検察が危ない (ベスト新書) (ベスト新書 274)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584122747

感想・レビュー・書評

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  • 郷原氏が公平な目で今現在の検察の疲弊を訴えている。
    過去の失策なども含め、今現在進行中の小沢氏関連の捜査のごり押し無理を細かく精査して、その問題点も含め書かれている。
    郷原氏はきっと、今のひずんだ検察を正しい姿の検察に戻って欲しいという願いを込めた著書だと思う。

  • 3章~4章、特に4章に指摘されている制度的問題が核心。
    第一に検察が自己完結する閉じたシステムであること(131-)。
    第二にそのシステムの意志決定過程が多くの段階を踏むために、実務レベルでは縮減のために事件のストーリーが単純化・固定化されること(136-)。
    第三にマスメディアとの関わりとして、政治的意図を持ったメディア上層部との複雑な関係とそれに反して検察の「従軍記者」と表現される司法記者クラブの現場記者との関係(148-)。
    第三の点は直接的に世論形成に関わり、世論に煽られ煽られる形で(3章)「正義の検察」の存在意義を知らしめ、自尊心を満足させるといった心性を強化させる。内実を知る著者によって検察特捜部のメカニズムが非常にわかりやすく描かれている。

  • 元検事の筆者が、検察が暴走している危険性を指摘している書。

    実際、小沢容疑者は無罪判決を受けた。合理的ではなくて、民衆に迎合して結果暴走している印象を与える、検察機構も組織が硬直化しているということなのだろうか。

  • 日本人の多くが「法令」が出てくると何も考えず「遵守」しようとする。検察のすることにもつべこべ言わず従っていればいい、そんな風潮が確かにあった。しかし、最近検察の正義の根底を揺るがす事件が相次いで起きている。検察とはそもそもなにをすべきところなのか。そうした疑問が世間を取り囲まっている。思考停止のまま「遵守」を行ってきた日本人の代償ともいえる。無批判的に「遵守」することの危険性を強く説いている。構成としては、最近取りざたされている小沢氏の政治資金の問題からそれに対する検察の捜査の仕方、特捜部という組織、検察のありかたはいかにあるべきか、といった形になっている。検察のありかたについて考えさせる啓蒙の書。

著者プロフィール

桐蔭横浜大学法科大学院教授。弁護士。1955年生まれ。1977年東京大学理学部卒業。1983年検事任官。東京地検検事、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2005年桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センター長に就任。2006年検事退官、弁護士登録。警察大学校専門講師、防衛省や国土交通省の公正入札調査会議委員なども務める。不二家信頼回復対策会議議長などとして多数の企業の危機管理対応に関与。(株)IHI社外監査役も務める。著書に『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書、2007年)、『入札関連犯罪の理論と実務』(東京法令出版、2006年)などがある。

「2009年 『証券市場の未来を考える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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