妖異金瓶梅 (扶桑社文庫 S 10-1 昭和ミステリ秘宝)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (588ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594032647

感想・レビュー・書評

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  • 連作短編。中国の四大奇書、金瓶梅を元に、富豪西門慶の太鼓持ちである主人公の視点から描かれた、ある女の話。最後に、連作中の一作の原型となった短編が掲載されているのですが、あたかも全て終わった後、主人公が思い出を再び脳裏に描いているような錯覚に陥りました。

  • (収録作品)人魚燈籠/死せる潘金蓮/蓮華往生/女人大魔王/凍る歓喜仏/黒い乳房/邪淫の烙印/妖瞳記/銭鬼/赤い靴/美女と美童/漆絵の美女/閻魔天女/変化牡丹/西門家の謝肉祭

  • 2014年8月25日読了。中国四大奇書の一つ「金瓶梅」を題材にした山田風太郎の連作ミステリで、氏の代表作といわれる小説。数人の愛妾と愛欲の日々を過ごす好色漢・西門慶の邸内に時折起きる奇怪な事件、その真相は・・・。これまた噂に違わぬ面白さ、ある意味ワンパターンな展開(それでも、事件の動機・トリックには驚く。ミステリ小説としても超一級品)を繰り返す前半と、繰り返す日常の崩壊に向けてストーリーがうねりだす後半の変化も絶妙。個々の話で示される登場人物たちの人間味や知性・また愚かさ、中国らしい(と、いうか中国を舞台にした小説でないとありえない)豪快な描写や切ないラストに至るまで、本当に楽しめた。巻末の日下三蔵氏による、「魅力的な犯人による連続犯罪小説」を実現するため必然の形式だった、という解説にも深く納得した。面白かった。

  • 中国四大奇書のひとつ『金瓶梅』の山風流連作短編ミステリ。精力絶倫の大富豪・西門慶、稀代の淫婦・潘金蓮、探偵役の幇間・応伯爵、水滸伝の梁山泊メンバーとキャラクターが魅力的。本作の最大の挑戦であり柱である仕掛けはすごいものの、それによるマンネリ感も多少あり。大迫力のラストは圧巻。

  • 予想外の純愛。元々の話は読んだことがないけど、とても面白い。山田風太郎は、エロと純愛を両立させることのできる、すごい作家。

  • 普通のミステリをシリーズにするなら、探偵やワトソン役だの、馴染みの警察関係者たちは変わらねど、犯人は同じってことない。そんなの当たり前だ。
    その当たり前が通じない世界。

    憎まれっ子世に憚るらしいが、いや、その憎まれっ子の枠に収まりかりっているようなタマでなく、このなかのどれか一つでもやらかそうものなら、嫌悪の対象になってしかるべくなんだけど、見事に主人公としてストーリーに君臨しているから恐れ入る。

    水戸黄門が印籠を出すのと同じぐらい、やはりこんどもお前ですかいというノリながら、それでも面白く、エログロなはずをするりとうっかり読んでしまえるのは流石風太郎先生というところ。

    いや、子供は読んじゃだめですよ。ええ、絶対に。
    でも、大人は読んで損はない。

    水滸伝、金瓶梅を知ってると、尚、面白さが深くなること請け合いだが、
    なくても充分楽しめまする。

  • 実は金瓶梅って知らなかったんですが…なかなか面白かったです。

    金蓮さんの一途すぎる愛。数々の殺人に関わってる悪女?なんだけどなんだか憎めない。

    水滸伝の外伝的な物語と言うことなので時間のある時にでも水滸伝を読んでみようと思います。

  • 潘金蓮が女人大魔王と形容されるがまさにその通りの作品だった。
    魅力的なエログロ。女のどろどろした妬み・嫉妬の表現。推理小説として、解説にある通りの一つの逆説に挑んだ点。どこをとっても素晴らしく山田風太郎の傑作の内トップ5に入るのは間違いないと思う。

  • 犯人が見つからないミステリ

  • 325.初、並、カバスレ、帯なし
    2011.8/19.白子BF

  • 『金瓶梅』は言わずと知れた中国四大奇書の一つ。水滸伝の中の武松のエピソードを入り口にして、そこに登場する武松の兄嫁の潘金蓮が、姦通した後殺されずに姦夫の西門慶と暮らし始めるという設定だが、山田風太郎氏がその設定をベースに話をミステリ仕立てに仕上げている。物語は変わっていても登場人物は原典にでてくる者をそのまま登場させているらしいので、原典を読んでから本書を読めばさらに楽しめるも知れない。全篇を通じてエロティシズムが漂い、潘金蓮という稀代の淫婦の性(さが)が描かれている。それにしてもこの潘金蓮という女、男にすればなんとも怖ろしい魔性の女でありながら強烈に心を惹かれてしまう魅惑の女である。潘金蓮を目の当たりにし触れてしまったが最後、男はその虜になってしまうだろう。それが間違ったことであり、いけないことだと判っていても、男は否応なしに潘金蓮の蟻地獄に身を落としてしまうのだ。気の小さい私としては潘金蓮のような女に出会うことがないように唯々祈るのみである。しかし、一度だけほんのちょっと会ってみたいと思う危うさが心の中にあるのも事実。五十になっても惑う私であります。

  • ニコ生から

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  • 只今、探してます。

  • 中国とミステリィが好きな人なら楽しく読めるはず。金蓮さんがすごい魔性の女なのに一途で憎めない。一途過ぎて怖いけど(汗)ラストの応伯爵が泣かせます。

  • 再読。中国の四代奇書「金瓶梅」をベースとした連作短編ミステリ。犯人は固定されており、動機やトリックを楽しむ趣向。読み進めていくうちに、パターンは読めてくるのだけれど、それでもその凄まじさに、ひたすら圧倒される。

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    金瓶梅を読んだことがないのですが、十分楽しめました。さすがですね。
    一つ一つが独立したお話になっているので、読みやすくて良いです。金蓮さんの凄艶さがすごくうまく描かれていて、世界に入りやすかったです。

  • 「妖」「異」過ぎて、あてられました。女が読む本ではなかったか。

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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