ヨーロッパの覇権とユダヤ人

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  • 法政大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588352287

作品紹介・あらすじ

ローマ時代から中世のイングランド、スペイン、ポルトガルへ、近代初期のイングランドから「オランダのエルサレム」と謳われたアムステルダムへ──歴史の襞に分け入って「ヨーロッパの内なる異人」の歴史を複眼的に描く。ヨーロッパ史におけるユダヤ人の功罪、過酷な迫害の被害者であるとともに加害者でもあった彼らの正負をともに描いて、ヨーロッパの近代、さらには日本の近代を問い直す力篇。〔歴史・ユダヤ史〕

感想・レビュー・書評

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  • 前作の「ユダヤ人とイギリス帝国」より読みやすかった。
    第一章の「カエサルの友ユダヤ人」が、ユダヤ人入門編のようでわかりやすかったし、
    イギリスだけでなくスペイン、ポルトガル、オランダと諸国とのユダヤ人の関係について述べられ、詳しすぎないところも良かったし、
    なにより最後にまとめが書かれていたのが良かった。

    アジア人であったユダヤ人がヘレニズミ化されていたこと、
    さらにヨーロッパ化していったこと、
    かつ、ヨーロッパ内の異分子であり続けたという指摘が
    とても興味深かった。

  • ユダヤ人んはユダヤ人意識を保持しながらも、社会的にも文化的にもローマ人社会に高度に溶け込み、同化していた。

    イングランドではかつてユダヤ人はどこに住んでもよかった。ユダヤ人は征服者ノルマン人に随伴してきた外国人でありノルマン風の服装をしてフランス語を話した。これはアメリカ大陸発見以降、あるときは征服者の随伴者として、またあるときは征服者として、アメリカを植民地化する役割を担ったユダヤ人やマラーノの境遇に似ている。

    ・ユダヤ人はキリストを受け入れずに殺害したために神の罰を受け、各地に離散して憐れな隷属状態にいる。ユダヤ人が生きながらえるのは、キリスト教の正しさと神がユダヤ人に加えた罰の生き証人になるため。
    ・ユダヤ人はユダヤ教の聖書を読んでも、盲目の目で読んだから、イエスこそが救世主という真実が見えなかった。
    ・ユダヤ人は離散した先々に聖書を持ち歩いている。このためイエスに関する預言がキリスト教徒のでっち上げでないことを立証する。

    ユダヤ人はブラジルに移民したが、旱魃でオランダに引き上げた。その副産物としてアムステルダムのユダヤ人社会が肥大したために、彼らは新たな拠点を求めることになってイングランド、アメリカに移った。

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