きんいろのきつね―「殺生石ものがたり」より (むかしむかし絵本 21)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (33ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591003947

感想・レビュー・書評

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  • 現在本棚では2段下に置いてある『玉藻の前』という電子書籍の、絵本版。
    電子書籍の方は返却の必要がないのでレビューを後回しにしてしまっているが、こちらは図書館に返却する都合上、さっさと載せることに(笑)。

    これが、私の人生を根底から支えてきたお話なんである。
    壮大なスケールの幻想怪奇小説なのに、何故と言われるかもしれない。
    まだ小学校の低学年だった頃、夏の夜の蚊帳の中で、父親の腕枕で色々なお話を聞いて育った。
    面白くて面白くて、とても眠れない。そんな日々だった。
    わけても、この『九尾の狐』のお話は子供心をすっかり虜にした。
    後年、どれほど探しても原作に巡り合えなかったのは、この話を知っている人が誰もいなかったことと、『九尾の狐』ではなく『玉藻の前』というタイトルだと、相当時を経てから知ったからだ。

    岡本綺堂作の、時空を超えた妖と、人間との闘い。
    『玉藻の前』とは妖になってからの名前だが、その前はごく普通の美しい少女であり、原作ではそこに少年が加わって、叶わない恋物語として絡む。
    こちら絵本版は、いきなり「たまものまえ」として登場する。
    つまり、エッセンスの部分だけを採りあげてあるのだが、妖の恐ろしさとおどろおどろしさは赤羽末吉さんの絵でしっかり生かされている。

    美しい女性はいつの世も男を惑わす。
    この狐は、美女に姿を変えて古代中国を滅ぼし、天竺では皇太子を惑わし、遣唐船に忍び込んで日本に上陸したあとは、「玉藻の前」となって鳥羽上皇の寵愛を受けながら虎視眈々と悪事を働く機会を狙う。。。
    陰陽師や東国の武将も登場し、ついに最期を遂げたのは那須野が原。
    そこで毒ガスをはき続ける殺生石から、この雄大な物語が生まれたというから、その豊かな想像力には心底驚いてしまう。

    原作の『玉藻の前』は無常感と哀愁が漂う作りだが、こちら絵本版は可愛さも優しさも微塵もないお話。
    小さな子には、あるいは怖さが優先して受け入れられないかもしれない。
    だが、7歳の私がどれほど胸をときめかせたかだけは、言っておきたい。
    この世の神秘なもの、ひとの知恵をはるかに超える存在、そんなものへの憧憬と好奇心を育てる手立てとなったお話。
    そして、親御さんは機会をとらえてはお子たちに色々なお話しをしてやってほしい。
    幸せな記憶は、その子を生涯に渡って支え、育てるものだから。

    約18分。小学生から大人まで。

  • 2023.1.12 6-2

    2022.1.13 6-1(紹介)
    2021.6.24 6-2(紹介)

  • 玉藻前
    あべのやすなりの占いで正体を現し、逃げる
    殷、紂王
    インド、マガダ国
    周、ほうじ
    東国、那須野が原、那須野八郎が見つける
    みうらのすけ、かずさのすけが大将
    殺生石になる

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「昔話・神話・歴史」で紹介された本。

  • ちょっと怖いような民話
    大川さんの語りもいいし、赤羽さんの絵の雰囲気もよい。
    やっぱり日本の昔話がしっくりすんなり好きだなぁと思うのは日本人だから…なのでしょうか?
    (日本の昔話も色々ですけどね(^^;;)

  • 九尾の狐(殺生石)の話です。
    子どもに伝えたくて一緒に読みました。
    他国の伝説もついてくる話、楽しいです!

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