大東亜戦争の事件簿――隠された昭和史の真実

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594088231

作品紹介・あらすじ

日本人なら知っておきたい……
出航した疎開船が魚雷攻撃を受け、命を失った多くの子供達。終戦前後、壮絶な虐殺の対象とされた満洲や朝鮮半島で暮らしていた民間邦人。歴史の転換点となった、その時には知られなかった事件の数々……戦後、敗戦国では数多くの人々が戦犯として裁かれた。その一方で多くの庶民が戦勝国の〝戦争犯罪〟の被害者になったことや、戦時下で歴史を変えることになった重大事件の実態については、あまりにも知られていない。

歴史とは「事件の集積」である。一つの事件が次の事件を呼び、また別の事件を誘う。その「流れ」を的確に把握することが、奥行きのある多面的な歴史認識の醸成に繫がる。様々な事件の発生要因や経緯、その後の展開などを理解し、歴史へのまなざしを柔軟に広げていくことが肝要である。
 歴史は常に複眼的に見なければならない。無論、いくつかの事件を恣意的にタブー視することなど、もってのほかである。そのうえで大事なのは、先人たちへの鎮魂や哀悼の気持ちを穏やかに育んでいくことである。この行為への共鳴なくして、「歴史を学ぶ」ということにはならないのではないか。
 人間社会が保つべき温もりとは、そういった姿勢から湧き出ずるものであろう。

感想・レビュー・書評

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  • 名著。通州事件や終戦後の露助火事場泥棒侵攻の話は知ってたけど、知らない話も多く、特に共産主義がいかにクソかがよく分かる話は興味深かった。共産主義、親ソ派、パヨク、支那、露助が大嫌いな人は是非ご一読を。

  • 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和三年(2021)7月22日(木曜日)
    通巻第6990号
    より。


    あれほど酷い仕打ちを受けたのに、なぜ日本人はかくも寛大なのか
    中国人の残虐とソ連兵の無慈悲さ、民族の記憶から消えてしまうのだろうか


     すでに多くが語られ尽くした観があるが、若い世代は、まったく知らないし、無知である。
    戦争末期に侵攻してきたソ連兵が旧満州の日本人に何をしたか。シベリアへ抑留した日本兵にどんなに壮絶な労働を強要したか、日本人女性をなぶり者にした挙げ句に殺害したか。
     エリツィンは日本の抗議に耳を傾けたが、「それは私たちとは異なる世代の人たちの行為だった」と反省の色なし。ましてプーチンは日本から盗んだ北方四島さえ、返還の考えはない。

     或いは中国人が、通州や通化でどういう残酷な殺人、暴虐を日本人に対してなしたか。
    本書は、こうした歴史の断面を総攬的に網羅している読み物で、戦勝国の『戦争犯罪』を抉っている。
    扱った『事件簿』は、通州事件、南京事件、黄河決壊事件。ゾルゲ、対馬丸事件、葛根廟事件、引き揚げ者受難事件。元日本兵連続割腹事件、そして抑留者洗脳事案など。
    著者はこう言う。
    「歴史とは、事件の集積である。一つの事件が次の事件を呼び、また別の事件を誘う。その流れを的確に把握することが、奥行きのある他面多岐な歴史認識の醸成に繋がる」と。
    評者は、全体を通読してとくに印象深い取材のなかでも強烈な個所は、ソ連抑留兵のなかで簡単に祖国を裏切り、ソ連に媚びた上、洗脳工作のための『日本新聞』にソ連のプロパガンダを書き込み、天皇制を打倒するべきだと、情報のない抑留日本兵の洗脳に協力した輩がいたことだ。
    そのときのボスがコワレンコ。そう、戦後ソ連の対日工作の司令塔だった人物である。

    同様に過酷な洗脳工作は中国でも、撫順刑務所内で徹底的に行われた。凄まじい洗脳教育の結果、帰国した裏切り者たちが731部隊とか、三光作戦とかをでっち上げた。
    対蹠的に敗戦を恥じて、その責任を取った潔き人々は割腹自決を遂げた。阿南陸相や大西瀧次郎・中将だけではない。じつに夥しい、有能な人々が自決して果てた。
     本書は同時に、戦争に散った無名の英雄達への鎮魂歌である。

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著者プロフィール

早坂隆
1973年、愛知県生まれ。ノンフィクション作家。『世界の日本人ジョーク集』(中公新書ラクレ)をはじめとするジョーク集シリーズは、累計100万部を突破。『昭和十七年の夏 幻の甲子園』(文藝春秋)でミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。他の著作に『指揮官の決断 満州とアッツの将軍 樋口季一郎』(文春新書)等。主なテレビ出演に「世界一受けたい授業」「王様のブランチ」「深層NEWS」等。Twitterアカウント:@dig_nonfiction

「2023年 『世界のマネージョーク集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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