- Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591094723
作品紹介・あらすじ
主人公、直都が手に入れたのは、出来事を「削除」できる装置だった。削除したいのは深爪の傷、息苦しい現実、それとも忘れられない過ち?生命力に満ちた人物造形と疾走感あふれる筆致が織りなす、まったく新しいリアル・エンターテインメント。第1回ポプラ社小説大賞受賞。
感想・レビュー・書評
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2010年8月21日 読了。
星3つにしたけど、3つ半くらい付けてもいいかな。よく作りこまれてると思う。
過去を消せたら、とはたぶん誰でも一度は考えたことがあると思う。ただの無い物ねだりだからいくらでも空想したり消せない現実を後悔したりするわけだけど、実際に消せるというのはかなり怖いことだよね、というお話。
序盤はイマイチかなーと思っていたけど、結局は引きずり込まれて一気読み。これ、登場人物の年齢をそれぞれ3歳くらい上げて書き直した方かいいような気がする……小学6年生のする冒険じゃないよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
直都が手に入れた過去を削除できる装置。このお話は、過去に戻って同じ場面をやり直せるわけではなく、今いる時間から過去にあった出来事だけを削除できるっていう設定。「削除」できるけど思い通りに「やり直せる」わけじゃない。だから、その装置を使ったあと、ある出来事の削除された時間から、削除ボタンを押した現在に至るまでに、何が起こったのか考えていくのが面白かった。
もし、思い通りにいかなかった人生の、そのきっかけとなる出来事を削除したとしても、消したあとの人生が思い通りにいくとは限らない。そうしたらもう一度、別の過去を削除するしかない。それってエンドレスだなぁ。
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3
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そう終わっちゃうのかと思った。
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なんかさびしい、です。
また会えるのですか?
さよならって云ってしまう気持ちも
わかる気がする。
なぁ、浮石。
川口とハルとコタケ、みんなで
楽しかったなぁー。
良かったなぁー。
なぁ、浮石。 -
フリマで冴えないクラスメートの女子を助け
不思議なカメラをもらったグッチ
驚くことにそれは、写真に写った人間の
「過去 」を消せる装置で……
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不思議な装置を手に入れた小学生が
日常をわぁわぁ過ごす話なのかと思っていたけど
思いの外大きな事件に巻き込まれていって面白かった!
小学生ならではの感性や、悩みがイキイキと描かれているのも良かった
何よりラストがいいな
清々しかった -
読んだ後、爽やかな、切ない気持ちになれる。
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本屋でチェックした時は、
近未来の世界なのかと思ったけどそうでもなく、
現代にいきなりSFチックな異物がもたらされた感じ。
しかも手にしたのは小学生。
でも、この子達俺がガキの頃より頭働くよなぁ。
俺こんなに物事考えて動いてなかったわ。
今の小学生ってこんな感じなのかな??
主人公に唐突にもたらされたアイテムは、
過去の時間を削除できる(5分間)
って機能があるんだけど、
つーかそれしかないんだけど。
この主人公のアイテムの使い方が、
いまいちなんだよねぇ。
ガキっぽくもありそうでなくもあり。
なによりその年齢で、
一番の大親友がそんな状態ならさ、
まずそこだろ?削除するのって。
何でそこをすっ飛ばして違うことばかりするの?
・・・と最初にみんな思うと思います。
まぁそれは、作品を最後まで読めばわかるw
これまた面白い小説でした。
今の小学生なら8割は持っていると言われる(俺予想)
携帯や、学校で教えてもらえちゃうPCなんかも
当たり前のように活用してる現代っ子な主人公達の
悩みなんかも大雑把にざっくり切り取って
ちりばめてあるので、この年代のお子さんをお持ちの
お父さんお母さんも是非?
自分がガキの頃と照らし合わせて、
あぁこんな奴いたなぁと
物思いに耽るのもよいかもです。
なにげに社会派なSFだな。
主人公を子供にはしてるけど。
と、これ書きながら思ったw -
一気に読めました。全体的に面白かったです。
自分の子供が小6なのでなおさらなのですが、主人公たちの精神年齢が高すぎて違和感を感じてしまう。主人公たちが中学生、兄たちが高校生ならしっくりくる。
削除装置、大人が使ったら、変化した現実に適応できなくて気が狂いそう。だって、自分の人格が変化することもあり得るわけだし…。
そう考えると、小6だから成り立つのかな? -
小学六年生が手に入れた、数分の時間を削除できる機器。
興味深い設定であるが、主人公が小学校六年生らしくないと感じた。でも読み進むうちに拘りは消えた。
小学生であろうが、中学生だろうがどうでも良い。
青春の一時期の物語として、読んで面白い。 -
面白かった。
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読み終わった後に、また始めを読み直す。そうせずには、いられない。
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面白い!時間を無かった事にすると、周辺が変わってしまう系でワクワクして見れた。青春物で見ても目頭が熱くなる良い話
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小学生の視点
「転」の部分や「結」の部分に様々な小さい起承転結が含まれている -
斉藤智裕さんこと水嶋ヒロさんが『KAGEROU』を受賞したポプラ小説大賞。過去に大賞をとったのはこの削除ボーイズのみです。
青春SF小説とでも言いましょうか。しかしなんだろう、ひきこもりの事を一環して「ひきコウモリ」と呼ぶギャグセンス(?)は。 -
7
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設定、キャラクター、ストーリーと個人的にはとても気に行っている作品です。一時期パクりだ何だと騒ぎになりましたけど、よくある設定じゃないかなぁ、と。
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<特に引用なし>
例のポプラ社大賞第1回の受賞作!
KAGEROUよりも断然、私好みで面白かったーーー!!!
とにかくとても長くて、最後まで行き着くかしらとは思ったのだけれど、、
読み始めたら、いったいどうなるんだろう?どうなるんだろう???
と先が気になって気になって仕方がなかったのでした。
物語の主題は次々と移り変わるようにも思えてはいるのだけれど、
一体これから先どんな未来が待っているのか、
私は気になるなぁ。。。。
それでも、明るい方向へ行ってくれたらいいなと思う。
にしても、削除カメラ、とはすごいアイディアだ!
すごい、力の入った物語でしたー。
面白かったー★
【7/16読了・初読・市立図書館】 -
昨年、水嶋ヒロこと齋藤智裕の受賞により一躍有名になった「ポプラ社小説大賞」。その第1回大賞受章作が本書である。授賞式及び刊行は2006年のことだった。
「ポプラ社小説大賞」は、それまで児童書中心のラインナップだったポプラ社が文芸部門にも本格的に注力するために創設した賞で、当時僕は少し出版業界に関わる仕事をしていいたので割と間近にその動向を見ていたのだけど、なかなか全社的に力を入れているなーという感じが伝わってきたものだ。
というのもやはり2000万円という破格の賞金のインパクトがでかかった。それまでの文学賞の中ではちょっと想像もつかない額に、ポプラ社の本気度がうかがえた。
2000万円という賞金は、作家を育成するという意味だけでなく、宣伝効果も大きかった。その賞金の事だけであちこちで話題になっていた。これも戦略勝ちだと思う。
そして第1回の受章者が発表された時、僕は驚いた。応募作2746作品の中から大賞を受章した方波見大志氏は僕と同い年だったのだ。当時26歳くらいか。同じ26歳でも人生こんなにも違うもんかねえととても感心したのを覚えている。
小学6年生のグッチこと川口直都がフリーマーケットで手に入れたのは、デジカメのような怪しげな機械。どうやらそれは過去に起こった出来事を3分26秒だけ削除する事ができるらしい。その機械をKMDと名付け、親友のハルらと共に様々な都合の悪い出来事を削除していくグッチ。だけどやがて彼らは気付いてゆく。過去を削除しても思い通りにならない事があることを。そして軽い気持で削除した過去も、かけがえのない取り返しようのない大切な過去であることを。
物語はKMDを巡る時間SF的冒険と連動して、車イス生活を送っているハルとグッチの兄の間にあったある痛切な事件を巡るミステリ的な謎ときが描かれる。
単行本版の帯には評論家・大森望氏の言葉が寄せられている。曰く、『時間ものにまだこんなすごい奥の手があったなんて……。今までの人生からどの3分26秒を消したいか、考えはじめたら夜も眠れません』。読み終えた読者は同様の感想を抱くに違いない。
作中でも描かれているが、人生の肝心な部分は数分間でしかなかったりする。その数分間がなかった事になるだけでその後の人生は大きく変わっていただろう。
あの時あの人と会わなければ…。あの時あんな事を言わなければ…。あの時あの場所を通りかからなければ…。考えはじめたらきりがない。
過去を改変するのではなく、数分だけ<削除>するという独創的な発想によって方波見氏は生き生きとした青春小説を書き上げている。
削除、DELETE。僕らもPC上で文書を作ったりファイルを整理したりする時に何気なく使っているが、思わず削除してしまったものが大切なものだったためにがっくりと肩を落とす、という経験は誰にでもあるだろう。それが時間であった場合、それは何人にも取り返しはつかないものになる。
時間というものの不可逆性を残しつつ未来を変更してみせる<削除>。大森氏の言うとおり、新たな時間SFの可能性を示している。
小学生である主人公の一人称で描かれながら、あえて大人と変わらない口調で書かれており(乙一の作品にも同様の手法があった)、それが子供社会のルールや人間関係を鮮やかに活写している。
しかしまあ、でもだからこそ実写映像化は難しいだろうな、とも思う。劇場用長編アニメだったら可能かな。細田守作品(『時をかける少女』『サマーウォーズ』等)みたいな感じ?
まー本当は過去の一分一秒の大切さを身に沁みて思い知っているのは大人の方だと思うんだけどね。それ言っちゃおしまいか。
ともあれ単純にエンターテイメント小説として面白い。物足りない部分もあるものの、下地はあるようなのでさらに経験を重ねたらもっといい作家になるだろうな。
・…と思っていたものの、その後この作者が発表したのは2007年の『ラットレース』のみ。今はいったい何やってるんでしょうか。同い年だけに気になります。
刊行直後は、2000万円の大賞受賞作がこれかい!という批判的な評価が多かったのだが、『KAGEROU』騒動でポプラ社小説大賞がまた注目を集めている現在、その余波で再評価されないだろうかと密かに期待している。
そんでもって方波見氏がすごい新作を発表してくれるのを期待している。
第1回ポプラ社小説大賞受賞作『3分26秒の削除ボーイズ -ぼくと春とコウモリと-』を改題のうえ加筆。
その後、ポプラ社小説大賞は第5回の『KAGEORU』まで大賞はでなかった。 -
第1回ポプラ社小説大賞受賞作品に飛びついて読んだ。
さすが面白かった!
「決して消せない何かがあると信じたい」
とか
「出会える。忘れないから」とか。
もうかっこつけちゃってもう!かっこいいなあ!もう!