神さまの貨物

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591166635

作品紹介・あらすじ

大きな暗い森に貧しい木こりの夫婦が住んでいた。きょうの食べ物にも困るような暮らしだったが、おかみさんは「子どもを授けてください」と祈り続ける。そんなある日、森を走りぬける貨物列車の小窓があき、雪のうえに赤ちゃんが投げられた――。明日の見えない世界で、託された命を守ろうとする大人たち。こんなとき、どうする? この子を守るには、どうする? それぞれが下す人生の決断は読む者の心を激しく揺さぶらずにおかない。モリエール賞作家が書いたこの物語は、人間への信頼を呼び覚ます「小さな本」として、フランスから世界へ広まり、温かな灯をともし続けている。

感想・レビュー・書評

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  • ーーーむかしむかし、大きな森に、貧しい木こりの夫婦が住んでいた。ーーー

    おとぎ話のはじまりはじまり…
    のようですが、物語の時代背景は1942年、第二次世界大戦中のフランス。

    強制収容所へ向かう貨物列車が、森の中を走り抜ける。
    その中には、ユダヤ人。
    その貨物列車を毎日眺める、木こりのおかみさん。

    ある日、おかみさんの前に“神様からの授かりもの”が列車から投げ出された。
    それは豪華なショールに包まれた赤ちゃんだった。

    神様からの小さな授かりものを、無償の愛で、大切に大切に守るおかみさんと、周りの人々。
    子供というものは、いつの時代、どの土地に生まれても、宝物です。
    絶望の中にも愛があれば、希望の光が見えるのかもしれない。
    そんな愛の物語は、苦しく辛く、涙する。


    大切なことを、簡潔かつ優しい文章で、伝えてくれるこの作品。
    じんわりと、しかし強烈に心に染みていきます。

    • aoi-soraさん
      みんみんさん、こんばんは^⁠_⁠^
      そうなの。
      私も、ブク友さん達のレビューで知って、読んでみたんだ。
      児童書なのかな?短いからすぐ読...
      みんみんさん、こんばんは^⁠_⁠^
      そうなの。
      私も、ブク友さん達のレビューで知って、読んでみたんだ。
      児童書なのかな?短いからすぐ読めるよ。
      是非是非〜(⁠◠⁠‿⁠・⁠)⁠—⁠☆
      2022/10/11
    • にゃんちびさん
      aoiさん、こんばんは。
      こちらのレビューを読んで、とっても読みたくなって図書館で予約しました!楽しみです☺︎
      aoiさん、こんばんは。
      こちらのレビューを読んで、とっても読みたくなって図書館で予約しました!楽しみです☺︎
      2022/10/19
    • aoi-soraさん
      にゃんちびさん、こんばんは^⁠_⁠^

      予約したんですね!
      なんだか、とても嬉しいです(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)
      本屋さんでは目に止まらない本も...
      にゃんちびさん、こんばんは^⁠_⁠^

      予約したんですね!
      なんだか、とても嬉しいです(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)
      本屋さんでは目に止まらない本も、ここでなら出会う事ができる幸せ♡
      2022/10/19
  • aoi-soraさんのレビューを拝見して、図書館で借りました。

    私はどうしても戦争に関わるお話を避けてしまいます。
    これは物語かもしれないけれど、これに至る事実は現実にあったこと。
    戦争がなくならない世界の中で、きちんと知ることの大切さを感じました。

    苦しい読後感でした。
    私なんか無知蒙昧で語る資格は無いけれど。
    自分の大切な人が苦しむのは見たく無いし、自分にとって関わりのない誰かが苦しむのもやっぱりイヤです。

    このお話に出会えて良かった。

    • aoi-soraさん
      にゃんちびさん、こんにちは。
      私の拙いレビューがきっかけとは、嬉しいです(⁠人⁠ ⁠•͈⁠ᴗ⁠•͈⁠)

      本当に苦しいですよね。

      私、戦争...
      にゃんちびさん、こんにちは。
      私の拙いレビューがきっかけとは、嬉しいです(⁠人⁠ ⁠•͈⁠ᴗ⁠•͈⁠)

      本当に苦しいですよね。

      私、戦争の事とか分からない事だらけなのに、知ることが怖くて、あまり知ろうとしてこなかったんです。
      …恥ずかしながら(^.^;

      でも最近は読書を通して、「知ること」の大切さが分かり、戦争関係の本も読みたいと思っているんです。
      簡単なやつね(笑)

      にゃんちびさんの本棚には気になる本が沢山あるので、これからも参考にさせて頂きますね(⁠人⁠*⁠´⁠∀⁠`⁠)⁠。⁠*゚⁠+
      2022/11/09
    • にゃんちびさん
      aoi-soraさん

      こんばんは*

      心がぐーっとなるのがわかっているので、読まないようにしていましたが、やっぱりそれではいつまで経っても...
      aoi-soraさん

      こんばんは*

      心がぐーっとなるのがわかっているので、読まないようにしていましたが、やっぱりそれではいつまで経ってもわからないままなんだなと思いました。
      本当に「知ること」が大事なんですね。

      私も少しずつ勉強していきたいと思いました。少しずつ。。

      本当に読んでよかったです!ありがとうございました⭐︎
      また楽しみにしていますね( ´ ▽ ` )
      2022/11/09
  • それはほんとうにあったこと

    やっぱり戦争なんてしちゃダメだよって思うよね
    特にあのホロコーストは人類の歴史の中でも最低最悪の部類のひとつで、同じ人間になんであんなことが出来たんだろうって思うけど、答えはとてもシンプルで「同じ人間だとは思っていなかった」からなんだよね
    そう教えられそう信じていたから
    だからといって罪が軽減されるわけではないと思うけど「人でなし」が相手ならむしろ良いことをしていると信じていた人たちもたくさんいたわけで
    だからこそ貧しい木こりのおかみさんの叫ぶ「人でなしも人よ」という言葉に衝撃を受ける
    持っていない方が善に近づけるのかな
    あれ?なんか宗教じみてきたぞ
    これはこれでなんか危うい

    最後に作者は「ただ一つ存在に値するもの、それは愛だ」と言う、ほんとうそうだなって思う一方で、「愛」という言葉が作者がこの物語に込めたものと同じであればいいけど、そうはいかないよなとも思う
    「愛」によって人が間違った道に進むこともあるんだよなって
    「愛」は時として独裁者の都合によってかたちが変わったりして
    「愛」によって罪もない人々が姿を消すこともあるんよ
    どうしたものか

    • aoi-soraさん
      ひまさん、こんばんは^⁠_⁠^

      深いレビューですね。
      グッときます。

      この本を読んで、「人でなし」っていう言葉が、すごく意味を持って、頭...
      ひまさん、こんばんは^⁠_⁠^

      深いレビューですね。
      グッときます。

      この本を読んで、「人でなし」っていう言葉が、すごく意味を持って、頭を殴ってきた感じがしたの。

      ひまさんの、「愛」によって…「愛」は時として…のくだりが、良いです。
      2022/10/24
    • ひまわりめろんさん
      aoiさん
      こんばんは!

      実はaoiさんのレビュー読んで読もうと思ったので、こちらこそ素敵なレビューでしたと言いたいですいや今言いました
      ...
      aoiさん
      こんばんは!

      実はaoiさんのレビュー読んで読もうと思ったので、こちらこそ素敵なレビューでしたと言いたいですいや今言いました

      なんとなくですが、作者が最後に残したのは「答え」じゃなく「問題」の方だったんじゃないかな?って感じたんですよね
      それと「貨物」に込められた意味ってなんなのかな?って考えてたらこんなレビューになりましたw
      2022/10/24
  • おとぎ話のような書き出して始まるのは、みんなに伝えたいという気持ちなんだろうか。

    第二次世界大戦中、絶滅収容所へ移送されていくユダヤ人家族。
    双子の赤ちゃんのせめて一人は、助けたいという強い思いと願い。

    貧しい木こりのおかみさんは、食べることに事欠く日々のなかでも「子どもを授けてください」と祈る。
    森を抜ける列車の窓から神さまの贈り物が、投げられた。

    明日の見えない世界で、託された命を守ろうとする大人たち。
    子どもにそそがれる愛。
    愛があればこそ、人は生きてゆける。
    どんなに貧しくても辛くても愛する子がいれば…という思い。

    「人でなしも、人よ。人でなしにも、心臓がある。
    心がある。おまえさんやわたしと同じように」
    この木こりのおかみさんの言葉が、心に残った。

    誰もが戦争がない平和を願う。
    そして、貧しくても豊かな心をもち、愛する気持ちをもつことが明日へとつながり生きることになるのだろう。

  • 愛、の一冊。

    この物語の根底にあるのは迫害、戦争という悲惨さ。

    その中で流れる小さな命、愛に救われた。

    時は1943年。用済みのしるしをつけられた"荷物"を乗せた列車が絶望という名の終着駅へ走る。

    その列車から投げ出された、一縷の希望を託した赤いショールの包み。

    希望が奪われ絶望の中でも愛だけは容易には喪われない、喪わせないその強さ。
    そしてその愛を知った姿、繋げようとする姿と言葉に逐一涙が込み上げた。

    神さまの人への最初の贈り物とは、愛なのかも。

    それを喪わず温めどう繋げていくか…その大切さを感じた、力強さ溢れる物語。

  • aoiさんのレビューで知った作品
    ぜひとも読んでみたかった(´ー`)

    ユダヤ人虐殺…なんでこんな事ができるんだろう…
    なぜ戦争はなくならないのだろう…

    「ライフ・イズ・ビューティフル」
    思い出しちゃった(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

    • aoi-soraさん
      みんみんさん、おはようございます^⁠_⁠^

      早速読んだのね!
      きれいな文章なのに、ずしんとくる作品ですよね。
      私、「ライフ・イズ・...
      みんみんさん、おはようございます^⁠_⁠^

      早速読んだのね!
      きれいな文章なのに、ずしんとくる作品ですよね。
      私、「ライフ・イズ・ビューティフル」
      多分観たことないのよね(^.^;
      有名だから観た気になってたけど。
      うん。近いうちに_φ(・_・
      2022/11/02
    • みんみんさん
      aoiさんおはよう♪
      物語風の読み聞かせで、悲しみを全面に出してないのが良かったよ〜(T-T)
      ライフイズビューティフルは賛否両論ある映画だ...
      aoiさんおはよう♪
      物語風の読み聞かせで、悲しみを全面に出してないのが良かったよ〜(T-T)
      ライフイズビューティフルは賛否両論ある映画だけど一度観てみてね♪
      2022/11/02
  • 童話ような書き方だが、悲劇の歴史をベースに書かれている内容は重く深い。

    祈ることは信じる力、それは強さになるのだと、木こりのおかみさんが示している。
    赤ん坊の父親も同じ。娘が生きていることを祈り信じたから、収容所を生き延びる強さになった。

    赤ん坊の存在が周りの大人たちに働きかける力の強さを思う。
    貧しい木こりの夫婦は、赤ん坊を託されると「世の中の重さも暗さも空腹も、貧しさも、自分たちの悲しさも、もう気にならなくなった」「世界が軽やかで確かなものに感じられるようになった」という。
    赤ん坊は神さまからのかけがえのない贈りもの。愛そのものなのだ。

    父親が娘と再会したシーンは、言葉にできない。ただただ号泣。掛け値なしの愛なのだろう。

    エピローグに「愛があればこそ、人間は生きていける」とある。
    あの時代、悲惨な状況を支えたのは愛なのだろう。今の時代、愛の重みは同じだろうかと考えてしまう。

  • 森の貧しい木こり夫婦の話と強制収容所へ移送されるユダヤ人の話が絡みあい命を繋ぐ物語。列車から雪の中へ投げられた赤ん坊を、神様の贈り物として慈しみ命懸けで守る木こり夫婦の姿が胸を打つ。

  • 胸を締め付けられるような物語だった。
    物語の時代、背景などは恐らくほぼ史実に沿っていて、生々しい場面描写もあった。(使われている言葉自体は優しいが)
    児童書で、童話チックでテンポよく、理解しやすい言葉で書かれており、長い話でもないため、すらすら読めてしまう。
    しかしテーマは重く、考えさせられる余白も多い。

    愛とはとても大事なもの。
    そして時代や環境、その他諸々によってはその大切な愛、愛するもののために、とても多くのものを失うことがある。
    もしくはどう頑張っても守りきれないこともある。
    ただ最良と思う選択をし続けること、愛を持った人を暖かく迎えること、どんなに苦しい時でもそれをできる人がいるのは歴史上事実で、自分もそういった心でいたいと思った。
    久しぶりに戦争が絡む話を読んだが、もう少し知識として身につけたいと思った(読むとどうしても胸が痛むので少し間隔はあけつつ)。

  • 本書のブクログレビューをいくつか拝見した時点で、「強制収容所に送られるユダヤ人が乗せられた汽車から赤ん坊が投げられて…」というシチュエーションを既になんだか知っていたような気がしていた。

    図書館で借りてみたら2020年初版だったので、私の勘違いなのか?、それとも同じ話を昔、違う形で出版されていたことでもあったのか?、は不明。

    確かに終戦時にはソ連はユダヤ人にとっては解放軍側だったが、メルケルさんについての本を読むと、東ドイツにいた彼女はソ連によって情報をねじ曲げられていたから30歳になる頃までホロコーストの真実を知らなかったし、池上彰さんの著書ではゴルバチョフ時代ですら(本書の木こり達のように)危険なアルコールを密造してたりとかで、ロシアも大概だよな…。

    それはさておき、ホロコーストの書物には、辛すぎて怖すぎて、やはり手が伸びない。
    本書は、間接的というか、やや中和されているから読めたが、やはり翻訳物のせいか表現が若干わかりにくく読みづらい。

    最後の覚え書きも、著者がユダヤ人で、移送者の子孫であるということ以外の部分が、いまいちよくわからない。

    本書は「その他の小説」ではなく、「その他」のカテゴリーに入れた。

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