- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594029593
感想・レビュー・書評
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親族や親友を自殺によって失った人々の証言を集めた本。自殺者本人ではなく、遺族の精神的負担に焦点を絞っている点が貴重。まず日本との大きな違いとしては、自殺が「罪」であるというキリスト教による観念が根強く、「恥」という意識が強いこと。また銃社会であり、子どもですら簡単に銃を手にすることができるための自殺が多いということ(遺族を思うと声を失うような手酷いやり方での自殺の話もあった)。こういった点から必ずしも日本に馴染む内容ではないかもしれないが、多数の遺族の証言を無理に統合せず並置していることや、著者自身が夫の自殺という苦しみを経験したというスタンスによる書きぶりには好感が持てる。病による苦痛や鬱など、生きていることが辛いという人の自殺を一概に否定できるかどうか、私はいまだに答えを出し切れていない。けれど曖昧な不安で「この先生きていてもつまらない」というような理由で自殺を考えている人がいるとしたら、是非読んでほしい。彼らの選択がいかに私たちを傷つけたか、また貴方の選択が周囲の人をどれだけ傷つけるのか、そのことに思いを馳せることはできないだろうか。とは言え、繰り返し語られる誰かの自殺のイメージは、自殺したいとは考えていない私ですらいささか辛かった。これはやはり遺族が気持ちを整理するための方法を模索するための本かもしれない。原題は『No Time To Say Good Bye - Surviving the Suicide of Loved One』だが、これを『さよならも言わずに逝ったあなたへ 自殺が遺族に残すもの』と訳したのは、あとがきにあるように訳者が親しい人を自殺で失ったこととも関係するかもしれない(私なら「(自分が)さよならも言えないままあなたは逝ってしまった」と読むところだ)。とは言え、この題は秀逸だし、本文も翻訳ものとしては珍しいくらいに読みやすい。文化的背景の違いはあるとは言え、この問題に関心がある人は一読されてはどうでしょうか。
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しかるべき言葉、しかるべき態度は、絶望に打ちひしがれた者を救うか?
そんな「しかるべき」は存在しない。
救いは自分の中にしかない。
自殺は確かに選択肢の一つだ。けれどやはりこの最終的解決手段は褒められたものではない。
私が死ななかったのは、鬱状態がひどすぎたから。
自殺するのにもエネルギーが必要だ。それに私は目的に向かって集中できる状態じゃなかった。自殺するなら、せめて身の回りの品を整理する責任があると考えたんだ。部屋を整頓していくにつれて、私は死にたいのではなく、このままの状態で生きていくのが嫌なのだと気づいた。そして兄が自殺した。おどろいた。
安楽死 遺族
家族という組織
自己破壊的行動
躁鬱病
抑鬱症状 ベッドから起きるのも一大決心が必要
儀式には秩序がある。
どのように死んだかではなく、その人生の中で何を残したのかを考えられたらと思う。
わすれなぐさの会
死別の悲しみ110番
めんどりの集い
ちいさな風の会
東京いのちの電話
もう一度人生の価値を見いだせるようになるまで、数年の歳月を要しました。
苦しみを終わらせるためであって、人を苦しめるためではない。
事が起こった後でないと、手がかりは見つけにくい。
絶望に追い立てられて流浪の民となる。
その理由は永遠に分からない。
ジェラルド・ジャムポルスキー『愛は恐怖心を解放する』
リチャード・モス『いかに生きるか』
エリザベス・キューブラー『さよならを言うときまで』
スティーヴン・ルヴィーン『ヒーリングによる生と死』『死、そしていまわの際の出会い』
バーニー・シーゲル『愛 瞑想 そして奇跡』 -
兄ちゃんが自殺してしばらくして読みました。もう、誰も悲しみの中で死んでしまう事のないように願います。
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原題「No Time to say Goodbye」。
家族や恋人に自死された人100人の遺族が語る、その心境。重いテーマなので決して軽い気持ちでは読めません。
ただ、勘違いしないで欲しい。
この中に出てくる人たちは、決して同情されたくて話したわけじゃないのだろうと朱緋は思う。
大切な人を亡くして、辛い中で、それでも頑張って日々を過ごしている人たちです。
見習いたい、その強さを…。 -
烏兎の庭 第四部 箱庭 6.16.12
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto04/diary/d1206.html#0616 -
自殺で身近な人をなくした方の話が数多く載っています。考える。
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喪失体験がもたらす衝撃の大きさをまざまざと見せつけられる思いがする。いわゆる悲嘆のパターンに添って時系列に記されているため、ファーストインパクトからの心裡変化を見渡せるのも特徴。これはどうなの? と問いたくなる記述もなくはないけど、それでもサバイバルを生き抜いてきた人の言葉と思うと重たく感じられる。