激震! コロナと不動産 価値が出るエリア、半額になる物件 (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594086947

作品紹介・あらすじ

地殻変動が起きた2020年の不動産業界。2019年の自然災害、2020年の新型コロナ禍の影響で、タワーマンションや郊外のベッドタウン、商用不動産の価値はどのように変化していくのか?
2021年以降に不動産の購入を検討している人だけでなく、すでに住宅を購入した人も、「価値が出る物件」「半額になるエリア」など、興味深いテーマを深堀りする。

~目次~
第1章 湾岸タワマン崩壊とマンション市場リスク
第2章 郊外&ベッドタウン「住みたい街」激変!
第3章 沈みゆく商用不動産市場と投資物件の行方
第4章 コロナ禍の「買い方」と生き残る物件

■首都圏の中古マンション市場でこれから起きる異変
■台風被害の次はコロナ禍が襲った!武蔵小杉タワマン売却を決意した男性の悲劇
■コロナ後にタワマン爆買いが再び起きる!?
■五輪“事故物件”になるのか!? 湾岸エリアの2つのタワマンの行方
■湾岸エリアや武蔵小杉は下落!? コロナ後に一変する「住みたい街」
■神奈川の本厚木がコロナ禍で突如「賃貸で住みたい街」で1位になった理由
■コロナで存在価値を失った郊外ベッドタウン
■タワマンを捨て中古戸建てやミニ戸建てへの「移住」が始まった
■大学の授業オンラインが賃貸市場に与える影響
■コロナ禍でもマンションを買いたい人のために教える「値引き術」
■ルポ 住人の相互監視に犯人探し……コロナ禍がもたらしたタワマンの「分断」
■ルポ 羽田空港「新ルート」が不動産価格に与えた影響
■ルポ 都内から木更津・三島に移住した!? コロナ後に中古戸建てを選んだ人々
■ルポ 月数万円の減少……妻の「パート解雇」で住宅ローンが破綻
■ルポ 宿泊者数が9割減!民泊バブル崩壊とその先にある希望

感想・レビュー・書評

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  • 何も当たらず、業界人ほど未来予測出来ないという好例

  • 昨年(2020)は開催予定であった東京オリンピックは今年に延期されることになって、現在のコロナ感染状況を見ると、開催されるかどうか不明な状況です。仮に東京五輪が開催されたとしても、その後で不況になる、土地価格が下がると予想されていましたが、現在では五輪とは関係なく、コロナの影響によって不動産価格が下がる物件が多くあるようです。

    この本によれば、つい数年前までは人気の高かったエリアやセレブの象徴でもあったタワーマンションで激変(暴落)が起きるとしています。その代わりに人気が出てくるのが、テレワークで仕事が起き変われることが証明された業界や会社に勤務していた人が、会社の近くである東京付近に住む必要性がなくなって、郊外や今まででは通勤対象以外のエリアに住む動きもあるようです。

    私の場合は在宅勤務が今年の2月末で、まる一年となります。確かに在宅勤務の良い部分はありますが、懸念される点も確かにあり、私としてはメインはオフィスに行って、在宅勤務を週に2回程度認めるのが良いかなと思っています。しかし世の中の流れには逆らえない、逆らうべきで無いことも理解しています。この本を読んで、在宅勤務のあり方も見直す良い機会となりました。

    以下は気になったポイントです。

    ・社風が合理的で社員のレベルや意識が高い企業ほど、リモートワークが向いている。そうでない企業はリモートワークを取り入れたことによって業績が悪化していることが多い(p6)2020年の日本経済はマイナス成長が確実であるがマンション価格はまだ下がっていない。その理由は、政府の景気対策が効果を上げていて不動産価格の動きは景気動向から半年以上は遅行するから(p7)

    ・新型コロナは早くても2021年一杯、遅ければ2022年以降に終息すると考えるべきである。2020年に湾岸の中古マンションに急いで住み替ええた人は、コロナ終息後もそこを気に入ってすみ続けるだろうか(p16)金融機関で返済猶予が認められた場合の期間は6花月、その間に返済再開のめどが立たなければ任意売却となる。従って、2021年明けから中古マンション市場では売り物件が急増しそうである。任意売却は通常売却と異なるのは、期間内(3ー6ヶ月)に必ず売らなければならないという縛りがある(p19

    ・そもそもタワマンは昼間に全住民が在宅することを想定して造られていないので、ステイホームによってあらゆる場所(共用施設など)がキャパオーバーになっている(p36)

    ・東京湾岸エリアには、晴海フラッグ以外に、有明ガーデンもあり、新型コロナによって運命を狂わされた街である。2020年6月に2ヶ月遅れで開業した。その面積や規模は隣接エリアのららぽーと豊洲に匹敵、ただしここも晴海フラッグ同様、著しく交通の便がよくない(p54)

    5階建て程度のマンションであれば、住戸と住戸の間を隔てる戸境壁は鉄筋コンクリート構造であるが、20階以上のタワマンの場合は、荷重負担軽減のために戸境壁に使うのは、乾式壁というもの。隣人の音が聞こえやすい(p75)

    ・リモートワークの普及は、十数年間続いた「都心回帰xタワマン」の流れを変えつつある。そして郊外への移住トレンドや戸建て信仰は昭和の時代に逆戻りしたわけではなく、むしろ新しい流れを作ったと解釈すべきである(p85)ベッドタウン(寝に帰るだけの街)という価値観、大型ショッピングセンター併設、という平成型の住まい選びはコロナによってガラガラと音をたてて崩れ始めているようだ(p101)大都市圏の住まい選びも、ジワリとトレンドを変えている(p103)

    ・最近人気となっているのは「赤羽」、都心や埼玉、神奈川へのアクセスの良さ、複数ある大型商業施設も子育て世代を惹きつけている。昼間から飲める「せんべろ(1000円で楽しく飲んで酔える」目立てに引っ越してくる若者も多い(p106)

    ・将来のいつかに住宅を売却するつもりなら「駅徒歩10分以内」という交通スペックは守ってほしい、住宅余剰が顕著となる10年後、20年後には「徒歩15分以内」まで検索範囲を広げてくれる買い手はほとんどいなくなる(p107)

    ・リモートワークは多くのビジネスマンを居住地の都心(あるいはその近辺)縛りから解放した、これは日本にサラリーマン(戦前は勤め人、と呼んだ)という人生形態が大正時代に登場して以来100年ぶりの働き方の革命的な変化である、ただ変化はまだ始まったばかりである(p108)


    ・開業直後は物珍しさで人が集まってくるが、江東区の五輪エリアも海浜幕張も今まで開発されなかったのには理由がある、立地の魅力が薄かった、つまり人を集めにくい交通の不便さが際立つエリアである(p137)

    ・テイクアウトも500円弁当も昼夜問わずやったが、平日は街が空っぽ状態で、買う人も少ない。やっぱりお酒が出ないと利益はほぼなかったというのが現状である(p142)

    ・秋店舗数として表面化しているのは実際の閉店数の国一部である、閉店を余儀なくされた個人営業の飲食店の多くは、退去時の現状回復費を捻出できず、店は閉めても引退契約は継続中というところもある。(p145)

    ・政府によるキャンペーンのせいで、ホテルに実質半額で泊まれるようになり、頼みの綱の国内旅行者は通常の予算よりワンランク上の宿泊施設に泊まりたがり、コスパが売りの民泊には見向きもしなくなった。民泊は法人として事業していることがじょうけん、個人事業者は対象外であり、トドメを刺された民泊業者も多い(p152)

    ・リモートワークが普及すると、大学生は大学に毎日通える場所に住まなくて良くなるかもしれない、深夜バスで上京して2000円代の宿に泊まれば、一人暮らしをやめるかもしれない(p161)2020年8月のレポートでは、東京・神奈川・埼玉で合計1万1100戸の単身者向け賃貸住宅の需要が消失と発表している、このインパクトは計り知れない(p162)

    ・2020ねんにはこれから始まるであろう大きな変化の先駆け的な現象が見られた、2021年はこれから始まるでろう大きな変化の本筋が見えてくる年ではないだろうか、何よりも需要の中身が大きく変わっていることが重要である。オフィスはコンパクト化と分散、住宅需要は郊外や地方に向かって流出する(p203)

    ・コロナ禍によって不動産市場は正常化されるキッカケを失った、しかしいつかは正常化する時がやってくる。都心のマンションなら、購入か賃貸かを迷う価格水準、オフィスなら9割入居で5%程度の利回りが見込める価格である(p205)

    2021年1月23日作成

  • タイトルそのままです。
    コロナ禍の後、不動産価格がどうなるか、そりゃ下がるでしょう。
    ペアローンを組んでいて返せなくなった人などで任意売却物件なども今年出てくる可能性も高く、2021年は不動産下落の始まりなるかもしれない、ものこと。
    さぁどうなるでしょうか。

  • 内容はコロナ後の不動産市場想定。昨今メディア等で言われている内容以上のものはなし。
    2013年以来不動産価格は実力以上に高騰、コロナ禍を契機に今後下落。
    テレワークの普及によりワークスペース確保の点、Amazon等普及による大型商業施設付設マンションの魅力減等からマンション価値が下落、戸建販売が好調。都心から近いだけでは、厳しい。安く良い街
    が選ばれる(本厚木、葛西、大宮、千葉、池袋、西川口、高円寺等)住宅需要は郊外や地方へ。
    個人所得減を背景に一部の資産価値の高い物件を除き、需給を反映し、住宅価格は下落。
    商用不動産市場も見込めない。
    民泊バブル崩壊。

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著者プロフィール

住宅ジャーナリスト。1962年京都府生まれ。同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部卒業。1980年代後半からマンションの広告制作や販売戦略立案などを手がける。現在は、一般ユーザーを対象にした住宅購入セミナーを開催するほか、新聞や雑誌などに多くの記事を執筆している。著書に『2025年 東京不動産大暴落』『すべてのマンションは廃墟になる』(ともにイースト新書)、『マンションは日本人を幸せにするか』『限界のタワーマンション』(ともに集英社新書)、監修に『コロナパニック最前線 不動産大暴落がはじまった』(宝島社)など多数。

「2020年 『激震!コロナと不動産 価値が出るエリア、半額になる物件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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