てのひらの父

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591126561

感想・レビュー・書評

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  • おせっかいなオバサンはよく居るが、おせっかいなおじさんが時には居てもいいと思える作品。実際自分の家族に居たら面倒なのかもしれないが、他人だからこそそう思える関係がいいのかもしれない。

  • 亡くなった人の事が、その人が生きていた時より濃く感じられる事がある・・・人の存在感とは不思議なものです。 主人公の現在をまさに進行形でせわしく描きながら、時折ふと「人生とは」「未来とは」「生き方とは」という様な漠然とした大きな問題を真面目に考えてしまったり、お伽噺の様なエピソードについワクワクしてしまったりしながら、楽しく読めました。

  • なんだか読んでる途中でホワホワさせられ、続きが気になってあっという間に読了しました。

  • 読み始めゎ暗いのかなと思ったけど
    そんな事もなく 早く読みたいと思えた。
    声をあげるべきだ。あげたその声で潰されてしまわないよう…
    うん。と思った。
    読んで良かった。 2013.3.5

  • タマヨハウスに暮らす3人の女性たちの前にすすんでゆく姿を季節を通して描いた物語。
    管理人タマヨさんの代理でやってきたトモミさんが、住人を守ることが仕事、と様々干渉してくる。時にはねのけながらも、やがて互いに大きな存在となる。
    仕事に迷い、恋愛に臆病になり、家族と向き合えなくなり。
    タマヨハウスに集まる女性は皆明るくも何かしら乗り越えるべきものがあった。
    これまではなんとなく避けてきたことが、トモミさんのおかげでしっかり戦わされることになり。
    それぞれのキャラが、最初の印象と違い読むうちにどんどん魅力的になる。
    思っていることを誰かに伝えることを、皆がするからその分近づける。だから全体としてどっしり安定感のある読み心地。
    思っていることをきちんと言葉にするって、大事なことなんだなあ、と改めて感じた。
    作者の作品では真夜中のパン屋さんが有名だけど、悩みがリアルなせいか、私はわりとこちらが好き。

  • ぽろぽろ泣いた。
    迷子なんだよな……
    ずっと……
    なんにも持ってないし。
    足りない。
    欠けてる。
    どこかで、そんな自分にあきらめてて。
    けど。ときどき、とてつもなく悲しくなって。
    不安で。
    ……なんか、同調しちゃった……よ。
    柊子と、誕生日がおんなじ。なんてことに、フシギな縁を感じたりしながら。
    ほろり。また涙。

    トモミさんみたいなひと、いてくれるといいな。
    なんて、贅沢なこと、思ったりもしちゃいます。けっこう、マジに。

  • 女性専用の下宿に住む3人の女性たち。
    横領の罪を着せられてリストラされた就活中の柊子。
    ある事情からどうしても弁護士になりたい涼子。
    アパレルデザイナーで、同僚の年下くんの子を身ごもった撫子。

    三者三様に個性があるけど、三人とも父親との距離がある。

    そこへ登場したのが、コワモテだが真面目で実直な臨時の初老管理人トモミさん(レース編みが得意。男性)

    トモミさんの仕事熱心さからくる過干渉により、柊子たちは自分が目をそむけていたものに向き合い、見つめ直してゆくことに―


    物語は柊子の視点でえがかれます。
    とにかくトモミさんがいい!
    お固くて無愛想だけど、下宿人の娘たちのこととなると本当におせっかいで熱くなってしまう。
    トモミさんの言動が、不器用だけど真っすぐだから3人の心の中のわだかまりをじわじわと溶かすことができたんだろうなあ。

    じんわりきました。
    なぜか上堂園くんが七夕の短冊を書きまくるシーンで泣けました。

    タイトルもいい。なぜ「てのひら」なのか。読めば納得。これも泣ける。

    ドラマで見てみたいなあ。
    トモミさんは國村隼あたりがいいと思うのですが。

  • 帯の写し…

    わかりあえない、父と娘のおかしくて切ない"距離"の物語
    世田谷区、松陰神社前駅から徒歩15分。
    女性専用の下宿「タマヨハウス」には、年ごろの三人の女が暮らしていた。
    弁護士を目指す涼子、アパレルのデザイナーとして働く撫子、そして不条理なリストラに遭い、人生にも道にも迷い続ける柊子(しゅうこ)。
    幸せでも不幸せでもない日常を過ごしていた彼女たちだが、春の訪れとともに現れた真面目だけが取り柄の臨時管理人の過干渉によって、すこしずつそれぞれの「足りない何か」が浮き彫りになっていく。

    上記の臨時管理人の「ニシオトモミ」さんが底知れない存在感で、何より、全体的になんともほんわかとしたタッチがとても私好み。ドラマチックな展開があるわけではないけど、こういう作品は、心が癒されて大好き。

  •  真夜中のパン屋さんの大人向けの本。というと作者に失礼なのかな?

     ゆるっとしたテイストの女子らが可愛らしい。トモミさんも見事だ。大人向けの方が落ち着いて読めるなぁ。(対象年齢の違いだろうけど)
     きれいな変態を書かせるとすごい、という気がしている。

  • ドラマにできそう。
    なんとなく気持ちが暖かくなります。

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著者プロフィール

1975年、岐阜県生まれ。2005年に「ゆくとし くるとし」で第9回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、小説家としてデビュー。『真夜中のパン屋さん』で注目を集める。

「2019年 『路地裏のほたる食堂 3つの嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大沼紀子の作品

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