少し嫌われるくらいがちょうどいい (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591174845

作品紹介・あらすじ

シリーズ累計22万部突破!

今すぐ「いい人」をやめなさい。
人間関係の煩わしさほど、
人生を豊かにするものはない。

人間関係はむずかしい。
それだけに稀にうまくいった時の嬉しさは貴重だし、
うまくいかなくて当然の苦しみが、私たちの心を柔らかなものにする。

(前書きより)

私は本当に人間が好きなのである。
およそ、私たちの悩みの大半が人と人との間のうまくいかない関係にあるのも、
それほどに人間というものは複雑で一筋縄ではいかないものだからなのである。

一口に言ってしまえば、人間関係のむずかしさは、
どのような知恵も、どのような教育でも、解決できるものではない。
これだけははっきりしている。
身の上相談では、こうすればうまくいく、というような答えをするが、
それが解決の手がかりになることは皆無ではないにしてもごく少ない。
人間関係の基本は永遠の失敗ということに決まっている。

しかしそれだけにごく稀にうまくいった時の嬉しさは貴重だし、
うまくいかなくて当然の苦しみが、私たちの心を柔らかなものにする。
苦しみでさえも、死ぬ時に考えてみればないよりはあった方がましかも知れない。
それが生きる手応えというものなのだから。
そんなふうに私は考えようとしている。

****

40年以上読み継がれているロングセラーを全面改稿した
「人生百年時代」を歩むための21の道しるべ。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、人間関係についての書である。
    帯:今すぐ「いい人」をやめなさい。人間関係の煩わしさほど、人生を豊かにするものはない

    気になった言葉は次の通りです。

    ・昔から、私には、奇妙な確信がある。それは、私がこうだと思い込んだことは、実にまちがっていることが多い、ということである。
    ・「人々の中の私」という位置づけは、他人によって私が生かされており、さぞかし私の存在が他人に迷惑を与えただろうという二つの視点によって支えらえている。
    ・人間関係のむずかしさは、どのような知恵も、どのような教育でも、解決できるものではない。これだけははっきりしている。
    ・或る人間にとって、容易に解決されない悩みは人間関係である。
    ・私は人と付き合うことに、極端にものぐさだった。
    ・仕事とは、人間と人間との関係において、計画され、果たされるのである。組織的な職場においては、地位が上がるほど、人間関係は複雑に、重いものになっていく。
    ・他人が自分を理解しないことには、まず、馴れることだと私は考えている。それは、悲しいことだが致し方ない。
    ・人間関係は、理解より、むしろ誤解の上に安定する。
    ・自分にもわかりにくい自分の本当の姿を、どうして他人がわかることができよう。
    ・人間には限度があるのである。相手を理解していない。という自覚さえ持てば、多分その思いは、理解しているという安心よりまさるのである。
    ・人間嫌いには二種類ある。一つは要するに自己中心的で、他人に興味がない場合である。もう一種類の人間嫌いは、自分と相手の意思の疎通が完全に行われないことに関する不安が、その根底になっている。
    ・とりつくろっても他人をごまかすことはできない。
    ・人間は一人で生まれてきて、一人で死ぬ。
    ・よく生きよく暮らし、みごとに死ぬためには、限りなく自分らしくあらねばならない。それには他人の生き方を、同時に大切に認めなければならない。その苦しい孤独は戦いの一生が、生涯、というものなのである。
    ・私の見る限り、金もうけは、いかなる手段と方法で達成しようとも、それなりにすさまじい努力がいるように見える。何もしないで金が入ることは、非常に稀である。
    ・金が少しあった方がいいのは、人間が金から解放されるためなのであって、金に仕えるためではない。
    ・勝負というものはおもしろいもので、負けがこんでも、勝ち続けていてもやめられない。
    ・人と人とのつき合いにおいて最も難しいのは、分を守るということである。
    ・組織に対する愛は、自分の小さなポジションの限界をはっきりと知り、まずそれを完全に果たす、ということで初めのうちは充分なのである。この冷酷さを守れる人だけが、将来そのような冷たさを捨てて、大局を掴まえてその組織をよくすることに力を貸せるのである。まず足下を固めよ、ということである。
    ・外から強制されるのは賛成できないが、仕事というのは、本来あらゆる情熱を注ぎ込まねば成り立ちえないものなのである。
    ・自分の人生を走らせるものは、国家権力でもなく、自分を雇っている会社でもない。そんなことを許してはいけないエネルギー源はたった一つ自分の情熱なのである。
    ・強い人というものは、多分怖さを感じない人のことを指すのではない。怖さに耐える人のことを言うのである。
    ・ナポレオンもいったそうでありますぞ。「二人の名将より、一人の凡将のほうが強い」と。
    ・無理している人間は、美しくみえないからである。
    ・自分の生き方はしたいけれど、頑張って生きたくない時、どうしたらいいだろう。その第一は、人によく思われようと思うことを、あっさりやめてしまうことである。
    ・よく思われて褒めらなくても、私は私なのである。褒められたからと言って、私の実質に変化があるわけでなく、けなされたからといって、私の本質まで急に悪くなるわけではない。
    ・人生の大半を過ごす、「仕事をする人間」の時代が、納得いくものかどうかによって、その人の一生の成功か不成功かは決まってくるといえる。
    ・どんな学者も、芸術家も、実業家も一生にできる仕事の量は限られている。小さく守って、そこを充実させることの方が私は好きである。
    ・職業は好きでなければならない。これが唯一、最大、第一にして最後の条件である。
    ・人生の成功のヒケツは、頭がいいことでもない、学歴でもない、器量でもない。むしろウン、ドン、コン(運・鈍・根)なのである。
    ・考えてみると、世の中の重大なことはすべて一人でしなければならないのである。
    ・小さなことを疎かにしない
    ・多少怠け者だったり、無責任だったりする面を持つ人の方が、任務遂行の点では欠ける面もあるが、のんきにやって、長続きする。
    ・何事もそうだが、人間は捨て身になった時にしか道は開けない。保身の術しか考えていない間には、おもしろい生活は与えらえない。精神を解放して真の自由を手に入れるためには、他人にかげ口をたたかれ、誤解されることも覚悟の上でやらねばならない。
    ・自分を生かすために、血を流して自分を解放できる人はなかなかいない。しかし、それをしなければ、私はこの世に生きて存在しなかったことに等しいのだ、と私はいつも自分に言い聞かせている。
    ・「嘘でもいいから、お世辞を言われたらうれしい」というのは、正確ではない。人間は、根も葉もある誉め言葉なら言われたらうれしいのである。
    ・いかに厚生設備が行き届いている会社であろうと「あなたはこの会社に別にいてもらわなくてもいいですよ」という顔をされたら、誰だってあまり気分よくなかろう。逆につぶれかかっているような会社でも「君が頼りだ。君にいてもらいたい」と言われれば、奮起する人も多いのではないかと思う。
    ・知ったかぶりよりも、知らない方がいい。
    ・好奇心のない人は、現実を見る力に欠ける。私はやはり人間にとって好奇心はかなりな重さで必要なものだと思わないわけにはいかない。
    ・人間のただなかにあって、多かれ少なかれ他の人間に影響され育てられながら、われわれが行き着くところは、「真の人間」を確立することである。つまり損を承知で、自分を他に与えることのできる人になることでもある。
    ・人間関係は永遠の苦しみであり、最初にして最後の喜びである。どんなにうまく関係を作ろうとしても、私たちは必ず間違いを犯す。
    ・もし、人間関係に必要な配慮があるとすれば、それは相手に対する謙虚さと、徐々に物事をかえていこうとする気の長さかも知れない。それと私が好きなのは優しさである。

    目次は以下です。

    まえがき

    01 人間を理解する道
    02 勝ち気や見栄を捨てれば強くなる
    03 自分らしい生き方をする
    04 変えられる運命、変えられない運命
    05 人生の脇道に迷い込む前に
    06 他者を想像する力
    07 冷静と情熱の間
    08 偽物の強者と偽物の弱者
    09 秀才も鈍才も共にいてこそ何事かをなし得る
    10 旅は人生に似ている
    11 無理をしている人間は美しくない
    12 道楽のすすめ
    13 成功する人・しない人
    14 人生は「完全」に到達しない戦い
    15 嘘と社交術
    16 精神の自由を獲得するために
    17 感謝と評価ができない不幸
    18 知ったかぶりよりも、知らない方がいい
    19 人間であり続けるための原点
    20 「知りたい」と思う気持ちは人間の生命の源
    21 「真の人間」は、損を承知で他人に与えることができる

  • 曽野綾子さんのエッセイ

    核心をついてくる。自分が気づいていたのに逃げていたものや、分かっていてもそうは言えない事、ズバリ言う所が痛快である。
    できないことの傷の舐め合いに黒い下心があるように、そんなところかな生まれるマウントが人生の鬱積になる。

    最後の、人間になし得るのは魂を生きること、にある
    「長いようでいて、八、九十年の一生は短い…」と言う少し長い一節はたくさんの気づきをくれた。

  • 曽野綾子さんの本によく出てくる、私の好きな言葉。
    「人間は眠った時以外は、自分を保つべき」

  • 沢山の人の生き方から学べるのが、本の良いところの一つ。
    自分の無知を知り、好奇心を持って、感謝を口にして生きていこう。
    そうなれないとしても、この人生の最後まで足掻いて全力で生きていきたい。

  • 「少し」がどれくらいなのか、「ちょうどいい」とは…?と考えると答えのないところにはまりそうですが、タイトルに惹かれて読みました。読み終えても「少し嫌われる」という状態がどんなものかはわからなかったのですが、生きていくうえでの押さえておくポイントのようなことがたくさん書かれていました。

  •  一読して、なんとなく納得した箇所は:①人間は捨て身になった時にしか道は開けない(WBCもきっとそうだったんでしょう)②サービス精神がない人は成功しない ③感謝する気持ちのない人は暗い。 曽野綾子「少し嫌われるくらいがちょうどいい」、2022.9発行。

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著者プロフィール

1931年、東京に生まれる。作家。53年、三浦朱門氏と結婚。54年、聖心女子大学英文科卒。同年に「遠来の客たち」で文壇デビュー。主な著作に『誰のために愛するか』『無名碑』『神の汚れた手』『時の止まった赤ん坊』『砂漠、この神の土地』『夜明けの新聞の匂い』『天上の青』『夢に殉ず』『狂王ヘロデ』『哀歌』など多数。79年、ローマ教皇庁よりヴァチカン有功十字勲章を受章。93年、日本芸術院・恩賜賞受賞。95年12月から2005年6月まで日本財団会長。

「2023年 『新装・改訂 一人暮らし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

曽野綾子の作品

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