- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784584165812
感想・レビュー・書評
-
逆説の日本史シリーズを書かれている井沢氏が、大胆な仮説で7つの秘められた歴史について解説をされています。私の読書記憶におれば5年ほど前に読んだことになっていますが、最近、読み直しました。
その主役となっているのが、聖徳太子・源頼朝・織田信長・豊臣秀吉・徳川家康・徳川綱吉です。
以下は気になったポイントです。
・文化人類学の常識では、農業は人類最初の環境破壊である、雑草や虫を殺して、米や麦のみを生かすから(p20)
・死霊の満たされぬ思いをなぐさめるために、美称で呼び、神として祭り上げるのが日本独特の原理(p25)
・天皇や公家たちは幕府とは、源頼朝がたてた異常な政権(解放区)と見たので、源氏三代で途絶えたのちに反乱を起こした(p47)
・源頼朝によって、天皇家に味方する武士が倒されて、後鳥羽上皇が流罪にされた。これにより武士の実力が朝廷の権力を圧倒して名実ともに、武家政権=幕府が完成し明治維新まで続く(p48)
・日本の最初の国際化時代は、飛鳥時代(聖徳太子)、二度目は室町~戦国時代、三度目は明治維新である、いずれも戦争の失敗により鎖国状態となっている、現在の日本は鎖国状態とも考えられる(p53)
・信長が形骸化していた足利15代将軍(義昭)をたてて京都に入り(入洛)、天皇を擁して天下に号令をかけたのは、当時としては独創的なアイディアである(p57)
・現在のスペイン、ポルトガルがさっぱりしないのは、優秀な人間が南米に出てしまったという噂は、名古屋人の優秀な人間が戦国時代末期にかけて全国に散らばったのと似ている?(p71)
・キリスト教徒にとって、命は神から授かったものなので、自殺は命の無駄遣いであり、倫理的非難をうける(p77)
・楽市とはカルテル廃止であり、楽座とは規制緩和であった。独占禁止法を制定して、座の許認可権を撤廃したということ(p86)
・日本をはじめ東アジア世界では、人名は気安く呼ぶことができない(p97)
・姓と苗字は異なるもの、足利尊氏の場合、足利は苗字で、姓は源(氏)である(p98)
・日本には、地名をみだりに変えてはいけないという観念があったが、信長がその観念を最初に破った、井ノ口→岐阜(p99)
・天下をとるとは、まさに周りを全部敵にすることなので、よほど誇大妄想の男で無いと考えることは難しい(p121)
・ひとつの政府が滅びて新しい秩序がうまれるまでの混乱期には、各自が武装することが必要になる、日本でも今まで少なくとも2回(平安時代末期、戦国時代)あった(p155)
・刀狩令(武士以外の人が対象)が発令できた(1588)ということは、その行為が時代の要請であった、さらには、それができる条件が整ったということを意味する(p157)
・日本は、秀吉の刀狩令と綱吉の生類憐れみの令によって、それまでの日本人の意識と全く変わったといってよい(p160)
2011年12月25日作成詳細をみるコメント0件をすべて表示