- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591133934
作品紹介・あらすじ
満州事変から2・26事件、そして日中戦争、太平洋戦争へ-。1945年、田原少年小学5年生の夏休みに終戦を迎える。教師の教えが180度変わった。そして、英雄が犯罪者となった。太平洋戦争に負けた日本は、変貌を余儀なくされる。日本はなぜ、勝ち目のない戦いに挑んでいったのか。
感想・レビュー・書評
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多少なりとも、田原総一郎さんの私感が入っているだろうと思いつつ、本著を読む。
第二次世界対戦前、なぜ内閣総理大臣がよりによって公家出身の近衛文麿だったのかというのが解せない。彼は政治家や軍人の後ろ盾がなく、人気があったのは国民だけ。それが本人もわかっていて、政治家や軍人に振り回されている。この時代、軍人からのテロ行為が多発していたため、命を狙われるのが怖かったのだろう。また「国家総動員法を止めたい」というのも、最後の砦である国民からの人気を落とすのが怖かったのでは。それが行間から伝わってくる。
松岡洋右も山本五十六も、この戦争は勝てないと知っているが、国際事情に疎い東條英機は乗り気だ。唯一止められるとしたら日本の〈権威〉である存在だったのではないか。
さまざまな負のループが伝わってくる一冊だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
事実は小説より奇なり。
負けると誰もが分かっていたのに開戦に突き進んだ経緯が描写されている。情報不足の中で決定を急ぐあまりに間違えた方向に進む経緯がよくわかる。
今の情報化社会ならば国家レベルではこのようなことは起こらないとは思うが、1企業や部署の中では起こり得ると感じた。
正しい情報を基に何事も判断できるよう訓練したいと感じた。
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ジュニアむけなので分かりやすくてよい。しかも自分が小学校5年生の夏に歴史がひっくり返ったということで、自分の体験や考えていたことがあるので、身近な感じがよい。
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大東亜戦争(太平洋戦争)および戦後の日本政治に関する本である。私は20代であり、戦争について身近に語ってくれる人はいなくて、こういった本を読むことでしか戦争について理解を深めることができない。かつて日本は侵略戦争をしていたが、アメリカという大国を前にして壁にぶち当たる。アメリカの言う事を聞けば、それまでの戦争によって得たものを失ってしまう。そこで無謀な戦争をアメリカにしかけざるを得ない状況になってしまったのである。無知な私はこの本を読んでアメリカに対する考えが変わった。アメリカという国がいかに、これまで日本を虐げてきたが分かった。しかし、大国を前にして何もできなかった日本という小さな国でも、祖国、そして我々のような未来の日本国民を守ろうと勇敢に戦った兵士たちを私は誇りに思う。
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題目通り満州事変より太平洋戦争後までの日本国歴史を紐解く。主に当時の歴史経緯の背景を、識学者の証言を元になぞらえていく。
文章も容易で簡易読み物として良いのでは。
ただ歴史を学ぶ上では異国人著作はじめ、色々と参照した方が良いのは間違いない。 -
著者は、日本人なら誰一人として知らぬもののいないといってもいいほど有名なジャーナリストである。
スタンスは、「中道左派」ともいえるかもしれないが、本人は「体制内」だと自称していた。
本書は、そのスタンスどおりの「戦中観」である。
しかし「昭和天皇独白録」の内容をあまり検証せずにそのまま引用するなど、「歴史書」としてはあまり評価できないとは思うが、この時代を読みやすくわかりやすく解説している点で入門書としては読みやすい。
ただ、この本も、中国や朝鮮についての記載は限定的である。
日本の当時の「大陸政策」について、なぜあのような誤った方向へ進んでしまったのかの考察はあまり見られない。
これは意図的なのか、それとも著者の限界なのかはわからないが、現在でも日本と中国や韓国との「歴史認識」がすれ違っている現状を見ると、やはり日本は、もっと過去の歴史を辛辣に検証すべきなのではないのかとも思った。 -
平易な文体の歴史入門書。