中国人民解放軍の全貌 (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594079499

作品紹介・あらすじ

我が国は人民解放軍の脅威を正しく認識し、
適切に対処しようとしているであろうか?

・習近平の中国の夢は米国を追い越し、世界一の国家になることであるが、習近平の野望を実現するために不可欠な組織は人民解放軍である。
・我が国においては、人民解放軍の実力を低く評価する(低く評価したがる)傾向や反対に高く評価しすぎる傾向があるが、21世紀に入り急激に戦力を増強し続けている人民解放軍を事実に基づいて客観的に評価すべきである。
・過去、特に1990年以前において二流の軍隊であった人民解放軍は、2018年時点において米軍も一目を置かざるを得ない軍隊に成長している。2000年からの20年間における驚くべき軍事力増強は事実であるし、2020年代以降もさらに戦力を増強することになる。
・中国は自国で世界最先端の航空エンジンを開発できないので、米国やロシアの技術を盗用している。善悪とか倫理を超越して目的のためには手段を選ばない中国のやり方は、逆説的だが中国の強みであり、我が国にとっての脅威である。

ハリー・ハリス米太平洋軍司令官は2018年2月14日、米下院軍事委員会で証言し、「中国が急速に軍備増強を進め、間もなくほぼ全ての分野で米国と競合することになるだろう。米国が後れを取れば、太平洋軍は将来戦場で人民解放軍に苦戦を強いられることになる。戦争遂行能力が重要で、それがなければ、張子の虎だ。我々は紛争を望みはしないが、米国は起こりうる中国との紛争に備えなければいけない」と危機感をあらわにしている。このハリス大将の認識は、人民解放軍と対峙する米軍の第一線指揮官の認識であり、無視すべきではない。そして、ハリス大将の認識は、日本防衛の最前線で人民解放軍と対峙する自衛官の共通認識でもある。人民解放軍の質量ともの進化と脅威を認めざるを得ないのだ。

本書では人民解放軍研究の第一人者たる著者が、米国の研究機関、第一級の同軍研究論文や関係者から得た情報を基に、目まぐるしく変貌して先鋭化していく人民解放軍の現状を分析、軍事的知識がなくてもその全貌を理解できるように解説している。現実的な脅威を知るための必読書である。

主な内容
第一章 中国の国家戦略・軍事戦略・作戦
第二章 人民解放軍の基本的事項
第三章 習近平の人民解放軍大改革
第四章 人民解放軍陸軍:世界最大規模の陸軍
第五章 人民解放軍海軍:海洋強国の核心
第六章 人民解放軍空軍:航空強国の核心
第七章 ロケット軍:核抑止及び接近阻止/領域拒否の主役
第八章 戦略支援部隊:現代戦を支援する最重要な部隊
第九章 国防産業と先端科学技術
第一〇章 中国の世界進出を支える人民解放軍
第一一章 中国の夢を阻む要因

感想・レビュー・書評

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  • 陸幕副長を務めた人物による著。
    日本において人民解放軍の実力を過大評価あるいは過小評価する傾向があるが、客観的に評価しようとしている。
    人民解放軍は着実に質の向上を続けており、米軍に総合力ではまだ及ばないものの、ミサイルや宇宙戦などに関しては米軍を超える持っている可能性があるものもある。
    第三、第四列島線の話や、リチャードソン作戦部長のA2/AD使用禁止宣言の意図、双首長制、人民解放軍のビジネスと腐敗の理由、5戦区、各軍種の実力や規模など、人民解放軍についていろんなことを知れた。

  • レーベルからお察しだが、ざっくり読むには良いにしろ、読んで勉強になったとはあまり言えないかも。
    得体の知れない保守系ジャーナリストみたいに極端に中国を下に見たり、その逆に恐れたりする書き方ではないのは、さすが元現職という感じだが、元自衛官にありがちな、イメージにすぎないものやその界隈での常識を、さも当然のように根拠不明のまま書く傾向が散見される。
    せっかくPLAを正しく認識するという本書のコンセプトは素晴らしいのに、中国の実態がどうあるにせよ、「パクリ戦法」とかいう書き方しちゃうのが、品位を落としているよなぁ、と思ってしまう。

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著者プロフィール

渡部悦和(わたなべよしかず)
1955年愛媛県生まれ。元陸将。1978年東京大学卒。陸上自衛隊入隊後、外務省出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学等を経て、東部方面総監。2013年退職。著書は『米中戦争』(講談社現代新書)、『現代戦争論—超「超限戦」』(ワニブックス【PLUS】新書)、『日本はすでに戦時下にある』(ワニ・プラス)など多数。

「2022年 『プーチンの「超限戦」—その全貌と失敗の本質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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