閉店時間 (扶桑社ミステリー ケ 6-9)

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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594057213

感想・レビュー・書評

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  • そこまでケッチャム節は炸裂してなかった(と思う)

  • とことん絶望的な状況というのは、別に無敵の宇宙人が攻めてこなくても、とても身近なところにあって。日本人にとっては、でもやっぱりちょっと別の世界みたいに思えるんだけど、米国に住んでいる人にとって、これは全くの絵空事でもないんだろう。日本にいて良かった。

  • 鬼畜系小説。嵌まれば嵌まる。

  • ケッチャムの中短編集。「閉店時間」「ヒッチハイク」「雑草」「川をわたって」の順で好き。
    全く違う話だけど「川をわたって」はイーストウッドの『許されざるもの』をふと思い出した。正統派ウエスタン。

  • ケッチャムの鬼畜さの安定感。たまらないです。「隣の家の少女」は別格として、長編よりも短編の方が出来が良いのではないでしょうか。

  • 懐かしのジャックケッチャム。
    相変わらずの鬼畜陣も登場するけど、心やさしいひとたちも出てきます。弁護士の姉さんは鬼に変わったようだけど。罪もない一家が惨殺された瞬間吹いてしまった。この人のを読んでるとなんだかテンションがおかしくなる。

    一番良かったのは最後の「川を渡って」かな。全体の禍々しい雰囲気と、登場人物の普通っぽさのギャップが良かった。マザーがいい人過ぎて死亡フラグびんびんで、案の定一番ひどい目にあった。このときも悲しいというよりあーあと軽くなってしまうから、自分を疑ってしまう。

    ケッチャムの話は、状況次第で人の規範を変えてしまうから面白い。

  • 世の中、怖いものは多い。
    お化けも怖いし、猛獣に襲われるのもキツい。想像だけど。
    でも詰まるところは人。人間は実にバイオレンスになりうる。しかも毎日顔を合わせる―知り合いであれ、赤の他人であれ。

    本書は一部でカルト的人気を誇る鬼畜小説家ジャック・ケッチャムの中篇集である。
    「閉店時間」、「ヒッチハイク」、「雑草」、「川を渡って」の4篇が収録されており、どれも然るべき描写に満ち溢れている。
    そもそもこの著者の作品を手に取る人は、この手の内容であることを知っての狼藉であろうから、敢えて著者の他の作品と異なる点について述べてみたい。

    なんつうか、「ヒッチハイク」と「川を渡って」にはカタルシスがあるんです。
    いつもは実にまざまざと暴力を見せ付けていて、それでいて読み進めてしまうという印象があるのだけれど、この2作はちと違う。
    悪人の破滅が、割と爽やかな形で描かれている。
    これには驚いた。

    個人的にはケッチャムは娯楽作家ではないと勝手に思っている。
    過剰(あるいは悪趣味)とも言える暴力描写は、目を背けたくなるような陰惨なものだけれど、一方で酷い事件や出来事は実際に存在する。そう考えると、とても誠実に人の有様を書いているともとれて、「勧善懲悪」とかいう言葉の入る余地のないストイックな作風にふと安心感を憶えている自分がいる。
    一方で、やっぱり悪人は死んで欲しいよねという思いを抱くのもごく自然なことだ。生々しい救いのなさ、欺瞞に満ちたカタルシス、その両方が書けるという懐の深さが、この作品群の魅力なのではないだろうかと。

    そういうの好きな人向け。

  • ケッチャム最高!
    鬼畜でも何でもいいのぉ
    ブラム・ストーカー賞ってのが何だか判らなくてもカッコいい
    賞受賞の「閉店時間」より「ヒッチハイク」が面白い
    そしてさらにウエスタン「川を渡って」が最高 ありきたりな話なはずなのに、何故かわからないが熱くなる 
    他の作品とは違う作品

  • ハリウッド映画の脚本案「ヒッチハイク」が混ざっているせいか
    救いようのないエログロ鬼畜だけど
    正しいストーリー(ざまぁみろ、と溜飲が下がるラスト二つ)運びで大変良い。
    ヒッチハイクのビッグが好きだー。

  •  「隣の家の少女」「地下室の箱」のジャック・ケッチャムの短編集。

     *閉店時間
     *ヒッチハイク
     *雑草
     *川を渡って

     の4編が収録されている。帯には「暴走する嗜虐、非情のリリシズム。鬼才の精髄、ここに極まれり」とあって、もうこれ以上の言葉は必要ではないんじゃないかと思う。
     描かれているのは、暴力。
     それも、容赦ない、非情な、それなのに単純な暴力だ。

     解説にもあるが、これが2001年の911テロの後に書かれた意味の重さをいやおうなしに感じる。
     人は、暴力の連鎖から逃げることは出来ないのだろうか。
     愛だって、振り切れてしまえば、それは暴力という形を見せる。また、憎しみも、境界を越えればたやすく他者を傷つける。そして、愛も憎しみも、そういう感情もなく、ボーダーを軽々と飛んでしまう人だっている。
     「雑草」の怖さは、これにつきる。
     ボーダーを越えるということは、そんなにたやすいことなのか? その危険は、他者のものではなく、自分の中にもあるものなのかと。
     
     「閉店時間」で、すぐ側にある危機を描き、「ヒッチハイク」で自己の平安の危うさを描き、「雑草」で自分の中の危険に警鐘を鳴らしている。
     平和に、安らかに生きていたいというささやかな願いは、悲しいぐらいもろい。それが、本当に悲しい。

     ケッチャムの作品は、暴力的であることは確かだ。
     けれど、「川を渡って」のように、悲劇的な結末の中に一縷の望みがある。それは、暗闇の中の小さな光のようだ。
     光を見たいから、多分、ケッチャムを読むのだとこの短編集でわかった。

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著者プロフィール

ジャック・ケッチャム(Jack Ketchum)
1946年11月10日 - 2018年1月24日
ホラー作家として知られる。ボストンのエマーソン大学で英文学を専攻。卒業後は俳優、教師、営業、ライターなど様々な職業を経験するが、ヘンリー・ミラーの出版エージェントをしていたことはよく知られている。1981年『オフシーズン』で作家デビュー。1994年”The Box”で、ブラム・ストーカー賞短編賞を受賞して以来、多くの受賞歴がある。2015年にはブラムストーカー賞生涯功労賞を受賞。代表作に、実在の事件を元に、映画化もされたモダンホラー『隣の家の少女』。
(2018年5月10日最終更新)

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