トロルとばらの城の寓話 (ポプラ・ウイング・ブックス 10)

  • ポプラ社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591074183

作品紹介・あらすじ

「あたし、ここよ」その人は、そういってエルム少年の前にあらわれた。そのときからだ。父さま陛下の支配するたそがれの『白い城』に赤いばらがからみつき、黄金はちみつの木は真実の物語を語り、母さま陛下がなつかしい歌を歌うようになったのは。エルムの知っていた小さな世界は、ばらとともに大きく広がっていった-。幻想的な世界の中に、北欧を代表する児童文学作家ハウゲンが、繊細な筆致で子どもの心理と現代の家族の姿をたくみにつづる寓話的ファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙が可愛くて。

  • 資料番号:020066379
    請求記号:949/ハ

  • 「あたし、ここよ」
    その人はそう言ってエルムの前に現れた。

    そのときからだ。
    父さま陛下の支配する「白い城」に乱れんばかりの赤いばらが咲き誇り、黄金はちみつが真実を奏で、母さま陛下が懐かしい歌を歌うようになったのは。

    ねえエルム。
    世界の果てはどこにある?

    宵ばらが咲く。
    城を包みこむのは、むせかえるほどのばらの香り一一。

    「わたしはここにいるわ。おまえが大好きよ」

    「おそすぎたわ、母さま」

    ***
    深いと思いました。そして少し難しい。1回では足りない、そう感じさせる物語です。

    ばらが鮮やかに香る寓話世界。それもみずみずしい花の香りではなく、ばらを焼いたような甘く苦い香りの似合う物語。
    誰かがそう書いていて、なるほどと思いました。
    表現がとても美しいです。でもこれが現代を投影した世界だと言われると、なんだか悲しい気がします。

  • 読み始めてから中盤くらいまでは読み進めてもお話の強弱がなくてあれ?って感じでした。

    でも、終盤になって行くにつれすごく引き込まれたのを覚えています。

    言葉とかモチーフが綺麗だったことと終盤の心をざわつかせる展開が見事な対比でした。

    読後の余韻は格別。
    今でも大好きな作品です。

    内容はまさに寓話っていう寓話でした。

    お城、王子、バラなどのモチーフが好きな人にオススメです。

    中学生のときに読んだので細かい内容は…うん!

  • 読了日不明

    とっても不思議な世界観。
    けれど親しみやすく、面白かった。
    挿絵も好き。

  • ファンタジーの美しい世界と美しい語り口によって描かれる、権力と支配とそしてそれから逃れる旅の途上。
    親と子ども、父と息子。そして姉。

    あらすじと装丁の美しさでうっかり異世界耽美ファンタジーだと思って買ってラストに驚愕した本。ある意味がっかりもしたけど、でも、ある意味忘れられない余韻が残りもする。この手の本は、必要とする人と、必要としない人がくっきり別れるのではないかな。必要でない人は、ある点では、必要とする人よりも幸福なのだと思うよ。他の点では違うかも知れないけどね。

    とりあえず異世界耽美ファンタジー好きが衝動買いしてしまった(笑)あらすじどうぞ。

     「あたし、ここよ」その人は、そういってエルム少年の前にあらわれた。そのときからだ。父さま陛下の支配するたそがれの〈白い城〉に赤いばらがからみつき、黄金はちみつの木は真実の物語を語り、母さま陛下がなつかしい歌を歌うようになったのは。エルムの知っていた小さな世界は、ばらとともに大きく広がっていった――。

  • 最初読みづらく感じましたが、読み続けていくうちに複雑な話なのに気付くはず。
    とても考えさせられる素晴らしい童話。

  • タイトルと表紙が素敵なんだけど、中身が寓話すぎた。
    なにを書こうとしているのかがあからさますぎて物語としての魅力がイマイチ。
    文章も美しくしようとしすぎで読みづらい。

    テーマは悪くない。
    親は子を守り続けてくれるほど強くないし、子を支配し続けられるほど強くない。

  • 表紙に惹かれて借りて読みました。見た目はファンジックだし、中身もファンタジックに見せているけど、例えているものに気付いて、すごく考えさせられました

  • これは・・・えりこの一番好きな作家のトールモーハウゲンを知るきっかけとなった話^^トールモーのお話は分類上児童書ですが、大人向けの作品です。

      白い城、そこでエルムは誰にもかまってもらえずに暮らしています。父さま陛下や母さま陛下は最近はエルムが目に映っていないよう。
    白い城を中心に"果てなし庭園"があり、まわりには城壁がそびえ立っています。
    エルムはそこから出たことがありません、興味を持つことも許されず、父さま陛下は外は何もない"アラズの地"だとエルムに教えます。
    そのさびしく冷たい城に、エルムは知らない人の存在を感じるようになり・・・

      トールモーの話の題材によくなる、現実にある親子の問題を童話風にした作品。
    子供を思う気持ちはあれど、子供のためといって実は自分のためでしかなく、理想をおしつける父さま陛下たち。
    前半から中盤にかけて冷たく暗い雰囲気だけど、時折見せる素の父さま陛下たちにほっとします。
    後半は雲が晴れるような爽快感を感じてください。

      私は大好きですが、どちらかというと単調な話かもしれません〜

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