おしい刑事 (ポプラ文庫 ふ 6-1)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591151679

作品紹介・あらすじ

あと一歩、あと一歩だったのに――。

推理力抜群で華麗に犯人を追い詰めるのに、いつも最後の最後にまさかの展開が起き、同僚に手柄をとられてしまう押井(おしい)刑事・32歳。
周囲の呼び方はもはや「惜しい刑事」としか聞こえない。
次こそ完璧に事件を解決し、不本意な呼び名を返上するべく奮闘する押井だが、ああ、やっぱり今日もまた……。

出世知らず、彼女おらず、酒飲めず。とことん残念な刑事を、いつのまにか応援せずにいられない!
元お笑い芸人の横溝正史賞作家が魅せる、腹筋崩壊の連作コメディミステリ。

<目次>
おしい刑事参上
おしい刑事のテスト
密着・おしい刑事
おしい刑事の雪冤
安楽椅子おしい刑事
おしい刑事よ永遠に


<著者略歴>
藤崎翔(ふじさき・しょう) 1985年茨城県生まれ。高校卒業後、6年間お笑い芸人として活動。2014年に『神様の裏の顔』で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『神様の裏の顔』(角川文庫)、『私情対談』(KADOKAWA)、『こんにちは刑事ちゃん』(中公文庫)がある。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の代表作と言える「神様の裏の顔」からの角川文庫の3作品はどれも形は違えど文章を利用したトリックだったので、面白いのに映像化出来ないジレンマを勝手に感じていた。
    一方こちら、時系列は神様〜と同時期の作品だが、事件→推理→解決と、典型的な道筋なので変に頭を酷使しなくて済むのが心地良い。とてもライトで、肩の力を抜いて楽しむ事が出来た。関係ないけど個人的にポプラ文庫の厚みのある紙質が好き。あ、すち。

    六作からなる短編集。アフロヘアーのバンドマンが口から火を噴くパフォーマンスの練習中、失敗してアフロに引火、火災が起き死亡。一見不注意から起きた事故かと思いきや、切れ味鋭い推理を披露し事件の真相を見抜く、犯人を絶対に逃さない凄腕刑事、押井。しかし彼は最後の最後で「惜しい」結末を迎える。

    はて。文章で、しかも刑事が、「」内にて、「うわぁぁあぁあん」と泣き嘆く描写を今まで見た事があっただろうか。最初こそ脳内再生が定まらず苦戦したが、モデルを風間俊介にしたら不思議としっくりきたので参考までに。映像化キャスティングの絶妙さを痛感出来るので一石二鳥である。

    しかし、設定が充分コメディとして成り立っているのに、所々文章で小ボケをかましてくるのが...言葉は悪いが少し鬱陶しかった。
    コメディ色全開だが、ある意味人の死と失敗を嘲笑う俗悪作品と言われれば確かにその通りな気もしてしまう。ブラックユーモアの域を少しだけ超えているように感じた。着地で途端に「ある意味イヤミス」が城門突破だ。最後の最後に押井刑事に対して同情心を芽生えさせるのは失策に感じた。
    「先生!押井君いじめにあってます!」
    世の生徒会長達が黙っていないだろう。

    押井(惜しい)は勿論、個人的に横田(横取り)と伊多田(いただき)の盗賊コンビが好きだったのだけども、どうも乗り切れなかった。次回作は惜しい刑事が恋をするらしいので挽回を期待。ほどほどに優しい世界になっていることを願う。

  • ちょっとの読み違いや思い込みによる視野の狭さ等で初動捜査はいいものの最後の最後にコケる姿はギャグ漫画そのもの。
    ミステリーとしてある程度いいものだし押井本人は真剣だからこそその姿に笑ってしまいながらも彼を「おしい刑事」と呼んでしまう。
    続編もあるらしいから読みたくなるね。

  • まんま、惜しい。というかガッツリ外してるような。
    斬新な展開だけど、読んでて悲しくなるな、これ。。
    愛されいじられキャラの極致というか。
    193冊目読了。

  • 短編集。面白いけど!軽く読める感じ。

  • 推理はいいとこまで、いやほとんどあってるんだけど、何故か最後にはずしてしまう惜しい刑事、押井刑事(笑)いやもう、周りの人ひどすぎでしょf^_^;)意外にもブラックなんじゃないかってストーリーでした。ドラマになったら面白いかも〜主役の惜しい押井刑事はぜひ伊藤淳史さんで。

  • どっちつかずで微妙な感じ。いいところまで推理し真相に辿り着けそうなのだけれど、最後の最後に外れちゃって手柄を同僚刑事に横取りされちゃう「おしい刑事」こと押井刑事。6話全部同じようなパターンで平坦な感じがしました。それとコミカルに振り切れず少し不憫だったり嫌な気持ちになる場面もあって、あまり楽しめなかったです。

  • 全体としては連作短編の形で、軽いタッチで読みやすいです。主人公の押井刑事は多分頭はいいのだと思います。よく気が付くし。ただ、惜しいのです。いつもほぼ解決か、というところまで推理しているように見えながら、結局手柄は持っていかれてしまいます。最初は情けなくも微笑ましく読んでいましたが、同じことが重なってくるとなんだか切なくなってきました。「安楽椅子おしい刑事」が意表を突かれた感じで楽しかったです。最終話は妙な納得をしてしまったのですが、後味がいいわけではないところも藤崎さんらしいですね。

  • 文学的素養のある作家なら、このへんを見事な文学的技術で乗り切るのかもしれないけど、この作者には無理なのである。
    (P.220)

  • 『やっぱりおしい刑事』
    NHK BSプレミアム/毎週日曜放送
    2021年3月7日から
    ――――――――――
    『おしい刑事』
    NHK BSプレミアム/毎週日曜放送
    2019年5月5日から

  • 有能的に推理をするもいつも最後の最後で事態が大逆転し手柄を同僚に横取りされてしまう押井刑事と六つの事件。癖のないシンプルさを心地好くサクサクと読んでいると、惜しい刑事化した途端に文章まで崩れるのがつらく残念。口述表記を含む家族の高校の話や最後の一編ではそれが気にならず爽やかに読み終えられて良かった。

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著者プロフィール

藤崎 翔(ふじさき・しょう)
1985年、茨城県生まれ。茨城県立竜ヶ崎第一高等学校卒業。高校卒業後、お笑いコンビ「セーフティ番頭」を結成。ネタ作りを担当。2010年にコンビを解消し、小説を執筆。、2014年、初めて書いた長編ミステリー「神様のもう一つの顔」(のちに「神様の裏の顔」に改題)で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、小説家デビューする。著書に『私情対談』(のちに『殺意の対談』に改題)『こんにちは刑事ちゃん』『おしい刑事』『恋するおしい刑事』『お隣さんが殺し屋さん』がある。


「2018年 『時間を止めてみたんだが』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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