現代アートはすごい: デュシャンから最果タヒまで (ポプラ新書 229)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 200
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591175088

作品紹介・あらすじ

便器を展示して、それがアートになるのか?
そもそもアートとは何か?
わからないからこそ、「現代アート」を「難解」と感じる人は多いのだと思います。
しかし実は、現代アートは小学生でも、その魅力がわかるのです。
すぐれたアートとは、決して難解ではなく、誰でもわかります。
本書では、現代アートの巨匠・マルセル・デュシャンから、詩人・最果タヒまで、
さまざまなアーチストをとおして、現代アートの魅力、楽しみ方を紹介します。



【著者情報】
布施英利(ふせ・ひでと)
芸術学者、批評家。1960年群馬県生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業、同大学院美術研究科博士課程(美術解剖学専攻)修了。学術博士。大学院在学中に最初の著書『脳の中の美術館』を出版。以後、これまでの著書は60冊ほど。東京大学医学部助手(養老孟司研究室)を経て、現在は東京藝術大学美術学部教授。著書に『脳の中の美術館』をはじめ、『死体を探せ!』『子どもに伝える美術解剖学』『構図がわかれば絵画がわかる』『人体 5億年の記憶』『洞窟壁画を旅して』など多数。オンラインでは電脳アカデミア「美の教室」と「自然の教室」の講座に取り組んでいる。

感想・レビュー・書評

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  • デュシャンからはじまるという現代アート。その代表的な作家をあげて、わかりやすく説明されている。知っている作家もあれば、知らない作家あって面白かった。しかし、素人としてはどんな作品かを知らないものが多く、口絵も少ないため説明が頭に入ってこなかったりした。もちろんネット検索すれば出てくるが、最後の方はバテ気味で読み終えた。
    以下の点は、まだ消化できずにいる。
    ・デュシャン以降、絵画は死んだ。しかし、その後に来たものはやはり絵画だった(ダミアン・ハースト『桜』、ゲルハルト・リヒターのくだり)。
    ・サブタイトルの「デュシャンから最果タヒまで」。そして、最果タヒからデュシャンに繋がる、と本書は締められている。詩人である最果タヒ、そしてデュシャン。現代アートは言葉とも深い関わりがあるという説明が難解だった。


    個人的に、本書の一番の収穫は抽象絵画のくだり。抽象絵画を創始した作家としてワシリー・カンディンスキー、ピート・モンドリアンがあげられている。
    ・熱い抽象と冷たい抽象
    カンディンスキーは形の「意味」をなくし、描く対象を無化することで抽象絵画に至った(熱い抽象)。モンドリアンは理詰めで自然の形態(樹木の幹や枝)を単純化することで抽象絵画に至った(冷たい抽象)。一括りに抽象絵画といっても、そこに至る考えは異なり、それぞれの思想がある。

    ・絵画と音楽の関係
    音楽は、絵画や美術に比べると抽象絵画が登場するはるか以前から既に抽象的なものだった。言葉が伴うものや自然の音(風の音・鳥の鳴き声など)を取り込んだものなど具象的なものは別として、音楽はメロディ、リズム、ハーモニーが作る抽象的な世界である。絵画において抽象という方法を取り込むと、それは音楽に似たものになる。

    これまで、自分は抽象絵画の楽しみ方がわからずにいた。具体的な意味や意図を探すのではなく、音楽を聴くような感覚で目の前の絵画を見て感じれば良いのかもしれない。この絵画と音楽との関係のくだりは、読んでいてとても腑に落ちた。


    その他、気になった内容を簡単に書いておく。
    ・デザインと芸術の違い
    デザインは3秒以内に何かが伝わらなければならない。それに対し、芸術は最初に見た時にはわからなくとも、繰り返し見ていく中でその世界にはまり込んでいく。

    ・アートとは何か。
    アートとは何かの定義について述べられている。その中で複数の条件があげられているが、「アートの文脈にあるか」という点が頭に残った。現代アートは作品単体を見るのでなく、それまでのものを前提として積み上げられていくもののようだ。見る側にも一定の素養を求められるらしい。今後はこの「アートの文脈」について意識していきたい。
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    盛りだくさんの1冊と思うが、正直なところ1冊で理解するには自分にとって壮大すぎた。本書で知った作家は、いずれ機会があれば深掘りしてみたい。さらに大きな世界が広がっていると思う。

  • デュシャンから始まり、最果タヒまで。
    現代アートを彩る作家群をおおまかに区分けして数人ずつまとめた比較的読みやすい本でした。

    個人的にエリアソン、リヒター、河原温、AKI INOMATA、最果タヒあたりが好きなのでまとめて読める本書に引かれて購入しました。
    入門編?新たな視点を切り開く編?少しどっちつかずかなという印象はありますが、手軽に読めるところは良かったなぁと思います。
    とくに最果タヒの話は面白かったです。(文章にも熱が入っていたように感じます)
    装丁や合間のページ作りも最果タヒ意識がすごいし、そもそも「デュシャンから最果タヒ」を結びつけている点でもかなりの推しっぷりがみられます。
    たしかに言葉は多くの現代アートにとってもかなり大切な要素ではあるのですが、少し強引かな、とも。

    小学生でもわかる現代アート…まずは難しく考えすぎなくても良いというところで「現代アートはすごい」なんてちょっと拙い印象のある題名になっているのかな、とは思うのですが、結局のところ現代アートをしっかり楽しもうと思ったら、各種文脈や作家の個性、作家自身の「言葉」をしっかりと知る必要があるという点ではちょっと物足りない一冊ではあります。

  • 前半は現代アートのいい解説だと思ってたけど、後半だだ下がり。
    感想が増えてる気がする。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/787561

  • 2023.04.24 楽しく読めました。あまり考えずに感じるままにこの本を消化するというスタンスで読みました。何かは掴めたと思います。

  • ダミアン・ハースト
     動物の死体とスポットペインティング二つの系譜
     「桜」抽象かつ具象 濃い絵の具で垂直性へのこだわり 絵画が死んだあとの絵画

    ゲルハルト・リヒター
     写真(=何かの複製)と
     デュシャン(=レディメイド=何かそのもの)=究極のリアリズム 

    河原温
     Today Series 午前零時からの、その「一日」のうちに完成させる

    杉本博司
     まず頂点にアタックしてダメならレベルを落としていった
     人が初めて世界を見た時の眼差し
     毎日、日常の中で眺め続けても飽きないだけの強さがあること

    デュシャン
     「言葉の二重性」 
     レーモン・ルーセルの小説に影響 音にすると同じ言葉だが別の意味

  • 702-F
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著者プロフィール

解剖学者・美術批評家

「2021年 『養老孟司入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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