夜ふけに読みたい 不思議なイギリスのおとぎ話

  • 平凡社
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本棚登録 : 314
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582838022

作品紹介・あらすじ

「ジャックと豆の木」「三匹の子豚」など、日本でもおなじみのおとぎ話を外国文学の翻訳で定評のある二人が新たに編集・翻訳。大人も子どもも声に出して読み楽しめる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルだけではピンと来ない方も、この表紙絵を見れば思い当たるかも。
    「ジャックと豆の木」の有名なシーンで、描いたのはかのアーサー・ラッカムさん。
    何とまぁ、8ページ目にご本人のお写真付きという大サービスで、しかもその肩の上にはチェシャ猫とチェッコ猫の姿もある(!!!)。
    そしてこの本のガイド役は、このふたりの猫たち。まぁまぁ、なんて贅沢だこと。
    (☆チェシャもチェッコも、ラッカムさんの飼い猫の名前です☆)

    どなたもよーくご存じのお話ばかり19話。
    でも紹介する人が違うとこんなにも印象が違うという、典型のような民話集。
    千年以上も前から伝えられてきたイギリスのお話たちは、これまではジェイコブスという編者の手によるものが大半だった。
    ちょっと硬質で気難しく、皮肉とパンチの効いたお話したち。
    私はそちらが大好きで、イギリス民話ほど面白いものはこの世にないと思ってきた。
    ところがこちらはフローラ・アニースティールという女性の本からいくつか選んでまとめたもので、ミステリー・ファンタジーに精通したふたりの翻訳家が厳選したお話。
    そこに、アーサー・ラッカムさんの少し怖くて可愛い絵が加わってる。
    読みやすく楽しく気難しさも皮肉もどこかに消えて、ごくさりげなく教訓をにおわせている。
    読み聞かせにはもちろん、大人が読んでもじゅうぶん面白い。

    「赤ずきんちゃん」の原話は、オオカミに食べられて終わり。
    「猟師」という存在を考え出したグリムの功績は大きい。
    しかも、シャルル・ペローの創作かと思っていたが、これも認識を改めることになった。
    ルーツは北欧神話で、フェンリルという冬の魔物が太陽を飲み込んでしまうから北欧の冬は真っ暗だという。
    このフェンリルがオオカミで、太陽が赤ずきんちゃんということらしい。
    そんな壮大なお話しだったとはね。

    大魔術師マーリンが登場するのは、「妖精王の黒い塔」。
    その中で「キリスト教徒の男の臭いがするぞ」と言って、妖精王が攻撃を仕掛けてくる場面がある。
    古いものが大好きなイギリスには、昔は色々な神様がいたらしい。
    ところが、キリスト教に負けて妖精やお化けにされたという経緯があるという。
    そんなことを知ると、表面だけを見て残酷だの理不尽だのとは安易に言えないものだ。

    タイトルに忠実に夜更けに読んだ私だが、もちろん昼日中でもOK。
    時空を超えた不思議な旅に、皆さまを連れて行ってくれる本。

    • goya626さん
      チェッコ猫とは?えっ?
      チェッコ猫とは?えっ?
      2020/02/01
    • nejidonさん
      goya626さん、分かりにくくてすみません。
      あとで書き換えますね。

      チェシャ猫はご存じですよね?
      「チェシャ」も「チェッコ」も...
      goya626さん、分かりにくくてすみません。
      あとで書き換えますね。

      チェシャ猫はご存じですよね?
      「チェシャ」も「チェッコ」もラッカムさんの飼い猫の名前なんです。
      (ところが、挿絵のチェシャのモデルが「チェッコ」なんですよ・笑)
      アリスのお話の中でチェシャは「チェシャ猫」と言われているので、チェッコも「チェッコ猫」と呼んでみました。
      この本の中でもそう言われていましたので。
      すみません・・そういうことなんです。
      2020/02/01
    • goya626さん
      ありがとうございました。この間、メガネ市場女房がメガネを作ったのですが、そこの袋の絵が猫でチェシャ猫みたいでした。店の人に「この絵って不思議...
      ありがとうございました。この間、メガネ市場女房がメガネを作ったのですが、そこの袋の絵が猫でチェシャ猫みたいでした。店の人に「この絵って不思議の国のアリスの猫・・・」というと「ああ、チェシャ猫ですね」と言っていました。そういう意識があるようです。
      2020/02/01
  • 「夜ふけに読みたい」とあったので、数日かけて“夜ふけ”にひとりで読みました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    タイトルにひかれて読み始めました。
    「夜ふけに読みたい~」というシリーズ本のようですね。
    こども向けかおとな向けか、各話にしるしがつけられていますが、全体的にはおとな向けの印象をうけました。
    なじみの話もそうでない話もありましたが、その中のいくつかは、“絵本”で読みたいなと思いました。

    「おばあさんとお化け」は、こんなふうに何がおこっても「自分はついてる」と考えられるって素敵だなと、おばあさんとともに最後はくすりと笑いました。
    何かが起こっても、それを悲劇ととらえていつまでもメソメソしているより、そこからしあわせな方向へ考え方をもっていけるこのおばあさんのように生きたほうが、人生絶対楽しめますものね。

    イギリスのおとぎ話のせいか、美しい娘さんや姫の登場するお話も、多めだった気がします。
    子どもがつらい目にあうシーンは、おとぎ話の中といえど心がいたみますが、そういうシーンのときは逆に絵がなくてよかった、と心底思いました。
    そして一番こわいのはやっぱり、魔女でもお化けでもなく、“人間”だなあ…と、つくづく思うのでした。

  • 先日「イギリスとアイルランドの昔話」石井桃子(福音館書店)が出てきたので、思い出した、、、未だ買ってません。。。

    夜ふけに読みたい 不思議なイギリスのおとぎ話 - 平凡社
    https://www.heibonsha.co.jp/book/b432544.html

    谷澤茜の2020年のノート|note
    https://note.com/nyawaraban/archives/2020

  • あれあれおたすけ 9−10
    三びきの熊の話 11−19
    トム・ティット・トット 20−33
    三枚の羽根 34−46
    金のまり 47−54
    ジャックと豆の木 55−79
    ねこっ皮 80−88
    三びきの子豚 89−97
    ノロウェイの黒牛 98−111
    めんどりペニー 118−124
    井戸の三つの首 125−138
    フォックス氏の城 139−147
    おちびのスコーン 148−155
    赤ずきんちゃん 156−160
    妖精王の黒い塔 161−175
    おばあさんとお化け 176−180
    イグサのずきん 181−196
    ロバとテーブルと棍棒 197−202
    バラの木

  • 王子様、お姫様、お城、といった中世ヨーロッパの世界観のお話が多く、まるでディズニーの世界のようだと思いながら読みました。
    帯文にもあったように、日本でよく知られている物語とは結末の違ったお話もあり(3匹のクマや赤ずきんなど)、面白かったです。

  • 「ノロウェイの黒牛」がすごく好き。
    ジャックと豆の木は自分が覚えていた内容と違っていて、そんな話だったのかぁと驚いた。人喰い鬼だったのか。

  • イギリスの昔話って好きだな。大半はすでに知っているものだったけど、読んだことのない話は新鮮だった。イギリスの昔話というと日本ではジェイコブズという編者のものが主流だそうだが、この本はフローラ・アニー・スティールという女性の本からいくつか選んでまとめたものだとか。アーサー・ラッカムの挿絵もすごく良くて素敵な本です。

  • イギリスの昔話をなるべく古いオリジナルのまま集めたアンソロジーの邦訳。

    三匹の熊や三匹の子豚、赤ずきんちゃんやジャックと豆の木などのメジャーなものから、トム・チット・トット、3枚の羽根のようなちょっと通好みのものまで19編。

    シンデレラや白雪姫、あおひげを思わせるような話もあり、童話の原型を見た感じ。

  • 元ネタってナウイね、チェシャちゃん。
    塩の話、なんか知ってるなと調べたら「影武者 徳川家康」!

    <収録話>
    あれあれおたすけ
    三びきの熊の話
    トム・ティット・トット
    三枚の羽根
    金のまり
    ジャックと豆の木
    ねこっ皮
    三びきの子豚
    ノロウェイの黒牛
    めんどりペニー
    井戸の三つの首
    フォックス氏の城
    おちびのスコーン
    赤ずきんちゃん
    妖精王の黒い塔
    おばあさんとお化け
    イグサのずきん
    ロバとテーブルと棍棒
    バラの木

  • 訳者あとがきから
    これまで日本で読まれてきたイギリスのお話しはジェイコブズという編者の本
    本著はフローラ・アニー・スティールという女性の編者の本からいくつかを選んでまとめた

    よく知るタイトルのお話しも微妙に違って面白かった

    綺麗な娘がたくさん出てきて、苦難に陥っても、人間でない者が現れて、その者の言いつけを守れば(何年単位で)、王様やお金持ちと結婚して幸せに暮しましたとさ
    って話しが多かった印象。

    『美しい娘(プリンセス)、苦労するけど、助けてくれる魔法使いが出てきて、美しい王(王子)様と幸せに暮しましたとさ』
    素敵なプリンセスのお話し
    イギリスのイメージを感じられた

    一番好きなお話しは
    井戸の三つの首 かな。
    ノロウェイの黒牛、妖精王の黒い塔、イグサのずきん

    あれあれおたすけ
    三びきの熊の話
    トム・ティット・トット
    三枚の羽根
    金のまり
    ジャックと豆の木
    ねこっ皮
    三びきの子豚
    ノロウェイの黒牛
    めんどりのペニー
    井戸の三つの首
    フォックス氏の城☆
    おちびのスコーン
    赤ずきんちゃん
    妖精王の黒い塔☆
    おばあさんとお化け
    イグサのずきん
    ロバとテーブルと棍棒
    バラの木☆

    ☆残酷シーンのあるお話し

    挿絵:アーサー・ラッカム(1867年~1939年)
    飼い猫、チェッコとチェシャ
    チェシャは『不思議の国のアリス』のチェシャ猫のモデル

    2020年、スティールの本がイギリスで出版されて百年
    アーサー・ラッカムの没後八十周年

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著者プロフィール

津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。子どもから大人までの読み物の翻訳に携わる。『夜ふけに読みたい不思議なイギリスのおとぎ話』『夜ふけに読みたい奇妙なイギリスのおとぎ話』(以上、共訳、平凡社)、E.ウェイン『コードネーム・ヴェリティ』『ローズ・アンダーファイア』(創元推理文庫)など、著訳書多数。

「2021年 『夜ふけに読みたい植物たちのグリム童話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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