新書267しのびよるネオ階級社会 (平凡社新書 267)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582852677

作品紹介・あらすじ

いま、日本社会に格差と不平等が広がりつつある。「アメリカ型の競争社会を」という掛け声のもと、実際に進んでいるのは「イギリス型の階級社会化」だ。世代を超えて経済格差が継承されるだけでなく、意欲や希望といった内面までも生まれ育ちで規定され、たがいに交わらぬ「別世界」に人びとが生きる社会…。一〇年にわたる在英生活で階級社会をつぶさにみた著者が、日本の"ネオ階級社会化"に鋭く警鐘を鳴らす。

感想・レビュー・書評

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  • どちらかというと著者の体感的、直感的な記述がメイン。イギリスの階級社会の紹介といった感じ。新自由主義批判ということだが、なんとも薄い感じは否めない。まぁ実証的なデータだせばよいってものではないけれども。

  • [ 内容 ]
    いま、日本社会に格差と不平等が広がりつつある。
    「アメリカ型の競争社会を」という掛け声のもと、実際に進んでいるのは「イギリス型の階級社会化」だ。
    世代を超えて経済格差が継承されるだけでなく、意欲や希望といった内面までも生まれ育ちで規定され、たがいに交わらぬ「別世界」に人びとが生きる社会…。
    一〇年にわたる在英生活で階級社会をつぶさにみた著者が、日本の“ネオ階級社会化”に鋭く警鐘を鳴らす。

    [ 目次 ]
    第1章 あなたが知らない階級社会
    第2章 総中流からネオ階級社会へ
    第3章 格差の個人史
    第4章 つぶさに見た階級社会
    第5章 あえて階級社会を擁護する
    第6章 ネオ階級社会へと向かう日本
    第7章 ネオ階級社会は「日本病」への道

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    [ 参考となる書評 ]

  • イギリスを例に、階級によって生活・文化が著しく異なる社会について書かかれている。各階層の人たちと接して考え方を理解するには、その居住区で体験しなければわからないと説いている。
    日本においても、フリーター階層が固定化されると低所得層が作られイギリスのような階級社会が生まれる・・・と、現代日本社会を分析する。

  • イギリスの階級社会の状況を知りたいと思って読んでみたが、著者の自慢、不満ばかりの内容で、本当に著者の意見が正しいのかよく判らなかった。少々出来の悪いイギリス階級社会体験記、、、のレベル。

  • 改めて述べるまでもないが、
    近年、わが国の社会構造の変革は激しい。

    いわゆる『勝ち組負け組』の
    二極化構造がいよいよ顕在化され、
    後者に至っては、数も増え、
    前後の差も開き、それが常態化することで、
    『希望格差社会』とも『下流社会』指摘され、
    そんな本を書く人は人を不安な気持ちにした挙句、
    印税収入で『勝ち組』になるという、
    実に嫌味な時代風潮となっている。

    みんな言われなくとも分かっているのに、
    わざわざそんな嫌な社会について書く人は、
    新聞社の人間も含め、本人は安全な立場に守られ、
    そのくせ本気で心配しているような口ぶりで
    書いているところが本当に厭らしい。

    そんな中また1冊の本を見つけたので、
    よせばいいのに読んでみた。
    『しのびよるネオ階級社会』



    著者の林信吾という人を私は知らなかったが、
    どうやら、10年ほど英国在住の経験がある人らしい。
    そして、その経験から、日本は英国と同じような『階級社会』に
    移行している気がしてならず、この本を書いたらしい。

    著者は私と同じB型なのか、具体性を欠く直感的な分析が
    多かったのだが、彼の紹介するイギリスの『階級社会』というもの自体は、
    なかなか興味深いものだった。

    それによると、
    イギリスには王室のような貴族階級は別にしても、
    中産階級と労働者階級のようにかなりれっきとした区別がある。

    階級が違えば、住むエリアから学歴、愛好するスポーツ、
    読む新聞、酒の飲み方、言葉遣いといった、ライフスタイルが
    全て異なるという。

    それは単に所得があるとかないとかではなく、
    世襲的性格を帯びたものであるという。
    勿論、所得の格差もあるのだが、それは日本とは比較にならないらしい。
    日本のように、勉強して東大に行ったら
    貧乏人でも出世する可能性があるというわけでもないようだ。

    たとえば、ケンブリッジとか、オックスフォードといった名門大学も、
    小学校から私立という特別な教育を受けてきた良家の子女出身が
    大半を占め、彼らはコネなどで比較的容易に進学できるのだが、
    高校まで公立で行っていた人が受験しようとすると、
    入試の難易度までが物凄く高いという。

    そもそも両者はそれぞれの階級的プライドを持っており、
    自分が生まれた階級を変えるという発想は、殆どないらしい。

    この制度の決定的な問題点は、労働者階級の考え方が
    とても刹那的であり、向上心が生まれにくいことだという。
    そのため、地下鉄のダイヤは当てにならなかったり、
    社会の基本的な部分で、かなりいい加減なところが多くなっているらしい。

    そんな様子を見てきた著者なので、
    日本もそんな風になりつつあるように見えてならないのだろう。

    言われてみれば、思い当たる節は多い。
    教育に関していえば、東大生の親の年収は多大生のそれに比べても
    高いということは有名な話だし、私の出身大学も、
    お金持ちの人は幼稚園から通わせていれば大学までストレートで
    行けるものの、授業料は小学校が一番高く、大学が一番安かった。
    金持ちの息子ではなかった私は、高校の頃、他人に話すのが
    恥ずかしくなるくらいの猛勉強をして、やっと入学した。

    教育問題というのは本当に重要で、一流の教育を受けるための費用が
    高くなると、『格差の世襲化』というのが進むというのは当然の話だ。

    結局のところこの手の本の欠点は、
    未来に対して悲観的にならざるを得なくなることなのだが、
    この本も例外ではない。

    事実として受け止めなくてはいけないのもあるのだろうが、
    考えても仕方のない部分もある。
    私に出来ることは、毎日、精一杯家族を愛することと、
    余計なことを考えず、きちんと仕事をすることだけなのだろうか。

  • 斜め後ろからケンカを売るような語り口が癇に障るものの、内容自体は納得できる。
    でもなあ。スタートラインが違うまま競争にかりだされている子は現代日本にもいっぱいいるよ。ジェンダーに無頓着なのも残念。

  • イギリスの階級社会の話は面白い。イギリスがいかに<生まれ>によってその後の人生が決まってしまうかを述べている。英国の中産階級の子供に「一人で顔を洗うことと、祖国のために尽くすこと、労働者階級をバカにすることを同時に教える」という話は少し考えさせられる。

  • 例えばイギリスのフットボールに憧れる。生まれた瞬間に一生応援するチームが決定され、どんなにチームが苦境に陥っても決して離れることはないというその心に。

    だがそれは、サッカー的にはいいけれども、社会としてはどうなのだろうという提言(と僕は読んだ)

  • おもしろい。イギリスの階級社会の実態について、忌憚なく語っておられます。日本の格差社会の行く末はイギリス型階級社会だという主張も、新しくておもしろいし、説得力もある。

  • 階級が固定された社会は必ず活力を失い衰退する。なぜなら、非エリートと位置づけれられた若者たちが、将来に希望をもてずモラルを喪失するから。
     労働者 パブ、 中産階級 サルーン 入り口も店内も2つにわかれている
     イートン校 王侯士族の子弟が多くおっとりしていて礼儀正しい
     ウィンチェスター校 秀才ぞろいで皮肉っぽく慇懃無礼
     ハーロウ校 ブルジョアの子弟が多く、無作法だが抜け目のない
     大学は一発の筆記試験ではない。願書を受け取った大学が面接をする。大学の伝統にふさわしい、大学がもとめるような志願者であれば低い条件が提示され、そうでない志願者には高い条件が提示される。非上流階級出身者にはハードルが高い。
     サッチャーはグラマースクール出身(主席)なのでオックスフォードは補欠合格

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著者プロフィール

1958年、東京生まれ。神奈川大学中退。1983年、英国ロンドンに渡り、現地発行日本語新聞『英国ニュースダイジェスト』の記者となる。日本のメディアにも寄稿を続け、1989年には『地球の歩き方・ロンドン編』の企画と執筆で中心的な役割を果たす。1993年に帰国して以降は、フリーで執筆活動に専念している。英国史・ヨーロッパ史から軍事問題、日本国憲法、サッカーに至るまで、幅広いテーマで執筆している。また、ノンフィクションとフィクション、どちらもこなせる。2013年10月には、作家・ジャーナリスト「林信吾の地球に優しいブログ」http://ameblo.jp/gojibuji/を開設した。

「2015年 『関白・前田慶次郎 ジパング大乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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