横溝正史翻訳コレクション (扶桑社文庫 S 1-2 昭和ミステリ秘宝)

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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594052980

作品紹介・あらすじ

横溝正史は、一流の翻訳者でもあった。雑誌「新青年」編集長時代から積極的に海外作品を自ら翻訳し、紹介しつづけた正史。本書では、これまであまり触れられることのなかった翻訳者・横溝の業績に光を当てる。「八つ墓村」ほか、一連の創作の発想源ともなったウィップルの「鐘乳洞殺人事件」、19世紀末の一大ベストセラーとして名高いヒュームの「二輪馬車の秘密」の二長篇を収録。後者では、単行本版と結末の異なる雑誌掲載版も併録した。時を経てなお古びない正史の闊達な訳文の妙を、ぜひご堪能あれ。

感想・レビュー・書評

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  • 横溝正史が翻訳した、D.K. ウィップル「鍾乳洞殺人事件」、ファーガス ヒューム「二輪馬車の秘密」の2編を収録。
    時代的にはホームズの「朱色の研究」ぐらいと同年代の作品らしいのですが、古典の名作ですね。さすが正史が翻訳しただけあって、非常に読みやすくまとまっていて、翻訳が苦手な人にもお勧めできそう。
    解説を読んでみると、原著から、かなり正史が削ったり手を加えているところがあるらしく、正史の文章力・構成力って凄いと改めて感心。

    鍾乳洞殺人事件は、八つ墓村の発想の元になる影響を与える作品となったらしく、確かに洞窟内で起きる殺人事件は魅力的でした。

  • 翻訳、文体というものの影響の大きさを考えさせてくれる一冊です。作者の違う二作品を翻訳しているのですが、漂うものは横溝作品の華麗さと妖気です。

  • さすがに古いが、それとして読めばよい

  • 『鍾乳洞殺人事件』
    発見された鍾乳洞で起きた連続殺人事件。鍾乳洞の持ち主が殺害され、第二の被害者が残した「彼が私を殺した。M」と言うダイイングメッセージ。

    『二輪馬車の秘密』
    オーストラリでおきた殺人事件。馬車に乗せた酔っ払い、彼を介抱する見知らぬ男、そして殺害された酔っ払いの男。
    事件に隠された富豪の結婚の秘密。

  • 鍾乳洞殺人事件と二輪馬車の秘密収録。
    前作は八墓村に大いに影響を与えているらしい。
    以前にも横溝正史が江戸川乱歩と共訳した作品を読んでいるのだけれど、やっぱり趣があるなぁと。
    翻訳作品なのに横溝ワールドがしっかり構築されている。
    解説を読むと、横溝正史は小説をただそのまま訳すわけではなく、自分の中で再構築しているそうな。さもありなん。
    言葉の選び方や、表現法などが慣れ親しんだ横溝正史のものなので、戦前に発表された作品を読んでも違和感がないのだろう。
    内容はともかくとして。この点に関しては本書の解説でも「とにかく古いものなので内容を云々するべき性質のものではない」とくどいほど説いている。
    確かにこの書は横溝のルーツを読むべくものだと思う。
    翻訳者時代から改作癖があったなんて、横溝らしいではないか。ファンとしては実に嬉しい1冊だった。

  • 「横溝正史翻訳コレクション」横溝正史:扶桑社

    「鍾乳洞殺人事件」と「二輪馬車の秘密」の2編を収めた、
    横溝正史が手がけた翻訳小説集。
    「鍾乳洞〜」は昭和7年に『探偵小説』に掲載。
    原作者はD.K.ウィップル。
    「二輪馬車の〜」は同じく昭和7年『探偵小説』に掲載した稿。
    しかしこれには終盤を大胆に刈り込んだ『新青年』掲載の稿があり、
    今回付録として載せられている。
    紙面の都合かかなり大雑把に改編してあり、
    出版時の都合から苦心したことが感じられる。
    ともに本格派の佳作であり楽しめました。

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