あなたの不動産が「負動産」になる: 相続・購入する前に今すぐやるべきこと (ポプラ新書)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591146293

作品紹介・あらすじ

負動産貧乏になるな!

不動産が5年以内に
粗大ゴミになる。

売れない貸せない「負動産」から逃れるために
今すぐやらなければならないこと。
不動産を税金や管理費を払うだけの
「負債」にしないためにやるべきこと。

遺品整理業の草分けとして知られる
著者が継承を鳴らす!

不動産の多くはもはや財産ではなく、
固定資産税や管理費・修繕積み立て費を
支払うだけの「負債=負動産」であり、
売れないし貸せない。

不動産を相続したり購入する前に
今すぐやらなければならないことを初めて一冊に。

●「負動産」で困らないための基礎知識

1、自己所有の不動産価格を調べる
2、家族構成を考え余分な不動産は処分する
3、見込みのない不動産を将来性のあるものに買い換える
4、所有せず、借りるという考え方をもつ
5、ライフプランにあわせ、総コストが少ないマンションを
6、ハザードマップで、危険でないかを確認する
7、消滅可能性都市は避ける
8、相続財産はできるだけ不動産で残さない

●構成

序章 不動産も遺品と一緒に処分することを望む遺族
    〜遺品整理屋が不動産屋になって気づいたこと

第1章 いつの間にか、不動産が負動産になっていた
〜まだ不動産に価値があると信じますか

第2章 負動産ババ抜き、負けるのは誰だ
〜負動産地獄にはまった抜け出せない人たち

第3章 負動産を抱えないために知っておくべきこと
〜不動産を買う際に気をつけること

第4章 負動産を不動産に復活させる方法
〜不動産の有効活用と価値の創造

第5章 負動産で困らないための基礎知識
〜明日からでも行うべき不動産の健康診断

第6章 相続人になる前に知っておくべき知識
〜自分は誰の相続人として何を相続するのか

感想・レビュー・書評

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  • かつては不動産を持つ事が資産を持つことと考えられてきたが、少子高齢化が進む現代日本において不動産の価値は下落こそすれ高騰する事は稀である。子孫への資産として親やそのまた親から相続された自分たちが使うわけでもない不動産が誰にも売れない、貸せないまま固定資産税、管理費、修繕積立費を払い続ける負動産へと変わっていってしまう時代である。相続する際にはその不動産の価値をしっかりと見定めて、場合によっては相続放棄という選択肢も考えておかないと金食い虫の負動産を抱えて苦労する羽目になってしまう。相続されると知ってから三ヶ月以内に申し立てをする事で相続放棄が可能、ただしその際はプラスの相続も放棄しなければならないというデメリットもある。

    私の周りにも結婚をしたら家を建てる、マンションを買うということを選択する人が多数いる。この本のような情報を知らない人は賃貸でお金を払い続けるくらいなら同じようにお金を払って不動産を買った方が手元に資産が残る、と思い込んでいるが実際にはそうではない。

    ではそれでもマイホームを持ちたい、分譲マンションに住みたいという人はどうするのが良いか。

    マンションの場合は、何十年後の行く末を考えて、価値が下がりにくい地域をシビアに選ぶべきだと筆者は述べている。購入する際は住宅ローンだけで考えてはならず、修繕積立費、固定資産税、管理費は完済後も物件を所有する限り払い続けなければならないことを頭に入れておく必要がある。つまり誰かに譲渡するか、建物全体が解体されて滅失登記されるまでは支払い義務から解放されないということを鑑みてそれでも購入する価値があると判断して、それから購入するべきである。
    また、何十年後に確実に値下がりしないという土地であったとしても、建物自体の価値は必ず値下がりするということも考慮しておく必要がある。

    一戸建ての場合は、土地を所有しないという観点から定期借地という方法が挙げられている。50年以上等スパンで土地所有者から土地を借りて借地代を月々支払っていく。その上に住宅を建てて契約終了時には解体して返却するというもの。土地が自分のものにならないというのはデメリットのように見えるが本書でも度々述べられているように将来のことを考えるとそれはメリットなのである。契約終了時に必ず更地にして返さなければならないので50年以上先の高齢者になってから引っ越しなどの面倒ごとがあるというのはデメリットだが、子孫に負動産を残さないという点では良いと考えられる。更に著書の中では定期借地と土地所有のそれぞれで家を建て場合にかかる費用の比較を試算しているが、その計算よると50年経過した段階で定期借地の方が約3254万円ほど安くなる計算となっている。理由としてはローンによる金利が発生しないこと、固定資産税が発生しないことがある。この場合どちらが得なのかという判断は、土地購入した場合の50年後の売却額が3254万円を超えるかどうかで判断ができる。

    また、持ち家ではないが普通の賃貸では飽き足りないという人はDIY型賃貸という選択肢もある。居住者によるDIYが可能で退去時にも現場復帰をする必要がないというもの。活用方法が見つからない不動産所有者が何とかして貸したいという場合が多いので比較的安価で貸している事が多く、自分で手を加えられるので持ち家を持たずともそれで満足できる人はそういった方法もある。

    建築士としては無闇に土地の購入や住宅の購入を促すことをせず、現代の日本で不動産を持つことのメリットとデメリットを正しく伝えた上で判断をしてもらう事が必要だと強く感じた。
    また、こういった不動産が今後の日本では加速度的に増えていく事が予想されるのでどう活用するかを考えるもの建築士の請け負う使命のように感じた。

  • レビュー省略

  • 不動産を所有する=登記する=固定資産税の支払い義務を負う 自己所有のマンション購入を希望する場合、転売できる可能性をしっかりと見極め、駅近、新築、狭め、総戸数が多くて価格が高めのしっかりした施工会社が建設した物件を選ぶことが肝要です 被相続人が亡くなる前に相続放棄に関する書面に署名捺印していても、その相続権は無効になります 高度成長期の時代とともに自由競争が加速し、国民の選択肢が増え、自由と便利さの追求が始まりました 

  • 遺品整理業をされているこの本の著者が、親から引き継いだ不動産について相談を受けることが多く、親から財産を引き継ぐときの注意点について解説した本です。

    私もこの本を読むまでは、親が住宅ローンを完済していれば、その不動産やマンションを引き継ぐことは問題無いと思っていましたが、住宅ローンを完済していない相続人が、マンションを相続して維持していくことは大変であることが、改めて理解できました。

    固定資産税に、マンションの管理費、1年間でどの程度になるのか、相続する前にすぐやるべきこと、として挙げられています。とても考えさせられる本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・単身者が、年齢を問わず住まいとして選択するのは、交通の便の良い駅前のマンションしかない(p28)

    ・リゾートマンションは、物件自体の価格は10万円でも、入居時に別途100万円、年間数十万のコストがかかるので、年に宿泊費を30万円使っても、設備が整ったホテルのほうが断然お得(p31)

    ・たとえ1円で落札しても、数百万円単位に膨らんだ滞納共益費の負債を落札者が承継することになる(p32)

    ・全区分所有者の5分の4が賛成すれば建て替え可能だが、容積率に余裕がないマンションだと、建築費は100%区分所有者負担となる(p47)

    ・住宅建設の経済効果は非常に高く、これを停止すると、空き家問題以上の社会問題となる(p52)

    ・固定資産税は、地方税収の50%前後を占めるので、簡単には逃げられない(p61)

    ・相続放棄は、相続開始を知った日から、3か月以内に相続放棄の手続きを裁判所へ申し立てなくてはならない(p62)

    ・田舎の中古住宅が売りに出ているということは、その家に住む人がいなくなったということ(p74)

    ・不動産の所有とは、その後の管理費用や固定資産税を払い続ける責任を負うということ(p75)

    ・修繕積立費と管理費の合計が3万円のマンションの場合、1年で36万円、30年で1080万円であることを認識しておくこと。マンションの耐用年数47年を考える(p99)

    ・法定耐用年あ、鉄筋コンクリート(RC)で47年、重量鉄骨34年、木造22年、過去の統計上の平均建て替え時期が基準となっている(p101)

    ・劣化対策等級があり、等級3の場合は、おおむね3世代(75-90年)、等級2の場合は、おおむね2世代(50-60年)、等級1の場合は建築基準法ぎりぎりである(p101)

    ・分譲マンションを購入する場合は、しっかりとした施行会社の建設したマンションで、管理組合がしっかりしていることを確認する(p117)

    ・これからの時代は、子供がいても丈夫な範囲の狭めの部屋、戸数の多いマンション、駅近く、新築、価格が高めのしっかりした施行会社が建築した物件にすること(p168)

    ・2040年までに、20-39歳の女性人口が半減すると予想される自治体は、消滅可能性都市と言われている。全国約1800の市町村のうち、約半数の896が該当する(p171)

    ・2013年、住宅全国総数6063万戸のうち、820万戸が空き家であり、空き家率は13.5%で過去最高。賃貸住宅の空き家率は18.9%(p172、180)

    2015年8月16日作成

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著者プロフィール

吉田 太一
1964年大阪生まれ。大阪市立桜宮高校の体育科の一期生。日本料理の板前を経て、運送会社に勤務。28歳で独立、引越し運送業を始め、2002年、遺品整理専門会社「キーパーズ」を設立して話題の人となる。以来、数多くの遺品整理現場に立ちあった経験から、孤立化していく生活スタイルの問題定義のた
め、DVD制作や講演活動などを行っている。2011年に映画化されたさだまさし原作『アントキノイノチ』(幻冬舎)原作のモデル。主著に『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(扶桑社)、『おひとりさまでもだいじょうぶ。』(ポプラ社)『私の遺品お願いします』等多
数。


「2013年 『いつか“遺族”になる時のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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