四丁目の夕日 (扶桑社文庫 や 4-1)

著者 :
  • 扶桑社
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本棚登録 : 411
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594028381

感想・レビュー・書評

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  • 結果だけみればただの悪人なんだけど、経過をみると理不尽の連続で一度転がってから落ちていくスピードの速いこと速い事。
    誰にでも起こり得る不幸への入り口は割と身近にあるんですよって警鐘って事で読むと良いと思います。

  • 救いも助けもないただただ鬱屈とした不運の積りに積もった不幸の坩堝を最後の最後で呆気なく台無しにしてしまうエンドには漫☆画太郎のトラックオチとしての近さを感じて、えーとなりながらも思わず苦笑い。
    然し、作者の何においてもせせら笑う一貫としたシニカルな姿勢が悪趣味とも底意地の悪さが最悪とも才能とも言える。あと、目。目なの。キチガイの目。此れの描写の克明さが素晴らしい。虚ろな目だったり、何処にも据わってない目。これが画面から伝わる迫力と淀んだ風景や小汚いおっさんおばさんと漂う仄暗い底の底は一度覗いたら忘れられない。

  • なるべくしてなった不幸、としか言いようがない。
    まずは父親の、それも怪しい金融業者からの借金。そしてちんぴらの溜まり場を待ち合わせに指定する女。そして主人公が選ぶ仕事場。家族の団結の方向も誤っているし、これで不幸にならない方がどうかしている。危険予知能力が低すぎる。これは時代背景とは無関係だ。
    学ぶべきは、貧困は人を壊す、という事実。借金は不幸の芽。

    本当の不幸は、幸福でも不幸でもなく中庸に生きて、したいことも出来ずに、かといってしたいこともわからないままに死んでゆくこと、ではないだろうか…

    けれど、破滅してゆく人間はこの物語の主人公のように、つい悪いほうを選んだことが積み重なってそうなるんだとリアルに実感させられる。

  • お化けや妖怪なんかより、人間が陥穽に陥る事の方がよっぽど恐ろしい。
    そんな当たり前の事を描いた漫画。

    こうならない保証など、大金持ち以外、誰にもないという風で、今までに見た恐怖漫画の中で最も怖かった。しかも、作者は恐怖漫画と思って描いてないに違いない。人間しか出て来ないと、ここまで醜悪か。

  • ひとつの不幸な出来事を発端に、どんどん折り重なる不幸。
    これでもかというぐらい打ちのめされ救いはひとつもない。
    これだけ続く「不幸」が非現実的なものであればまだよかったけれど
    人的なことにしろ物理的なことにしろ、起こり得る出来事なだけに
    読み進める間にどんどんグロッキーになれる。

    調子に乗りそうな時、絶望感を垣間見てブレーキを掛けるために読むか
    もしくは怖いもの見たさでならアリかと。

  • あとからあとから心に沁みる。
    ありえないくらい不幸続き、
    見てられないくらい悲惨な筋書き。
    絶望と楽観って、こんなにも紙一重。
    ナットを投げて、波紋の中に
    幸せだったあのころを思い出すたけしが
    どうしても忘れられない。
    傷つくように感動するんじゃない、
    感動するみたいに傷ついてるんだとわたしはおもう。

  • 不幸が続くこともあれば不幸でない時もある。不幸でないことは幸せなのか。幸せというのは誰かの犠牲がないと成り立たないのか。ただ、誰かの不幸の上で成り立つ幸せは、優越感も同時に満たしてくれる。
    奉仕する人、される人、人間は実際のところこの二種類にしか分別されないのかもしれない。

  • 山野一氏の作品『四丁目の夕日(1999)』の文庫版を読了。

  • 不幸の底へ底へと転落していく主人公をただただ描き続ける、という形式のサブカル漫画。
    転落の話だけれど退廃の美はなく、実験的な作品というわけでもおそらくなく、登場人物たちへの同情の目線は感じられず、もちろん教訓の欠片もない。全編に渡る投げやりな虚無と、局地的な不幸をカタルシスとして感じさせる後味の悪さだけが、読後に残る作品。

  • 衝撃的

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