三つ星料理人、世界に挑む。

著者 : 奥田透

• ポプラ社 (2014年10月6日発売)

作品紹介・あらすじ

著者は東京・銀座で
三つ星＜小十＞と二つ星＜奥田＞を構える気鋭の料理人。
その奥田氏が、昨年９月にパリに開いたのが＜OKUDA＞。
そこには、日本の「本物」をすべて注ぎ込みました。
料理はもちろん、建築、しつらえ、器、着物、おもてなしの心……。
食の都・パリに出店する以上、
日本料理の真髄を見せられなければ意味がないという強い決意があったのです。

そして、そのわずか５カ月後に一つ星を獲得。
かのアラン・デュカス氏はこう評しました。
「奥田の店の価値を認めることは、
フランス人が正しい舌と美的感覚を
もっていることを証明することなのです」

しかし、その道のりは苦難続きでした。
法律の壁、習慣の違い、食材確保の難しさ……
それらのすべてを克服しての一つ星でした。

しかも、その過程で、「どうしても、活きた魚が必要」ということで、
凱旋門に続く道沿いに魚屋をオープンすることに。
前日にブルターニュで水揚げされたばかりの魚が
店先の生け簀で泳いでいる魚屋です。

日本料理を世界に伝えるために、著者はなぜそこまでやるのか。

　以下は本書の最後の一文です。
「私とすれば「一度は死んだ人間」という意識が常にどこかにあります。
＜小十＞を開店したものの、お客様がまったくいらっしゃらなかったあの日。
マンションから飛び降りる一歩手前までいった私を踏みとどめてくれたのは、
私欲のためじゃなく、もっと大きなことで働かせるためだったのではないかと思うのです。

残りの人生は、いわば神様がくれたチャンス。
そんな開き直りから、勝手な使命感にスイッチが入りました。

そして、そこから開けた世界には、
これまでお話ししてきたように、いろいろな奇跡が用意されていました。

日本料理をはじめとして、
衰退していく日本の文化、産業が正当な評価を受け、
新たな輝きを発している。
そんな十年後を目指し、
私の時間、思い、能力、エネルギーのすべてを捧げたいと思っています」

感想・レビュー・書評

[enatoさんの感想 · 2017年2月25日]

日本料理店を営む料理長の奮闘を語っている。パリに日本料理店をオープンさせ、数ヶ月でミシュラン1ツ星を獲得した。パリで日本料理店が成功するのは珍しいそうだ。やれば出来る!作者の気迫や意気込み、挑戦する意欲に共感することができ、あきらめない自分が大切だと気づかされる。

[y_dokaさんの感想 · 2015年10月31日]

バイタリティの塊のような人だなあ。こういう「実際にやる」人が成功するのだろうなあと改めて思わせる。
悪くはない本だけど、個人的にはおいしそうな写真満載にしてほしかったな。

著者プロフィール

ミシュラン三つ星 銀座・小十

「2023年 『その料理、秘められた狂気』 で使われていた紹介文から引用しています。」