核の脅威: 原子力時代についての徹底的考察 (叢書・ウニベルシタス)

  • 法政大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588010408

作品紹介・あらすじ

広島、長崎、第五福竜丸、そして、福島──われわれはいま何を考えるべきか? 日本で反核運動に参加したアンダースは、「日本では原子力時代はすでに〈経験〉になっている」と語った。われわれは自らのこの生きた経験から、核の脅威を、核兵器使用や原子力発電の問題にとどめず、いまあらたに世界全体を巻き込んでいる全体主義の問題としても受け止めねばならない。絶望することなく、いかにして世界への希望や信頼を失わずにいられるのか。その徹底的な考察がここにある。

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  • 《目次》
    I 哀悼される未来
    II 激変
    III 今日における責任について
    IV 核による死は自殺ではない
    V 原子力時代の退廃――無風状態への警告
    VI 原子力時代への提言
    VII アポカリプス不感症の克服
    VIII 矮小化――その手口
    IX ヒポクラテスの誓い――「生産スト」問題の検討
    X 途方もない事実
    XI 猶予期間

  • 行動する哲学者、アンダースによる核の脅威についての論文集。50~60年代に書かれたもので少々古めだが、なるほどと思わされること多い。
    「反核運動」が難しいのは、搾取労働などと違って、今現在被害を受けているわけではないからだ(フクシマを経験した今はそうとも限らないが)。
    現代の戦闘は目の前の相手を殺すわけではなく、ボタンを押すだけ、しかも共同作業なので、良心による抵抗は格段に小さい。
    たいていの自然科学研究は有害か有益かの最終的評価は少しも予測できない。だからといって悪魔の研究を許してはならない。
    などなど・・・
    なるほど。現代は非常に複雑で難しい相手と戦わなければならないわけだ。

  • 一度投下され全面的破局を招く現実を各国が目の当たりにしたにも関わらず、冷戦下において核の開発生産が進められた。それは明らかな想像力の欠落と言わざるを得ない。核を保有することは同時に使用対象となることであり、核の保有によって他国を脅迫することは間接的に時刻を脅迫することにもなるのだ。核は兵器ではなくわれわれ人類の「敵」である。核の生産や起動に関わる労働はその悪質な目標が隠されることに由って偽装された行為と化した。この常態化した現状に無批判であるのではなく、われわれは不安を持つ勇気を持たなければならない。

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