エカシの森と子馬のポンコ(小学生 高学年課題図書2021) (teens' best selection)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 137
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591168387

作品紹介・あらすじ

子っこ馬のポンコが行く。
ここで、ポンコはほんとうに自由だ。すきなところへ、すきなように歩いていく。
でもある日、川の水の声も、風の声もいつもと違う。それがおとなになるっていうこと?
森の長老の木・エカシ、ここにいるのに体はどこにでもあるというカメムシたちが、ポンコにおとなになることを教えてくれる。
──加藤多一が北海道の森で暮らす子馬のポンコの成長を、やさしくあたたかなまなざしで描く。

感想・レビュー・書評

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  • 北海道の農場で生まれた子っこ馬のポンコは農場を飛び出し、森の中でひとり自由に生きていくことを選んだ。
    ハルニレの長老エカシ、ガガイモの種たち、カメムシと対話しながら大人になり始めたことを知る。
    ポンコが可愛らしく、エカシが魅力的でカメムシの生態がおもしろく表現されている。森や水の大切さにも触れている。作者の優しい眼差しが感じられる。
    ポンコが大人になり雄馬に惹かれていく衝動は生きもとして当たり前の姿なのだけど、思春期を迎えようとする小学生高学年の子どもたちは、どう受け止めるのだろう。
    2021年小学生高学年課題図書。

  • 全ページ挿画入り!
    とても素敵な絵で、物語を柔らかく包んでいる。
    子馬のポンコの初々しさが愛おしいこと!
    カメムシたちとも話をしたくなる。
    限られた場所の限られたキャラクターたちの話だけれど、時間も空間ももっと大きなものと繋がっているのを感じられた。

  • 牧場を逃げ出した空を蹴り上げる元気な道産子の女の子ポンコ。
    口の悪いフワフワのガガイモの種、長老のハルニレの木エカシ、哲学者のようなカメムシたちが話し相手だ。

    アイヌと和人の話、子馬の成長の話、ポンコを心配する牧場のヒト。

    耳に心地よい語りと全ページに描きこまれた大野さんの挿し絵が、少しふんわりとした物語の世界に誘ってくれる。
    ポンコちゃんの愛するものが増えていくといいな。

  • 第67回 課題図書 2021
    中学年

    子馬=子っこ馬
    名前はポンコ、女の子
    北海道の乳牛牧場で生れ、牧場から逃げ出してひとり森で暮らしている

    森で出会う動植物とのやりとり

    まず、ふわふわの綿毛のようなガガイモのタネ
    彼らはエゾシカの群れとともに行ってしまう

    次は、エカシ、ハルニレの大木
    400年以上もこの森で生きている長老
    エカシには身体をかいてもらっている
    そんなエカシにはいつも「考えてみろや」と言われている

    それぞれの会話に出てくる「アイヌ」
    ポンコの名前も、アイヌ語で小さいを意味するポンと和人がつけた「こ」がくっついたものとエカシは教えてくれる
    アイヌのうけたひどい仕打ちについても

    P45「まてまて・・・すぐに、分かろうとするのはよくない。早くわかると早くわすれてしまうものだ」

    次に会ったのはカメムシ
    カメムシにもたくさんのことを教わる
    もちろんアイヌにまつわる話も
    そしてエカシとアイヌの話も

    ポンコが大人の雌馬になっていく成長の課程を、精神的な部分と肉体的な部分の両方を描いたもの
    なので、ちょっと生々しいような部分も~

  • ★2021年度 小学校・高学年課題図書

    北海道の乳牛牧場を逃げ出し、森の中でひとりで生きるドサンコ馬の女の子、ポンコ。
    ふわふわしたものやくさい虫と出会い、何百年も前からこの森に生きているハルニレの木のエカシと話し、ポンコを心配する牧場のおとうさん、森に一人で住むおじじにも見守られ、森で一冬を越したポンコは…。


    優しい文章で、ふわふわやカメムシ、エカシとの交流が描かれていきます。
    ふわふわやカメムシやエカシは、時々するどい視点でポンコにいろいろなことを教えてくれます。
    考えることが苦手なポンコでしたが、自分は自分ということ、体の赴くままに生きるということ、そして最後には、自分で決めるということを学んでいきます。
    柔らかなタッチで、生きるためのいろいろなことを教えてくれる作品。

    全ページにイラストがあってかわいい。
    行間が広く、読みやすく感じました。
    途中まではほっこりとした内容が多く、4年生くらいでもいいかなと思ったのですが、後半は和人の略奪によるアイヌの歴史などにも触れ、高学年向きの内容かなと思いました。特に最後の方は、子馬から牝馬へと成長していくポンコの体やメンタルの変化が優しい言葉で描かれていて、二次性徴を迎える高学年の子供にも重なるところがあるのかなと思いました。

    びっくりしたのは、カメムシが1匹1匹の個体なのではなく、全体の集合体でひとつだということ。だから、遠くに離れているカメムシの見聞きしたことでも、他のカメムシたちは共有することができます。実際に、虫にはそういった電波のようなものがあるのかな?それともアイヌの思想に基づいていたりするのでしょうか。面白かったです。

    アイヌの話は、和人の末裔である私達には厳しい。
    「いま北海道でくらしている人や南のほうからきた人には責任ないよね。百五十年も昔のことだもの」
    「そうはいかんよ。自分の先祖がやったことだもの」
    「いったんちゃんとあやまらんといかん。心の底からあやまったら、アイヌの人たちも少しはゆるしてくれるんでないかい。いまもアイヌの人たちはつらい思いをしているのだ・・・・・・やることはいっぱいあるだろう」
    耳に痛い話です。

    加藤多一さんのあとがきもよかったです。
    『今のうちから、自分がほんとうにやりたいことは何なのか――これを見つけてほしい。(略)自分のやりたいこと、つまり夢のかけらでもいいから、(せめて夢の種子でもいいから)体の中の自分の土地の中に、そっと入れてほしい。その種子は、学校をはなれたあとでも育っていく。
    でも、そのためには、一生を通じての努力が必要です。』
    ほんとそれ。(最近息子に同じようなことを言いましたけれど、びっくりするほど響いていませんでした…。)
    最後にポンコを褒めている加藤さんに、ポンコが愛されて生まれてきたのだなぁと感じました。

  • 令和3年度読書感想文課題図書(高学年)
    道産子のメス子馬が脱走して、自然の中で成長していく様を、主に感情面で表現したお話。
    読書感想画の方が向いているように思う。
    まず、アイヌのことを知って、北海道の自然を知って、命の尊さ、自由の意義を考えないと、この本から上手く感想文書けないと感じた。でも、こういう本でこそ、大人の予想を超えた感想が読めるのかも。子馬が牝馬として成長するところも書かれていて、最後どう終わらせるのかな?と思っていたら、牡馬と会う前で終わっててちょっとホッとした。
    以下はアイヌ理解で私が気に入っている児童書
    北加伊道 松浦武四郎のエゾ地探検 関屋 敏隆 ポプラ社
    知里幸恵物語 アイヌの「物語」を命がけで伝えた人 金治直美 PHP研究所
    アイヌのむかしばなし ひまなこなべ 萱野茂 あすなろ書房
    イソイタクシリーズ アイヌ文化振興・研究推進機構(多分非売品)

  • 2021年課題図書高学年。北海道の牧場から逃げ出したドサンコ馬のポンコ。カメムシはあらゆるカメムシと一心同体で言葉もわかる描写がおもしろい。アイヌのことをもっと詳しく登場させるかと思うとそうでもなく、ポンコが大人になる話なのかなぁ。11,12歳の子が、この本読んで何かわかるのかなぁ、難しくない?? 牧場の人も別にそんな悪いは人でもないしさ、エカシやカメムシ以外にも、動物いそうなもんじゃないかなぁ。 感想文書くの大変そう。

  • 正直、カメムシの生態が気になりはじめた。

  • 可愛い挿絵とほんわかした文体で中学年くらいからでも読めそうだなと思っていました。前半は、北海道の自然とそこでのびのびと過ごすポンコたちの姿が描かれています。

    しかし、後半は、性への目覚め的な内容で、なかなかギャップがあるなと感じます。自分の本当にやりたいことを自分決めるというのが、読者に伝えたかったことだとありましたが、男馬の匂いに誘われて牧場へ戻っていくのが果たしてその主題に合っているのか…。
    本能剥き出しで生々しく感じるのは、自分が大人だからなのでしょうか。

  • 自分で考えて、自分の思うがままに生きるってことかなぁ。
    ポンコが大人になっていくあたりの表現が、ちょっと微妙かも。

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