- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591179802
作品紹介・あらすじ
『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞!3年連続、本屋大賞ノミネート!!自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。地方都市の寂れた町にある、家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」。仕事のやりがいと結婚の間で揺れ動く中、親友の自死の知らせを受けた葬祭ディレクター、元夫の恋人の葬儀を手伝うことになった花屋、世界で一番会いたくなかった男に再会した葬儀社の新人社員、夫との関係に悩む中、元恋人の訃報を受け取った主婦……。 死を見つめることで、自分らしく生きることの葛藤と決意を力強く描き出す、『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこ、新たな代表作!
感想・レビュー・書評
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全5章からなる連作短編集。とはいえ、話の中心は葬儀社「芥子実庵」であり、登場人物の「死」と「生」が、町田さん得意の人生における様々な苦悩を漂わせながら、一話ずつうまくまとまったものになっている。
正直、序盤、1章目がなかなかしっくりこなかったところもあり、小説の世界観に入り込めなかったものの、歪な生き方をする男を描いた2章、3章で引き込まれ、1章のふりが最終の5章にうまくつながるところがさすがだと思った。
さも予定調和のようなハッピーエンドではなく、好転する未来をほんのりと感じさせるような終わり方も町田さんらしいなぁ、と。その後の、「芥子実庵」もいつか描いて欲しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生きているが故の死への恐怖。目を逸らしたくなる現実。作中にある『芥子の実〜』の話は有名で、願いは虚しいが現実は変えられない。それでも生きていかなければならないんだというリアル。
死生観と現実のはざま。もっと言えば様々な選択におけるはざま。この作品は良い意味でストレートだった。
価値観の押し付けや世間体、自他の欲と向き合いながらも懸命に生きていく人を支えてくれる本だと思う。
『ぎょらん』が同著者の作品にあるが、視点が違うし、死にゆく人を想うというよりも【生きていく】に重きを置いた内容であった。素晴らしい。 -
蝉にも鳴く理由がある
と、友だちは同僚に言われたそうです。
私の友だちは職場で嫌がらせに近いことをされていて、それを同僚に相談したらそう言われたと。
気に入らなければほっといてくれればいいのに、わざわざ文句を言いにくる、そればかりか周りに悪口を言い回る。
そんな時に同僚が蝉の話をしてくれたそうです。ミンミンミンミンうるさい蝉を黙らせようと思っても無理なこと。鳴き終わるのを待つしかないのだと。
そんなことを思い出す連作短編集でした。
胸糞の悪い登場人物が何人か出てくるのですが、その人達のふとした憂いを町田そのこさんは見せてくるのです。本当に救いのないほどめちゃくちゃ胸糞悪く描いたくせに憂いを見せてくるのだから、町田さんもきっと蝉を思い浮かべていたんだろうなぁ(?)と思ったりするのです。
そして、“死“に極端に恐怖を感じる人も出てきます。(私も少しその傾向があって、舞台が病院だったり余命何年なんてあらすじに書かれている小説や映画は苦手です。)
どうしても受け入れられないものは人によって違う。諦めきれないものも人によって違う。その価値観が大切な人とかけ離れている場合、どうしたらいいのか?とても難しい問題だなと思いました。
相手を受け入れつつ自分も大切にするのはなかなかに難しいですね。
自分で選んだ道を歩き始めた登場人物たち、みんなが幸せになれるといいなぁ。-
おはよう、こっとんさん!
朝から申し訳ないのですが・・・
>“死“に極端に恐怖を感じる人も出てきます。(私も少しその傾向があって、舞...おはよう、こっとんさん!
朝から申し訳ないのですが・・・
>“死“に極端に恐怖を感じる人も出てきます。(私も少しその傾向があって、舞台が病院だったり余命何年なんてあらすじに書かれている小説や映画は苦手です。
私も本当にそうなので、こっとんさんも同じと思ったら、妙な連帯感を持ちコメントしちゃいました。私は若い時に大病を患い、その後も何やかにやと身体にメスを入れています。だから、病院物には絶対手を出さないし、主人公が死に直面する気配を感じるとさっさと閉じちゃうのよ(笑)
似たような方を身近に知ると、何だか勇気が湧いて来るようでほっとします。
ありがとう!
2024/05/01 -
しずくさん、こんにちは♪
しずくさん、大変な経験をされたのですね。私もとても身近な人が経験したのを見てきたので、お話として読むのはとてもしん...しずくさん、こんにちは♪
しずくさん、大変な経験をされたのですね。私もとても身近な人が経験したのを見てきたので、お話として読むのはとてもしんどいです。
しずくさんのコメントとても嬉しかった(*´∇`*)
私も連帯感を感じて心強いです(^ ^)2024/05/01
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家族葬儀専門の葬儀場で働く佐久間真奈を中心に展開する5章からなる連作短編なんですが、死生観に人生観、新旧の視線から多方面に見ることができて考えさせられる内容でした。
真奈の親友の楓子となつめ、いきなり楓子披露宴から始まり、なつめの死と落差のあるストーリーに振り回されながらも親友の死に怯むことなく司式を担当した真奈。この子の人生観を決定づけるエピソードでした。
2章ではヒモのような生活をする男の話に退いてしまいましたけど、夫婦間における温度差に、共依存の関係。結構深くえぐられました。
3章の荒んだ性格の男の貧困母子家庭の過去語りは勘弁して欲しいって思ってしまいました。
自分がどの視点で見ているかによって捉え方が変わってくるのですが結構、高い視点から俯瞰したら同情してしまうこと多いんですよね。彼よりももっと低い視点から見れば羨ましく思う事もあるかもしれなし相対評価な感じなんですけど、人にとって絶対に避けられないものって死なんですよね。
それにどう向き合って生きてゆくか、結婚することがハッピーエンドと言えるのか。いろんな人の人生を通して考えさせられる作品でした。 -
家族葬の葬儀社の芥子実庵を中心とした小説。 『ぎょらん』に近く、死亡に関する内容が多いので暗く重い。親友の自殺で葬儀を仕切る若い女性、元夫の相手(男性)の葬儀で花を飾る元妻、親友の葬式を逃げ出す葬儀社の社長など非常に重い話題が続く。
これらの話しの裏で進行するのは、職業や家庭の役割に対する古い価値観。自殺した親友の職業に偏見を持つ夫、主人として男は家庭ではこうあるべき、仕事に取り組む男のあるべき姿など。全て離婚に結びついている。
主人公の若い女性が葬儀社に勤める事を嫌がる相手。相手を選ぶのか、仕事を選ぶのか究極の選択となり、結末にこれで良かったのかと、こちらも悩んでしまった。 -
本書の主な舞台は、家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」。ここに何らかの形で関わる人たちが、一章ごとに主人公となる物語です。
第一章の主人公は、「芥子実庵」の葬祭ディレクター・佐久間真奈31歳。葬祭の仕事に対する恋人の無理解、母親の同調、親友の自死等、旧態然の慣習、風潮、根強い偏見等、ままならない状況下でもがき苦しんでいます。
この真奈のエピソードが、とてもキツく重い内容です。さらに第二章〜第四章と、主人公(視点)を変えながら、濃密な内容が次々と展開されます。
第五章で再び真奈の視点に戻り、全体を通じて、真奈の人生の決断の物語となっているようです。
真奈を中心とした登場人物は、それぞれ事情を抱え、価値観のはざま、人生のはざまでもがきながらも、自分の意志で次のステップへ動き出します。タイトルの通り、はざまから「夜明け」に向かって、暗から明へ歩み始め、心が軽くなる思いでした。
人はみんな、それぞれが何かを背負って生きているし、「死」も、貴賤なく残された者全てに対して平等であるのですね。
〝自分らしく生きる〟ことは、年齢を重ねても簡単ではないです。人は皆何かを背負って生きているでしょうから‥。苦しいこと、人はいつかは死ぬことに対して、自分なりの折り合いをつけて暮らしていくことが肝要なのでしょう。
「死」があるから「生」が輝くことを示し、町田そのこさんらしい、人の心の痛みに寄り添ってくれる物語だと思いました。 -
「ぼくたちはあまりにも、明日に任せすぎている」
いやー、どういう感情で読めばいいんだ?
ちょっと情けない男が出すぎじゃないかね?そのこさん!
反省か!反省を促されているのか?自分の半生に(そういうとこ)
いやなんか、現状は同じラインな気がするんだが、最初に気付くのは女性ばっかりやな
大事なことに気付くのはいつだって女性が先
贔屓しすぎやろって思っちゃいました
なんかズルい
なんかズルいよそのこさん
男だってたまには(たまにかよ)-
2023/12/09
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2023/12/10
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面白いよ笑
コロナ禍の中での家庭あるある。
わたしはマスク買いに走り回ったくらいで変わりなく過ごして、コロナ始まりって何年前だ⁇なんて気楽な...面白いよ笑
コロナ禍の中での家庭あるある。
わたしはマスク買いに走り回ったくらいで変わりなく過ごして、コロナ始まりって何年前だ⁇なんて気楽なもんだけど笑
一穂ミチ短編上手し!な一冊?2023/12/10
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好きです、町田さん!
いきなり何の告白なんでしょうかね…w
やっぱり町田さんの作品好きだなとあらためて思いました
今回は「死」をテーマにした作品
家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」を舞台に死を見つめることで、自分らしく生きることの葛藤や悩み、そして決意や行動を描く
その決意や行動を後押しする言葉が作中にはいくつかある
いくつかある中で、私の心にグッときた言葉は
「じぶんの中の『それくらい』を相手に押し付けちゃだめだよ。理解しないと、いつか後悔することになる」
「一緒に生きていくために大切なのは『しあわせな瞬間』だけではなくて、『相手のしあわせを考える時間』も大事なんだよ」
町田さん、この言葉心に刻んでおきます!-
2024/02/24
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私も町田さん大好きなんです。ライバルですね(´∀`=)違うか笑
町田さん、寺地さん、凪らさん、辻村さんと…本当に救われる話が多いですよね。し...私も町田さん大好きなんです。ライバルですね(´∀`=)違うか笑
町田さん、寺地さん、凪らさん、辻村さんと…本当に救われる話が多いですよね。しんどさの中の中心温度はすごく温かいみたいな。生きづらさを理解して、表面的に理解してるのではなく根っこで理解してる…みたいな。
天邪鬼なので、乙一さんとか湊さんとか大好きなんですけど、町田さんが描く話も大好きなんです。彼女達の作品を見てると、世の中救われないことだらけだと感じる一方で、それをわかってくれていて発信してくれてる人がいる、とホッとします。2024/02/24 -
せりぐまんさん
ライバルです!
間違いないです!w
乙一さんも好きです!
やっぱりライバルです!wせりぐまんさん
ライバルです!
間違いないです!w
乙一さんも好きです!
やっぱりライバルです!w2024/02/24
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