主君「押込」の構造: 近世大名と家臣団 (平凡社選書 119)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582841190

作品紹介・あらすじ

家老・重臣層の間での合意が形成され、目付・物頭らがその指揮に従う旨の誓約をすれば、主君「押込」行為は大多数の場合、円滑・無血的に成就したものと思われる。しかしまた、家老・重臣層の意思が分裂していてもなお、主君「押込」はありえた。この場合には、反対派の大規模な武力制圧までが想定されていたのである。タテ型の日本社会における、伝統的な合意形成に関する野心的論考。

感想・レビュー・書評

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  • 主君と家臣団が乖離したとき、すなわち家臣から見て主君が耐えきれない暴君と見えるときに、主君を強制的に隠居させるということが江戸時代に構造的に認められていたということを説明する。
    近世の大名が専制的権力を持てなかったこともわかるが、一方で上手く行かなかったときのリスクの大きさもある。
    現代の会社役員会の社長解任に通じるところがある。
    上には幕府も見張っていたし、大名も楽ではないが、家臣もこんなことまでやるのも大変だ。
    本の例を見る限りかなり例外的で、その大名に人間的な欠陥があったように思われるが、やろうと思えば相当のことまでできたということか。

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター名誉教授、大阪学院大学法学部教授。博士(文学)(京都大学)。専攻は日本近世史・武家社会論。主な著書に『主君「押込」の構造』(平凡社)、『士(サムライ)の思想―日本型組織・強さの構造』(日本経済新聞社)、『武士道の精神史』(ちくま書房)、編著に『徳川社会と日本の近代化』(思文閣出版)、『徳川家康─その政治と文化・芸能』(宮帯出版社)ほか多数。

「2020年 『信長の自己神格化と本能寺の変』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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