悪女パズル (扶桑社ミステリー ク 19-1)

  • 扶桑社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594050481

感想・レビュー・書評

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  • パズルシリーズ4作目。離婚の危機を迎えている三組の夫婦。彼らを仲直りさせようと大富豪の女主人が休暇に招待するも、三人の妻が一人ずつ命を落としていき…犯人はこのメンバー中に?

    テンポ良く進む話と、サスペンス風味の味付け。各章のタイトルがそれぞれの妻の名前になっているのもセンスが良い。一人、一人と殺しが行われる中、各自がそれぞれの思惑で動き回り誰もが怪しく見えてくる。体面などを考えて警察の介入を排除しようとした結果、事態は混乱していき……と、よくあるパターンの展開かと思いきや、途中から展開に一ひねり入ってて飽きさせない物語作り。キャラの書き分けもよく出来ていて混乱することなく、動機、小道具の使い方なども秀逸。面白かった!

  • ちょっと読みにくい翻訳だった。戦時下でもアメリカの富豪は呑気だ。クラーレって実際に殺人に使われるのか。離婚が成立したかどうか確認しないなんて、日本ではあり得ない。アメリカの金持ち女は夫運が悪い。女が守られるばかりの存在ってことに不満を表明するのは、この時代の男性作家なのになかなかよろしい。

  • 富豪ロレーヌの屋敷に招待されたピーターとアイリスのダルース夫妻。ドロシー、ジャネット、フルールという女性たちも招待。ロレーヌが連れてきたそれぞれの夫ビル、ラグーノ伯爵、ワイコッフ医師。ロレーヌの恋人チャックと異父兄ウォルター・フレンチ。離婚危機の3組の夫婦。チャックが経営するカジノで遊んだあとのダンス中に死んだドロシー。ビルを読むのが裏切り、金を使い果たしていたドロシー。ラグーノ伯爵のクラーレつきの吹き矢。心臓が弱かった自然死とされたドロシー。プールでシルバーの水着を着たジャネットの溺死。クラーレを使った毒殺を疑うダルース夫妻の推理。ドロシーと関係を持っていたラグーノ伯爵とワイコッフ医師。車で出掛けようとしたフルールの事故。ウォルターの恋人ミミとチャックの浮気現場。屋敷を出ようとしたミミの撲殺。いずれの殺人もロレーヌを標的にしたものと推理するピーター。ロレーヌの部屋で発見した絞殺された人形。チャックとミミ関係に隠された秘密。

  • 面白かったけど、もうひとひねりほしかった

  • ミステリマガジン2012.11海外レビュー小財満
    シリーズ最終巻巡礼者パズルが紹介

  • 私が生まれた60年代に多く翻訳出版されていたクエンティンの最新翻訳本。登場人物の心理描写と物的証拠が提示され、読者も謎解きに参加できる、古典ミステリーの醍醐味ともいえるスタイルが嬉しい。

  • 女優のアイリスとピーター・ダルース大尉の夫婦は、大富豪ロレーヌの邸宅に招待されて休暇を過ごします。
    珍しく恋人と長く続いていたロレーヌは、離婚しかかっている女友達3人とその夫を招いて仲直りさせようと計画。ところが、一気に空気は険悪に…
    そして、一番の悪女?ドロシーがカジノで突然死したのを皮切りに、次々と危機に見舞われる女性達。
    この中の誰が犯人か!?

    パトリック・クェンティンとはまた懐かしい名前〜でも中学生の頃読んだ時には怖くて気怠いムードの作品が大人向きすぎて、あまり好印象は残りませんでした。
    このシリーズはもっと軽快な、推理を楽しむためのミステリといった感じです。
    タイプの違う女性達が描き分けられ、ハリウッド女優競演といった趣を楽しめますよ。
    次々に殺されていくという話の割には描写が怖くなく、探偵役夫妻の仲が良くて一服の清涼剤となっています。
    1945年の作品で、05年10月に本邦初訳。ダルース夫妻のシリーズ4作目。一作目で出会い、その時はメインの探偵は別にいるとのこと。

    クェンティンは合作のペンネームだそうですね。
    要領よくまとまった後書きで、全体像を初めて知ることが出来ました。

  • 2名のユニット作家さんによる、正統派の謎解き娯楽ミステリ。
    密室ではないですが、絶対この中に犯人がいるはずじゃん、というフーダニットもの。登場人物のキャラクタ設定も相当デフォルメが効いていて、読んでて楽しかったです。

    謎解き、動機付け、伏線、小道具の使い方、どれをとってもアッパレでした。大満足。

  •  読む前から期待が高かったのだが、その期待にものの見事にこたえてくれた作品。

     人間関係の中からと物証の中、両面からのアプローチによる謎解き、見事です。

      この作品には、黄金時代によくあった、殺人の手法についてのアンチテーゼも含まれているように感じたのだが、これは考えすぎた見方だろうか?

  • 前半と後半の印象がまるで違う。最初はとにかく退屈だった。不思議な感覚の人物たちを集めて何が楽しいのだろうと感じていたが、犠牲者が増える頃から徐々に読書細胞が活動し始めた。海外ミステリにはありがちの、無駄に引っかき回した感じの人物関係のお陰で、ダルース夫妻の推理シーンにもいまいち反応が鈍った。しかし、ラストの展開は期待以上だったので、それまでの展開が相殺されこの上なく心地良かった。ダルースによる真犯人指摘のシーンはキレもあり、個人的にはかなり驚いた犯人像だったので、そこからラストまで一気に読めてしまった。ここまで到達して思い返してみると、完成度の高さがよくわかる。ラストシーンは特に気に入っている。この感覚を最初からキープできればもっと楽しい読書時間だったろうにと残念に思ったが、満足は出来た。

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著者プロフィール

Patrick Quentin

「2010年 『悪魔パズル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

パトリック・クェンティンの作品

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