坂茂の家の作り方 (くうねるところにすむところ:家を伝える本シリーズ 30)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 38
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582835885

感想・レビュー・書評

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  • (No.13-37) 坂茂の建築した家の写真とラフな設計図、説明文、で構成されている本です。

    私は坂茂という人を知りませんでした。
    でも東日本大震災の後、被災地で活躍している建築家がいることは何かで読みました。
    避難所の間仕切りシステムやコンテナの仮設住宅には驚いたし、感心しました。
    この本を図書館で見つけたとき、この人だったのか!と嬉しかったです。

    本を読み終わった直後、坂さんがテレビのカンブリア宮殿という番組に出演していて、なんて素敵なタイミングだろう!と更に嬉しく思いました。

    この本でもテレビでも「紙菅」について建材として充分な強度があるという説明でしたが、私はもう少しいろいろ知りたかったです。ログハウスなど紙菅が外壁になっている家は、風雨に対してどのような対策をしているのかすごく興味があります。

    ただ、長期間もった実績はあることをテレビでは言っていました。
    阪神大震災後、倒壊した教会を紙菅を使った仮設で再建。数年もてばという考えだったが結局10年くらいは使い、スマトラ島沖大地震の後望まれてあちらの教会として全部持って行って建て直し、それ以来今でもその教会は使われているそうです。
    分解するのももう一度組み立てるのも、普通の建材と違って大変簡単なのだとか。

    今はニュージーランドのクライストチャーチで、倒壊してしまった教会の仮設教会を建築中だそうです。本建築の教会は10年後くらいに資金のめどが付いたら建てる予定で、それまでの心の拠り所に仮設教会を作るということらしい。
    このことは本には書いてなかったのですが、今年出版の本なのでその情報くらい入れて欲しかったな。

    彼はきちんとお金を儲けつつ、無償で世界中を飛び回ってボランティア仕事もする生き方をしていることを知り、すごい人が日本にいるんだなあと誇らしく思いました。

  •  建築家 坂茂が設計した住宅などの作品集。
    シャッターで昇降すると内外の空間が連続したり仕切られる家や家具が家の構造になった家、面白いアイデアで快適な家を設計する人だなと思った。
     設計だけでなく、被災地への支援も積極的に行なっている。阪神大震災のとき家を失った難民に提供した仮設住宅、東日本大地震のとき避難民のプライバシーを守るために作られた紙の間仕切り、最近ではウクライナからの避難民へ紙の間仕切りを支援していた。
    避難場所はプライバシーがない。一時的に避難する場所としてはいいものの、長期化するとかなり苦しいだろう。ローコスト且つ簡易的にプライバシーを守るシステムは避難者にとって嬉しいものだろう。
    見習うべき建築家の一人。
     

  • 国内外で活躍されている日本人建築家の本です。珍しい材料や素材を使った家や空間を作り、みているだけで楽しくなる内容です。作品集なので、読みやすいと思います。(TKさん)

  • 建築家坂茂のつくった家が写真で紹介されている。
    私が坂氏を知ったのは、東日本大震災で避難所となった体育館に作られた「紙の間仕切りシステム」である。
    氏は、他にも紙管を使って教会なども作っている。
    そのアイデアは、独創的だけれども、決して奇をてらっているわけではない。
    ローコストでデザインするということから生まれた発想である。
    そして、ただ見た目が格好いいというだけでなく、人の気持ちを穏やかにしたりというもっと奥の深い作用がある。
    家を作るのは、美術館やオフィスビルを作るより難しい作業だという。
    それは家というのは、住まう人それぞれの価値観、生活スタイルがあるからだ。
    本書に出てくる家に住んでいる人たちは、私とは全く違う生活スタイルだろうが、どの家も住んでみたくなるような、ため息がでるほど素敵な家ばかりである。

    子供に向けても書かれているので、大人だけでなく子どもにとっても大いに刺激的な一冊だと思う。
    丁寧に作られたとても良い本である。

  • ★★★☆☆
    デザインハウス。
    紙やカーテンやシャッターを主役に考えられた設計の家。
    空間を仕切ったものが家なのだなあと気付かされた。

    災害時に坂茂さんがデザインしたものも紹介。
    ・阪神大震災のときの、ベトナム人のための紙のログハウス。
    ・東日本大震災のときの、避難所用の紙の間仕切りシステム。

    この本には載っていませんが、先日ニュースでニュージーランドの震災で全壊した教会の仮の建物を紙で建ててはるのを紹介してました。
    どんな紙を使ってるんでしょ??
    (まっきー)

  • 家をテーマにした写真絵本シリーズなのかな?
    これは坂茂の「作品」がならべられている。
    写真と図面。説明は最小限。
    だから図面を読んだり写真から全体を想像したりする能力に乏しい私にはうまく読めない。
    きれいだけど。

    最初と最後の文字の部分を読むと、どうやら坂茂という建築家はその場所との調和を大事にする人らしい。
    空気、空間、手に入る素材。
    最良の組み合わせを見つけたらおのずと美しくなる、というデザインらしい。

    でも私は写真から、「掃除しにくそう」「これは展示するにはいいけれど、長く住む場所じゃないなあ」という感想を持った。
    紙管の家って風雨に耐えられるのかなとか、
    カーテンやシャッターの家は台風の時どうするのかなとか、
    阪神大震災の仮設が「ベトナム人たちの」となっているのは、たまたまそこに入居した家族を写しただけなのか、ベトナム人だけ紙の家に押し込められているのか、どんな事情なんだろうとか、
    そんな感想しかでてこない。

    すごく面白いことをしていそうな気がするのだけれど、この本だけでは情報が足りない。
    情報を得るための本ではないと思うけれど。
    これを素直に楽しむには、建築や美術の素養がないとちょっと厳しい。

  • 身の回りにある素材をつかって、縁側のような室内でも室外でもない、あいまいだけど、自然や時間の移り変わりが感じられる、気持ちのいい空間をつくる。そんな中で、導きに素直に従ってできたものは、結果として美しい。

    結果として美しいって、なかなか難しいですが、心していきます。

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著者プロフィール

建築家

「2017年 『坂茂の建築現場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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