本のない、絵本屋クッタラ: おいしいスープ、置いてます。 (ポプラ文庫 し 11-1)
- ポプラ社 (2023年2月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591176962
作品紹介・あらすじ
札幌にあるインクブルーの三角屋根が目印の、木造二階建て――そこが『本のない、絵本屋クッタラ』だ。看板には『おいしいスープ、置いてます。』と書いてあり、店主・広田奏と共同経営の八木が切り盛りするカフェでもある。メニューはスープセットとコーヒーのみだが、育児に悩んだり、仕事に忙殺されていたり、自分の今の立ち位置に迷った客たちが今日もふらりとやってくる。彼らの話に奏は静かに耳を傾けると、「御本が揃いましたらご連絡いたします」と告げる。そうして客はもう一度、店を訪れるのだ。奏のセレクトする絵本は時に意外で、時に温かく、時に一読しただけではわからない秘密をもっている……。そんな奏がこの店を開いた理由とは――? 季節のスープと登場する絵本に心が躍る、「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」の標野凪が贈る、ほっとひと息つける連作短編集。
■著者プロフィール
標野凪(しめの・なぎ)
静岡県浜松市出身。東京、福岡、札幌と移り住む。福岡で開業し、現在は都内(飯田橋)で小さなお店「茜夜」を切り盛りする現役カフェ店主でもある。
感想・レビュー・書評
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前から気になっていたこの作品…だって、本がないのに絵本屋?でもスープはあるの?しかも、クッタラって何??もう頭の中、沢山の??で…これは読んでみようと思って手にしました。
物語の舞台は、北海道札幌にある『本のない、絵本屋クッタラ』…店は広田奏と八木が共同経営しており、以前は2階部分に本があったのだが、現在は八木の住居スペースになっているので、お客さん自身で読みたい本を選ぶことはできない。ただ、奏が訪れたお客さんの話を聞いたうえで、その悩みに聞く絵本を探してくれる。このお店のメニューは、季節のスープセットとコーヒーのみだが、スープには北海道の豊かな食材を使用している…。
読み終えて、読む前に感じた沢山の??は解消できました。あと八木さんのことも…。この作品では、本当に沢山の絵本に触れられています。巻末にまとまっているんですが、37作品もあります!!どんな絵本なのか読んでみたい気持ちもあったけど、とりあえず読みながらあげられている作品の表紙だけブクログで調べながら読みました!絵本好きには、もってこいの作品かと思います。私も絵本は好きなつもりなんだけど、初めて知った絵本が結構ありました。ちゃんと、お客さんの話を聴いてくれる場所であることがいいところですよね。「束の間ほっとして、また日常に戻っていく場所」…美味しいスープとコーヒー、そして、奏が選ぶ絵本がそのきっかけになるんですね!「終電前のちょいごはん」の経営は、奏の彼女さんらしいのでそっちも読みたくなりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
仕事上の厄介事が重なって、頭の中がグダグダだった時に読み始めたので、最初の話を読んだ時には「絵本を読んで気持ちが楽になるかいな」「読んだところで辞める社員の穴は埋まらないし」みたいな気持ちだった。
それでも読み進めれば、絵本は色とりどりで楽しそうだし、季節の野菜を使ったスープはおいしそうだし、少しづつ惹かれ出した。
第5話の主人公は仕事にぐったりのイラストレーター。数をこなす日々に追われている彼女が絵の楽しさを思い出すお話は、ささくれだった心に刺さり、こなすばかりで本質を忘れがちな仕事の日常を反省させられた。
本を読んでも辞める社員の穴を埋めれるわけではないが、確かに、何とかしよう、何とかなるよな、今まで何回も乗り越えてきたし、という気にはさせられた。
普通の精神状態で読んでいたらもっと面白かったのだろうなと思え、この本にはちょっと申し訳なかったなというように思った。 -
『本のない、絵本屋クッタラ』に入ったお客さんは必ず一度は絵本を探すのだが…どこにも置いてない。
店主である広田奏が来客の話を聞いて、後日その悩みに寄り添ったお勧めの絵本を差し出すという。
さまざまな客に応じて差し出す絵本が、的を得ていてなるほどなぁと。
本じゃなく絵本というところも相棒の八木くんもいっしょに読めるからだと言うが、それだけではなく、知れば知るほど面白い。単純なように見えて、読む人やタイミングで何通りもの解釈ができたりするし、発見も多いと。
そうなのである。読んだ時期でも感じたことが違ったり、多くの文字がなくても絵だけで伝わってくるものがあって、たくさんのことを教えてくれる。
なので知っている絵本が出てくると嬉しくなり、こういう気持ちで選んだんだなぁと新たな発見もあって楽しめた。
この本でかなりの絵本が登場してくるので、まだ未読の絵本を読んでみたいと思う。
ちなみに「クッタラ」とはアイヌ語で植物の蓼科のイタドリのこと。
痛みを取る、から来ている。若葉は止血に、根は生薬になるという。
茎は軽くて丈夫なので杖にも使われるし、枯れた茎は風よけや雪がこいにもなる。
このお店が、誰かの杖になったり、厳しい雪や風から守る存在って意味を込めてのようだ。
終電前のちょいごはんの店主文さんが恋人⁈というちょっとした繋がりもおもしろい。
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このところ少し疲れていて、軽く読めて、でも、明るく優しくなれる本はないかと探して手に取った作品です。
舞台は北海道、札幌市。
本のない、絵本屋クッタラ
店主、広田奏と共同経営の八木が切り盛りする本屋兼カフェ。メニューは季節のスープセットとコーヒーのみ。
そこに悩みや迷いを抱えた客がやってくる。
そして、その悩みに寄り添う絵本を選び差し出す。
作品に出てくるスープは素材を大切にして作られて、どれも美味しそうです。
そして、何よりもどんな絵本が選ばれるかが、とても楽しみでした。
季節のスープ、それぞれの絵本、それから、共同経営で相棒の八木さんとの掛け合いで、とても癒やされて心が軽くなりました。
読んで良かったな、と思いました。 -
☆4
「悩みに効く御本をお探しします。」
店主である奏さんと相棒である八木さんが「悩みに寄り添う絵本」を選んでくれる「絵本屋 クッタラ」
八木さんに何だか違和感?を感じながら読み始めたのですが…なるほど!そういう事だったのか!と途中で、納得しました。
作中にたくさんの絵本が登場するので、気になった絵本は調べてみたりと楽しみながら読ませて頂きました。実際に書店や図書館などで手に取って読んでみたいと思います❁⃘*.゚ -
絵本ってこんなに意味が深かったのかと思う。何事も見方を変えれば心が楽になる。絵本とスープで満たされるって幸せです。