なぜ世界は"日本化"するのか

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594076825

作品紹介・あらすじ

迷うことはない! 日本は「日本らしさ」を追求すればいい――
アメリカではトランプ大統領が誕生し、イギリスはEU離脱を決定、世界はグローバリズムの時代から大転換期に入った。
グローバリズムの波に乗り遅れまいとしてきた日本はどうすべきか?
トップ経営コンサルタントとして日本と世界のビジネス現場を見てきた著者は、25年以上前から「世界は日本化する」と発信してきた。日本は「より日本であり続ける」という一点を追求すれば、世界の中で存在感ある国であり続けることができる。
混迷の時代、すべての日本人に希望と自信を与える新たな日本論!

感想・レビュー・書評

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  • 企業経営コンサルタントによる、「日本らしさ」の追求の大切さを説いた本。日本のすばらしさについて語られることが少ない現状において、日本の伝統、習慣、日本人の考え方を再度学び、認識することが、ビジネスの成功につながることを、例を挙げて説明している。面白く読めた。
    「世界はどの国も、先進国になれば量から質を追求するようになる。質的なモノづくりに特化している国の中では、断トツで日本が先頭を走っている。質的な生活を追求するようになると、どうしたって日本と巡り合う。また、どこの国の民族も豊かさを目指す。豊かになれば人は、量より質を求める。どの民族も、質を追求していくと日本にぶつかる。だから「世界は日本化する」のである」p5
    「日本のさまざまな商品やサービスの質を実現してきたのは、日本、そして日本人という社会資本だった」p6
    「東京駅は、1日定期列車で160本もの新幹線をたった2面4線のプラットフォームで運行させている。この運行計画を可能にするためにには、プラットフォーム1線で1時間当たり平均3~4本の電車を発着させなければならない。お客様が降りるのに2分、車内清掃に7分、お客様が乗り込むのに3分、合わせて12分間で入ってきた新幹線は再び送り出される」p15
    「乗降客が押し合いへし合いしない。降りる人が先、乗る人が後という技術。この乗客の技術とその土台になっている規律性、これがなければ、2分間隔で山手線を走らせることは不可能である。日本人という国民性、日本人という社会資本があるから、山手線は異常なまでの運行密度を確保できるわけである」p19
    「京都には、百年企業が1000社以上あると言われている。業歴1000年以上の老舗は7社もある」p23
    「(日本の父母がつい最近まで教えたこと)1 お天道様が見ている 2 ご先祖様に恥ずかしいことをするな 3 故郷に錦を飾りなさい」p51
    「(仏文化大臣マルロー)(特攻隊について)彼らに権勢欲とか名誉欲などはかけらもなかった。祖国を憂える貴い情熱があるだけだった。代償を求めない純粋な行為、そこにこそ真の偉大さがあり、人間はいつでも、偉大さへの志向を失ってはならないのだ。フランス人の中には、特別攻撃隊の出撃機数と戦果を比較して、こんなにすくない撃沈数なのになぜ若い命をと、疑問を抱く者もいる。そういう人たちに、私はいつも言ってやる。「母や姉や妻の生命が危険にさらされているとき、自分が殺られると承知で暴漢に立ち向かうのが息子の、弟の、夫の道である。愛する者が殺められるのをだまって見過ごせるものだろうか」と。私は、祖国と家族を想う一念から恐怖も生への執着もすべて乗り越えて、いさぎよく敵艦に体当たりした特別攻撃隊の精神と行為のなかに男の崇高な美学を見るのである」p105

  • なぜ、「世界は日本化する」のかということだが、著者の仮説はこうだ。世界はどの国も、先進国になれば量から質を追求するようになる。質的なモノづくりに特化している国の中では、断トツで日本が先頭を走っている。質的な生活を追求するようになると、どうしたって日本と巡り合う。また、どこの国の民族も豊かさを目指す。豊かになれば人間は、量より質を求めるようになる。どの民族も、質を追求していくと日本にぶつかる。だから「世界は日本化する」のである。
    というロジックである。
    書かれている内容だが、
    第1章 世界が憧れる“日本人”という社会資本
    第2章 日本人を作った歴史、教育、リーダーのあり方
    第3章 世界を席巻した日本的経営
    第4章 グローバリズムの波に呑まれた日本
    第5章 反グローバリズムに向かう世界
    第6章 日本は「日本らしさ」を追求すればいい
    おわりに―我々は日本人らしく生きていけばいい
       日本人としての垂直軸を取り戻す
       「未来への恋文」を次世代へ届けよう

    少し詳しく内容を説明すると、戦後の復興を支えた世代の方々は、自分よりもっと優秀な仲間が戦争の犠牲になった、彼らに対する申し訳ないという気持ちが原点なのであり、残った優秀な人材が、民需の世界で、その能力をいかんなく発揮した。
    それと、歴史的に日本社会が培ってきた「全体全を考える」特性、利他の精神などである。
    日本社会が一丸となったとき、その恐ろしさを知ったアメリカさんは、「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」で、絶対、日本が立ち上がらないようにしようと画策したのである。
    しかしながら、佐伯啓思先生も言っているように、日本社会はいまだに「パノプティコン」状態のままなのである。
    GHQのやり方に一番親和的なのが共産党という笑うに笑えない状況が続いている。
    今、丁度、「東洋思想と日本」を読んだところである。日本社会が歴史的に培ってきた日本人のすばらしさとは何ぞやということを今後ますます勉強していかなけらばならないと思った次第である。

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著者プロフィール

1958年 (昭和33年)仙台市生まれ。 株式会社S・Yワークス代表。
 1981年に早稲田大学商学部卒業後、株式会社日本マーケティングセンター(現 株式会社船井総合研究所)に入社。20代からトップコンサルタントとして圧倒的な実績を重ね、29歳で部長に就任。1994年、当時の上場企業中最年少で役員に就任し注目を集める。
 2006年3月、取締役常務執行役員を退任し、同年4月株式会社 S ・ Y ワークスを創業。「経営の目的は永続にある」との信念のもと、百年企業を創るためのコンサルティング活動に日々情熱を注いでいる。
 近年はとりわけ教育関係からの講演依頼が多く寄せられ、主に「より良き未来を手渡すためにどう生きるか」というテーマで講演を行っている。また、熊の研究のために30年来アラスカに通い続けているナチュラリストでもあり、1年のうち2ヶ月ほどは定点調査を兼ねてニューヨークやカリフォルニアのナパなど世界各地を訪れている。
著書に『日本はこうして世界から信頼される国となった』『役割──なぜ、人は働くのか』(共にプレジデント社)、『なぜ世界は日本化するのか』『日本近現代史に学ぶ日本型リーダーの成功と失敗』(共に育鵬社)、『はぐれ熊ロンリー』(たま出版、日本図書協会選定図書)など多数。

「2024年 『恩送り(おんくり)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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