- Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
- / ISBN・EAN: 9784587032524
作品紹介・あらすじ
米ソの東西対立は終焉したが、民族紛争の戦火は絶えない。その上、先進国も発展途上国も、過激派のテロの脅威にさらされている。一方、国内においては、55年体制は崩壊したものの政治改革や行政改革は遅々として進まず、国民の政党不信や政治離れは著しい。我々は今、予想もしなかったような政治的激動の中に生きている。学問もまた時代の子である。この一世紀の間に、政治学の研究対象も、また解明を求められる課題も大きく変化した。比較政治学においても単線的政治発展論への反省から、それぞれの国家において、制度的制約の中で、政治的アクターがいかにその制約に適応し、制度的枠組自体を変えていくかといった政策分析に流れが変っていった。国際化の進行につれ、国際政治学の領域においても、研究対象を単に国家間の関係のみでなく、広く非政府組織や国境を越えた企業活動をも重要な変数として取り入れることが求められるようになってきた。このような政治学の各領域における発展や焦点の移行、さらに新しい研究領域の誕生にともなって、政治学の内容もすっかり変貌した。本書はこのような政治学の発展に応えるべく、現代の政治学の全体像の俯瞰を試みたものである。
感想・レビュー・書評
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現代政治学を意外と自分が知らないことに焦りを覚え、教科書的なものをきちんと読もうと思って手をつけた一冊だが、これは著者一覧を見ると早慶に縁故のある人たちが集まって、現代政治学のテーマについて一人一章ずつ書いたようだ。
まさに教科書といったつくりで、面白みに欠けるところも多く、テーマが細切れな分だけ知識の統合に不安が残る部分もあるが、教科書としては安心できるつくりとも言えるし、自分の本書を読むに至った理由を考えると仕方がないところか。
つまらない人のところはとことんつまらないが、有賀誠の民主主義に関する記述なんかはただの教科書的知識の羅列と異なっていてよかった。
あと福岡政行がTVタックルに出てくる政治ジャーナリストではなくて政治学者であることを認識できて良かったが、内容を読むとやっぱり肩書きジャーナリストでいいんじゃないかって気もする。理由は想像にお任せします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Mutsuji先生の現代政治概説での教科書。某国立大学の入試のために改めてノートにまとめた。ミネルヴァの教科書でもいいが、こちらの方が本全体としてのまとまりがある。ただ、どんな学者がどんな研究をしていたのか、ということがはっきりしない。つまり、各章のテーマに関して細切れで記述してあるので、ある学者が総体的にどんな理論を持っていたのか、というところがわからない。勿論政治、政治制度、政党制、民主主義とテーマごとに章を分けるのはいいのだけど、それらのパーツを結びつけるのが難しい。なんていうか、教科書。
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有斐閣の現代政治学理論よりはわかりやすい。その反面、議論に深みがない気もする。これと有斐閣の現代政治学をセットにすれば、互いに互いを補完している気もするので、そういう意味では問題ないのかも。
テレビで有名な福岡政行氏の論文もある。彼の立命や白鴎大学でのレジュメをネットで調べ、呆れた。政治学というが、ジャーナリズムでしょ。というか三面記事レベル。彼は「理論よりもフィールドワーク」というが(本人のウェブで)、あれではお粗末。理論よりもフィールドワークやフィールドワークよりも理論ではなく、「現実から問題を考察する」という一段上を見るべきでは。