが、女性だったんですね…

  • 発見することの多い充実した内容で、読みやすくて、読み終わった後に「オレ、なんだかちょっとかしこくなっちゃったかも」と思えて、他人に紹介したくなる本です。【2019年9月11日読了】

  • 碩学の溢れ出る知見に感動しながら、芳醇な読書の時間を満喫した。

  • 高校生の時に世界史の授業で参考文献として挙げられていて、読んでみたら面白かった。改めて読んでみると、ルネサンスを生きた人々の生活がよくわかる。

  • これは美術史ではなく、その周辺(商人や傭兵、娼婦など)のお話。
    話題がはっきりしていて読みやすい。

  • 個人的にとくに興味深かった頁をまとめて下に記す。

    ↓↓↓

    p.83
     同頁の前章にて、15世紀フィレンツェの「現代版確定申告」のようなものの話がある。この「カタスト」と呼ばれる徴税制度自体も興味深いが、人が自身の収支を行政へ申告する際、なるべく景気の悪いことを書くというのが今も昔も変わらずというのが具体的事例付きで示されており、これはさらにおもしろい。ルネサンスの人々が急に近しい存在のように感じられた。

    p.135〜136
     同頁の章の前後にて、ルネサンスの時代を境に、イタリア半島における戦争の姿が変わっていくという話がある。著者曰く、イタリアにフランス軍が進軍する以前、半島内の戦争はほとんど軍事パレードのようなもので、戦死者の数も多くなかったという。戦争の神であるはずのマルスでさえ、ボッティチェリによって描かれた《マルスとヴィーナス》(1483-86年)のなかでは、武具も身につけずに寝ぼけてしまっている。
     しかし、イタリア戦争をきっかけとして半島諸国の戦争のあり方が一変する。というのも、フランス軍やのちに攻め入ってくるスペイン軍のそれは、まさに文字通りの戦争であって、市民をも巻きこみ容赦なく人を殺傷するものだったからである。
     興味深いのは、ここで著者が紹介している木版画である。それは本の扉絵として1520年代につくられたものらしく、うず高く積みあげられた戦勝記念標が二つ描かれている。さらに、それぞれのうえにはマルスとベローナがおり、武器を持っている。しかし、前者の手には剣や槍などの旧来の武器があるのに対し、後者の手には大砲や爆薬があるというのである。この図版は、16世紀はじめの人々の戦争に対する意識の変化を端的に象徴しているといえるだろう。著者は、「たとえばロダンが戦争の神を掘り出した時には、それはもはやマルスではなくて、ベローナだったのである」と結んでいる。


     期待していたので、再版はうれしい。著者は美術史家であり、多数の論文・書籍・図版の解説を執筆している。そのうちのいくつかにはすでにお世話になっているが、その知識の幅広さと深さ、尽きない探究心には驚かされる。また別の本も読んでみたい。

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著者プロフィール

高階 秀爾(たかしな・しゅうじ):1932年、東京生まれ。東京大学教養学部卒業。1954ー59年、フランス政府招聘留学生として渡仏。国立西洋美術館館長、日本芸術院院長、大原美術館館長を歴任。現在、東京大学名誉教授、日本芸術院院長。専門はルネサンス以降の西洋美術史であるが、日本美術、西洋の文学・精神史についての造詣も深い。長年にわたり、広く日本のさまざまな美術史のシーンを牽引してきた。主著に『ルネッサンスの光と闇』(中公文庫、芸術選奨)、『名画を見る眼』(岩波新書)、『日本人にとって美しさとは何か』『ヨーロッパ近代芸術論』(以上、筑摩書房)、『近代絵画史』(中公新書)など。エドガー・ウィント『芸術の狂気』、ケネス・クラーク『ザ・ヌード』など翻訳も数多く手がける。

「2024年 『エラスムス 闘う人文主義者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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