つくられた心 (teens’ best selections 50)
- ポプラ社 (2019年2月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591162057
作品紹介・あらすじ
新しくつくられた「モデル校」は、防犯カメラ、集音マイク完備のスーパーセキュリティシステムに加え、クラスにひとりイジメ防止の<見守り役>としてアンドロイド(ガードロイド)が1体、配置されるという。小学校6年生のミカはきれいで気持ちのよい校舎で新しい友だちもでき、新生活に胸を躍らせるが、やがてクラス内に「ガードロイド探し」が始まり…。ホンモノの心って? 人間の心とガードロイドの心の違いって?
──近未来の東京を舞台にした物語ですが、これは「明日の東京」の話かもしれません。AIと人間が共存する社会を読み応えたっぷりに描きます。
感想・レビュー・書評
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少し未来の学校が舞台のお話。
クラスの中にガードロイドというアンドロイドがいて、常にクラスメイトの様子を監視している。
いったい誰がガードロイドなのか?なんでも完璧にできる彼女か?目立たないようにしている最後列の男の子か?もしも仲良しの友だちがガードロイドだったら、どうしよう⁉︎
誰だろう、誰だろうと考えながら読んでいく。誰もが怪しくみえてくる。いろんな可能性があるから。
もし自分がそんな学校に通っていたら、気が休まらないだろう。常に、何かで秀でてしまわないように気をつけたり、みんなに好かれるように気を遣ったりしなきゃならない。
でも…いじめっ子に目をつけられないように、ターゲットにならないように気が張っている今の学校と同じじゃないか…ふとそんな考えが浮かぶ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新聞で紹介されてて気になりました。
監視社会で、学校内というかクラス内に
監視用のアンドロイドが紛れている、という。
けれど高度な技術によって
感情などもあるため見分けがつかないとか。
こんな社会になったら嫌だなぁと。
いじめなどないのは良いのだけど
すべて監視されてるかも、というのは怖いですね。
誰が人間で誰がロボットなのか。
クラス内にいる人の立場ならどっちであっても疑わず、楽しく過ごせればいいな、と思いましたが。
その後ろの運営側の話とかゆくゆく日常にアンドロイドが増えていく感じはあまり歓迎したくないです。
少しありえそうで怖い話だな、と思いました。 -
実験台となった学校のクラスの中に、1人だけアンドロイドがいるという作品です。その学校はきそくがきびしく、カメラなどがついて自由にしにくいところも、おもしろかったです。
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例え、SFだとしても、近未来にあり得そうな話で、ちょっと怖いなぁと。でも、友情ってなに?って考える時には、好材料のお話。
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ローティーン向けのSF。
少し未来。 街には、防犯カメラや集音マイクで監視されほぼ検挙率100%を誇り、
アンドロイドが当たり前のように浸透し、防犯、接客や介護を行っている。
教育の場にも、子供たちを防犯カメラや集音マイクで「保護」し、
アンドロイドを「見守り係」として導入すべく、「心身ともに人間と変わらず、児童そっくりのアンドロイド」を試験的に取り入れた理想教育モデル校を開校した。
クラス16名の中に「ソレ」は、本当に存在し、私たちを「監視」してるのか?
「アンドロイド」捜しが始まる。
結局、物語の中ではクラスメイトの誰が「アンドロイド」かははっきりしません。
相手を信じることが大切だよというところでしょうか
大人たちは、監視管理社会まっしぐらですけど。
子供たちが、この本を機会に「アシモフ」に触れてくれると嬉しい オジサンなのでした。 -
ファミレスやコンビニでは人間の店員ではなくサービスロイド、一人暮らしの老人の介護には介護ロイド…というように、アンドロイドが日常に存在する社会。
新設された理想教育モデル校。クラスの中に見守り役である最新型のアンドロイド、ガードロイドがいるらしい。人間と見分けがつかないレベルで、探してはいけないと言われているが…。 -
うーん。中途半端。
子どもたちに人気の5分シリーズをノベーっと引き伸ばした感じ。その割に、壮大な物語を繰り広げた上での、「真相は読者の中にあるのです」的エンディングがチグハグな気が。オチと主観の所在で考えれば、答えは出しているとしたものなのか?「マジックアウト」とか「一〇五度」とか面白かったのになー。
完全な夢物語ではない気にさせる近未来感と危機感が、テーマとしてはありだと思います。とてもキャッチー。
平たく簡素な読み心地も、本が好きとは言い難い子どもたちにはちょうどいいのかもしれません。
でも、この本を「面白いー!」って感じた子の中に「アイザック・アシモフって誰なんだろう?」「ロボット工学の三原則って何!?」って考えて調べる行為に発展する子がいる確率は低い気がする。むしろ、物足りないなって感じた子の中に発展読書ができる可能性を感じます。
つい考え込んでしまいました。
読解力の低い子や、読むという行為自体が苦痛な子は、上橋菜穂子とか小野不由美作品のような奥行きのある世界観の物語を楽しめません。
ならば、5分シリーズ(星新一のような完成されたショートショートとは区別して捉えたい内容の薄いもの)や、「読みやすい」ことのみに特化したものでも、とにかく「読む」行為を積み重ねることが大事なのか。
全く読まないよりはいいのかもしれません。中には段階的に上質な読書へ移行していける子もいるかも。
でも、行間を読む、とか、自分の中にない魅力的な表現を吸収する、とか、文章から匂いや色を感じる、とかいう力がつくことはあまり期待できない気がします。
感性の成長を促す本っていうのは、やっぱりある程度限定されるんじゃないかなあ。 -
疑心暗鬼。モヤモヤ。
近未来、こういうのに立ち向かっていかなければならないのかな、今の子どもたちは。