近代の正統性 (3) (叢書・ウニベルシタス (608))

  • 法政大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588006081

作品紹介・あらすじ

本巻は,第四部「時代転換の局面」を収録。歴史の連続性と非連続性とのあいだを横断する「再充填」理論を展開して,近代理性成立の過程を経めぐる理論的叙事詩。

感想・レビュー・書評

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  • 『近代の正統性』邦訳第三分冊。ニコラウス・クザーヌスおよびジョルダーノ・ブルーノを論じる「時代転換の局面」を収める。この二人を「時代Epoche」というテーマの解明のために選択しているのは、クザーヌスをあまりにも近代の先駆者として理解しようとする従来の研究に対する批判であり、ブルーノとクザーヌスの間に時代の転換が生じたということを示すためである。クザーヌスとブルーノの思想の詳しい分析は正直なところ理解しがたい点も多いが、コペルニクス革命に対して、クザーヌスであればそれを受け入れることのできる柔軟な世界観を用意しようとしたし、ブルーノはコペルニクス革命の真価を伝える哲学体系を構築しようとしたのだというのがブルーメンベルクの基本的な見立てである。エポックという概念を通じて歴史を眺めているときに何が行われているのかを思想史的に論じているというのが大雑把なまとめになろうが、誰か特定の思想家に時代の創始者という役割をあてるのではなく、個々の思想家の「あいだ」にエポックを認めようとするブルーメンブルクの歴史観は、極めて示唆にとむように思われる。

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著者プロフィール

ハンス・ブルーメンベルク
(Hans Blumenberg)
1920-1996年。ユダヤ人の母のもと、ドイツのリューベックに生まれる。パダボルンとフランクフルトで哲学と神学を学ぶ。1950年キール大学で教授資格を取得。60年ギーセン大学正教授、この頃エーリヒ・ロータッカーの推薦でマインツのアカデミー会員となり、独自の〈メタファー学〉の構想を発表。63年〈詩学と解釈学〉の設立メンバー、65年ボッフム大学に移り、70年から85年に退官するまでミュンスター大学教授を務めた。クーノ・フィッシャー賞やドイツ言語文芸アカデミーのジークムント・フロイト賞を受賞。日本語訳に、『近代の正統性』(全3巻)『コペルニクス的宇宙の生成』(全3巻)『神話の変奏』『われわれが生きている現実』『メタファー学のパラダイム』(以上、法政大学出版局)などがある。

「2023年 『世界の読解可能性〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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