- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784588151095
作品紹介・あらすじ
二十世紀の全体主義の惨禍を、一人のユダヤ人女性として、亡命知識人として生きたハンナ・アーレント。政治的公共性や市民的自由がグローバルな危機に瀕し、民主主義の未来が脅かされる現在、彼女の思考の遺産から私たちは何を学ぶべきなのか? ベテランから若手まで総勢50名弱の気鋭の執筆者が、主要なテーマ群を最新の視点で掘り下げる決定版の入門書。各著作の解題や略年譜も付す。
感想・レビュー・書評
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アーレントは、何を言っているかよくわからないのだけど、気になって仕方がない思想家。
何を言っているかわからないし、かろうじてこんなことを言っているんだろうな〜というところも賛成できないことが多々ある。
にもかかわらず、アーレント読んでしまうのは、彼女の取り上げる問題にとても共感するから。自分にとって重要な問いにチャレンジしている姿にはやっぱ引き付けられる。
分からないなりに読んでいるのだけど、やっぱここんとこ変じゃない?これまで主張してきた自分自身のロジックと矛盾してない?と感じることはある。でも、そこが分からないのは、自分の理解の不足が原因なんだろうな〜と思ってきた。
が、この読本を読んで、そういうモヤモヤがかなりすっきりした。
な〜んだ、他の人もアーレント読んで、そのポイントでやっぱモヤモヤしたんだ。で、論者によって、複数の解釈があって、決着しているわけではないんだ、ということがよくわかった。
こういうことって、他の哲学者でもあるんだと思うのだが、アーレントの場合は、議論の構造が複雑で、かつユーモアや皮肉、反語、脱線があるので、どこまでがアーレント自身の見解なのかがわかりづらく、解釈の幅広さを生んでいるんだろうな。
今日のプロフェッショナルな哲学的な研究からすると、アーレントの議論は、素人的で、あちらこちらに矛盾を抱えている。
でも、そもそもアーレントは、自分を哲学者としては考えてないし、政治哲学ですらないと思っている。彼女が「手すりなしの思考」とよんでいるように、洗練された一貫した理論を求めていなくて、自分の頭で独自に考える人なんだろうな。
その言っていることの良し悪しはともかく、アーレントの「問い」にひかれて、みんなアーレントについて、考えてしまうんだろうな〜。
そんなことを思いながら、たくさんの人のさまざまなテームについての論考をまとめたこの本を読んでみた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アーレント読本
日本アーレント研究会:編
A5判 / 430ページ / 並製 / 定価:3,200円 + 税
ISBN978-4-588-15109-5 C1010 [2020年07月 刊行]
二十世紀の全体主義の惨禍を、一人のユダヤ人女性として、亡命知識人として生きたハンナ・アーレント。政治的公共性や市民的自由がグローバルな危機に瀕し、民主主義の未来が脅かされる現在、彼女の思考の遺産から私たちは何を学ぶべきなのか? ベテランから若手まで総勢50名弱の気鋭の執筆者が、主要なテーマ群を最新の視点で掘り下げる決定版の入門書。各著作の解題や略年譜も付す。
〈https://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-15109-5.html〉