芸術回帰論 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856415

感想・レビュー・書評

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  • 「夜は暗くてはいけないか」

    特に電気エネルギーを好き放題に消費している日本の都市生活者の目から見ると、「暗さ」はそのまま「遅れ」や「貧しさ」に結びつけられる。

  • 写真家である著者が、テクノロジーとアートの接点に注目することで、現代の社会のなかで生じているさまざまな「イメージ」の分解に抗うための視点をいくつか提出している本といってよいのではないかと思います。

    スノーの指摘した文系と理系の乖離と、その分断を乗り越えるためのアマチュア性をめぐる議論からはじまり、グローバル化と空間性、記憶と時間性、色彩や文字といった、多様なテーマがとりあげられています。いくつもの鋭い洞察が見られることも事実ですが、いずれも解決策を示すことよりも、考えるためのヒントを提出するにとどまっており、試論(エッセイ)という性格の強い著作であるように感じました。

    欲をいえば、いずれのテーマについても、もう一歩思索を推し進めてほしかったという気がします。

  • 何かと何かがつながり、整理され、新たな発見が閃く。不思議な本であった。難しくはない。すいすい読めて、視点が新鮮だった。芸術と哲学の結びつきが感じられた。

    ・ユーロのデザインは、世界中どこにもない架空の建造物を顔にしている。
    ・日本のマニュアルは写真やイラストの使い方において、とても優秀。
    ・近隣の発見。情報社会がいかに変化しようとも、最小にして最大のイベントは「集まり」だということである。
    ・ソンタグ:写真が私たちに代わって、道義的、知的な仕事をするわけにはいかない。港:それは違う。
    ・面白いことに人間は白黒写真を見て、美しいと感じることが出来る。

  • 「わたしたちは、秘密を探しに旅に出る。秘密がなければ、冒険も始まらない。作家にとって創造は一種の冒険であり、冒険は創造の秘密を探す旅である。これらの物語は、核心にある秘密への求心力と、常に外へと向かう遠心力の緊張のうえに成り立っている」この文章に触発されるものは大きい。

  • 読み終わっても全体像がつかめなかった

    筆者が伝えたいことがよくわからなかった

  • ものを作る喜びを感じることができました。答えは出していませんが、ヒントの多い本です。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784582856415

  • タイトルの芸術回帰"論"。"論"?というのが正直な読後感。港さんの思考が散りばめられているが、統一して論を組み立ててるのかちょっと理解はできず。ぼんやりと、なにか考えたり感じたりする素養にはなったと思いますが、うーん。

  • これはエッセイ集・・・?

    あまりまとまりがないように思えた。
    一番最初に掲げられた「第三の系」についての議論を期待したんだけど、そういうものではなかったみたい。
    断片的には面白いところはあったけど・・・

  • 最後まで捉えどこの無い本であった。3.11を機に浮かび上がった現代文明の問題の根底にある理系と文系のあいだにおける決定的な文化の乖離、すなわりコミュニケーションの不可能性の存在を憂い、分裂がすすむ危機の時代に想起すべきは、科学的思考と芸術をつなぐイメージの力。第三の系が必要だとカバーでは説いている。本文ではこのイメージの力を様々な側面から説明を試みているのだが、著者の豊富な経験と知識から放たれる言葉や文が四方八方に飛び出して、本題につながる糸をしばし見失う。大事なことが書かれていると感じるが、一言で表すのが難しい。良質なエッセイをまとめ読みした、ふわふわとした読後感のある本だった。

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著者プロフィール

写真家、映像人類学者。多摩美術大学教授。1960年神奈川県生まれ。南米滞在後、パリを拠点に写真家として活躍。1995年より多摩美術大学美術学部で教鞭をとり、現在は同大学情報デザイン学科教授。2006年〈市民の色〉で伊奈信男賞受賞。2007年第52回ヴェネチア・ビエンナーレ美術展における日本館の展示企画コミッショナーをつとめる。

「2019年 『現代写真アート原論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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