- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784584123669
作品紹介・あらすじ
金正恩は、二〇一〇年に初めて姿を見せたが、公式には「後継者」とは発表されなかった。北朝鮮では、映像がテレビで流されたが、後継者とは言及されなかった。おかしいのだ。なぜ、後継者と言わないのか。金正日が後継者として登場した状況とは、まったく違うのだ。とすると、金正恩を後継者にしたくない勢力と、早く後継者に就任させたい勢力との対立があった、と考えないと理解できない。なにしろ、新しい指導者が就任すべきポストである「最高司令官」「総書記」「国防委員長」「党中央軍事委員長」のいずれの肩書きも与えられずに、「指導者」についた。本来ならありえない。金正恩という「ミステリー」を解く。
感想・レビュー・書評
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金正恩誕生を時系列に知りたくて読書。
文庫本にしては珍しいくらい誤字、脱字が目立つ。
登場する藤本健二氏についての記述がちょっとひどく礼を失していると感じるのは私だけだろうか。
2011年末に金正日氏が死去し、若き指導者として金正恩氏へ登場してくるまでの背景などを学ぶことができる。
著者は、毎日新聞出身で、1970年代から北朝鮮に対して一貫した態度で取材し続けているようだ。
今では影響力が低下してしまった朝鮮総連がどのような性質の組織であるも知ることができる。もっと日本人はタブー扱いせずに朝鮮総連という組織が何をしてきたのか知るべきかもしれない。
読書時間:約1時間
本書は知人からいただいています。有り難うございます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2012年14冊目
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重村さんは、北朝鮮ウォッチャー。
この本はあわてて書いたようで、重複など多く、推敲不足。
それは別にして、金正恩というのは謎の多い人物なのがわかった。
(1)疑問1:金正日は金日成が死亡したとき、国防委員会委員長、朝鮮人民軍最高司令官など5つの肩書きを持っていたが、金正恩は、わずか労働党中央軍事委員会副委員長と人民軍大将だけで、あまりに、世襲をねらっていたにしては不十分な肩書きであること。(p98)
(2)疑問2:通常、一番継続性が大事な最高軍司令官が、金正日が死亡して2週間も、空席だったこと。(p109)
(3)疑問3:李清剛と張成民の死闘で、一時後者が一労働者まで落とされていたが、最終的に李が暗殺され、張が復帰した。李は金じょんうんを指示していたのに、なぜ張が、政敵が指示していた金じょんうんを指示するのか。(p185)
これに対して、重村氏は大胆な仮説をたてている。真偽はまったくわからないが、長年の北朝鮮の説として紹介する。
(1)金正恩は、金正日の三男として事前に紹介されていた、金じょんうんとは別者。金じょんうんが金正日というのは、金正日の料理人をしていた藤村氏の情報しかないが、藤村氏が今の金正恩が極めて若者当時と違う風貌であることを認めている。これで張氏が後ろ盾になっているのつじつまがあう。
(2)今回死亡した金正日は影武者。実は影武者は後継者が決まると自分は殺されるのがわかっていたので、後継者を明確にして肩書きを準備していなかった。
(3)現在は金正恩は、まったく実力、利権をもっておらず、周辺の軍人、政治局員が権力を持っている。そして、金正日の影武者が死んだときにも、軍人と政治局が権力闘争をしていて、本来ありえない形式的な権限の空白を招いた。
よくわからないが、北朝鮮が、金正恩を金正日の三男として発表していないことなど、正確に報道する必要があると思った。
いずれにしても、この本の情報だけで、重村仮説の信憑性は判断できないので、北朝鮮の情報には注意したい。